八条学園騒動記
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第六百十五話 またコーヒーを淹れるその三
「やっぱり」
「そうよね」
「さもないと本当に来てね」
「いつくから」
「そう思うとマフィアって害虫みたいね」
「世の中の」
「ゴロツキとかチンピラも」
そうした連中もというのだ。
「やっぱり」
「そうそう、どうしてもね」
「そんな連中はね」
「けれどね、ああした連中がいない社会ってね」
菅は現実のある一面を話した、その一面はというと。
「かえってね」
「よくないっていうわね」
「害虫もいない社会は」
「バイ菌が完全にいないとか完全に殺菌されていて」
それでとだ、カトリとジュディにも話した。
「かなり危ないよ」
「全体主義国家とかそうよね」
「マフィアとかいないけれど」
「そんな社会ってね」
「かえってとんでもないわね」
「だから必要悪というか」
そうしたというのだ。
「そんな存在だね」
「完全に奇麗な世界なんてないか」
「ないと思うよ」
菅はフックにも答えた。
「もうね」
「そうなんだな」
「若しそれを目指したら」
「あれだね」
マルティも言ってきた、コーヒーも紅茶もどんどん淹れていて濃さの加減も実に的確なものである。
「全体主義だね」
「それになるよ」
「そうだね」
「だってね」
菅は無表情のまま語った。
「人間自体が不完全だね」
「それはね」
マルティも否定しなかった。
「イスラム教でもね」
「言ってるね」
「アッラーは偉大でね」
「唯一完璧だね」
「完璧な存在はアッラーだけで」
これがイスラムの考えである。
「人間なんてね」
「完璧じゃないね」
「原罪とかなくて」
イスラムではこの考えはない。
「それでペリよりも上の」
「いい存在だね」
「それは事実でも」
それでもとだ、マルティはさらに話した。
「完璧じゃないよ」
「そうだね」
「だからね、イスラムでもね」
「完璧とはだね」
「思わないしね」
「考えていないね」
「一切ね」
そうだとだ、マルティは菅に答えた。
「それはないよ」
「そうだね」
「そして」
マルティはさらに言った。
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