イベリス
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第一話 卒業してその十五
「悪い人もね」
「いるでしょ」
「ええ、確かにね」
「そう、だからね」
「悪人は何処でもいることも」
「覚えておいてね」
「私が通う学校にも」
これから入学する高校にもとだ、咲は言った。
「いるのね」
「そうよ、いるからね」
だからだというのだ。
「注意しておいてね」
「そうなのね」
「そう、中々本性を出さない人もいるけれど」
それでもというのだ。
「目と口よ」
「見極めに大事なのは」
「その二つを見てね」
「見極めることなのね」
「そうしてね」
「ええ、それで悪人は何処でもいる」
「そのことも覚えておいてね」
「このヤクザ屋さん達みたいな人もいる」
咲は暴力団員達の動画をもう一度観ながら話した。
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「今日見たことはね」
「悪い人達の顔や動き」
「特に目や笑った時の口元はね」
「覚えておくことね」
「そう、そしてね」
絶対にと言うのだった。
「悪い人には引っ掛からずに」
「悪いことにも手を出さないことね」
「そして危険な場所にも入らない」
愛はこのことも話した。
「いいわね」
「ああ、危険な場所も」
「そこも最初からね」
「東京ってそうした場所も多いから」
「日本は確かに治安いいわよ」
愛はこのことは間違いないした。
「実際にね」
「他の国と比べても」
「そう、この東京もね」
「治安はいいのね」
「夜コンビニに行って帰られるでしょ」
この一見何でもないことを言葉に出した。
「けれどこれってね」
「他の国だとよね」
「そうそう出来ないから」
「どの国も物騒なのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「日本が治安いいのは紛れもない事実よ」
「そうよね」
「けれどよ」
ここでだ、愛はあらためて真剣な顔になって咲に話した。
「場所にもよって」
「新宿の歌舞伎町とかだと」
「それこそ裏道とかね」
「お父さんが言ってたけれど」
「そうよ、変な人がいたりして」
そしてというのだ。
「おかしなお店もあったりするから」
「行かないことね」
「危ない場所には最初からよ」
まさにというのだ。
「行かないことよ」
「そういうことね」
「このことも気を付けてね」
危険な場所にもというのだ。
「最初からそう言われている場所にはね」
「行かないことね」
「そうよ、いいわね」
咲に真剣な顔で話した。
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