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イベリス

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第一話 卒業してその十四

「百聞は一見に如かずって言うけれど」
「そうそう、実際によ」
「聞くよりもよね」
「実物見た方がね」
 まさにこの方がというのだ。
「いいから」
「そうよね、じゃあ見せて」
「ええ、動画だけれどね」
 愛はその動画を見せた、それはニュースの動画で事務所から連行されていく組員達がそこにいたが。
 咲は彼等の顔を見て愛に言った。
「こうした風なのね」
「ええ、ガチの悪人はね」
 愛も見せながら話した。
「こうした人達なのよ」
「そうなのね」
「目が違うでしょ」
「笑ってないし」
「目元にも出てるでしょ」
「捕まったから何だって笑ってる人もいるけれど」
 咲はそうした者達も見た。
「口元がね」
「歪んでるでしょ」
「嫌な感じでね」
「これが悪人の目でね」
「悪人の笑いなのね」
「そして動きもね」
 身体のそれもとだ、愛は話した。
「わかるでしょ」
「ええ」
 従姉に強い声で答えた。
「変に身体ゆすったり背中曲がっていてね」
「これがよ」
「悪い人ってことね」
「本物のね」 
「それでこうした人達になのね」
「注意することよ」
 こう咲に話した。
「わかったわね」
「わかったわ」
 咲も確かな声で答えた。
「よくね」
「わかったならいいわ、高校に入ったら」
「中学の時より色々なところに行くし」
「だからね」
 それでというのだ。
「悪い奴や物事には注意しないと駄目なのよ」
「特に男の人に」
「女の人もね、今見せたのは男の人ばかりだけれど」
「悪い人は女の人でもいるわね」
「勿論よ、世の中半分は女の人でしょ」
 愛はクールな口調でこの真実を告げた。
「そうでしょ」
「それはね」
「だからよ」
「女の人でも悪い人はいるってことね」
「性根の腐りきったね」
 ただ悪いだけでなくというのだ。
「そうした人がいるのよ、というか性別とか人種とか民族とか宗教とか職業とかね」
「関係なくなのね」
「悪い人がいるわ、まあヤクザ屋さんはね」
「悪い人がなるのよね」
「もうこの職業はそれがお仕事だから」
 悪事を働くことがというのだ。
「悪人ばかりだけれど」
「どんなお仕事でもなのね」
「悪い人がいるわよ、学校でもそうでしょ」
「そうね、いい人もいればね」
 それにとだ、愛はさらに話した。 
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