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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~

作者:黒井福
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G編
  第72話:魔法使いの居る潜伏

 
前書き
どうも、黒井です。

今回は二課側の描写もそこそこに、F.I.S.組の描写がメインです。マリア達とソーサラーの交流?がメインとなります。 

 
 ライブ会場での騒動から早くも一週間。

 ここ二課仮設本部の発令所では、あれから様々な方面で武装組織『フィーネ』に関する情報収集を行っていた。
 あれだけ大々的に世界に対して宣戦布告をし、同時に魔法使い達による一斉攻撃が行われたと言うのにもかかわらず、あれからまるで嵐が止んだかのように音沙汰が無くなったのだ。あまりの静けさに、弦十郎達も不気味なものを感じずにはいられない。

 今も朔也とあおいの2人が、弦十郎からの指示を受け、ネットワークを活用し情報収集に勤しんでいる。

 そんな様子を、颯人が壁に寄りかかって知恵の輪を解きながら眺めていた。

「ライブ会場での宣戦布告から、もう一週間ですね」
「あぁ。何も無いまま過ぎた一週間だな」
「政府筋からの情報ではその後、フィーネと名乗るテロ組織による一切の示威行為や、各国との交渉も確認されていないとの事ですが……」
「あれからジェネシスも全く動いていないようです。不気味ですね」
「連中の狙いがまるで見えてこないな」
「傍目には、派手なパフォーマンスで自分達の存在を知らしめたくらいです。お陰で、我々二課も即応出来たのですが……」
「パフォーマンス……パフォーマンス、か」

 朔也とあおいの言葉から、弦十郎の視線は自然と颯人に向いていた。今の会話の中で出た“パフォーマンス”という言葉。それが彼をイメージさせたのだ。

 自分に視線が向いた事に気付いた颯人は、知恵の輪を解く手を止めると肩を竦め未だ絡まった知恵の輪を片手で包んだ。

「可能性は高いよ。ド派手な動きを最初に見せて、そっちに目を引き付けてる間に別の所でコソコソ悪巧みをするってのは、あり得ない話じゃない」
「前にも似たような事を言っていたな」
「それが仕事なもんで」

 そう言った次の瞬間、彼が手を開くと知恵の輪は見事に外れていた。

 会話の間に行われた無音のパフォーマンスは、正に現状を表していると言えた。
 つまり、油断してはいけないという事だ。

 そして知恵の輪を解いた彼は、壁から離れると空いてるコンソールの1つに近寄り携帯端末を繋いだ。

「ま、俺もその手のパフォーマンスは得意だし? 寧ろこの分野で後れを取ったら父さんの名が泣くから、相手の裏をかく事に関しちゃ負けるつもりは無いけどね」

 そう言いながら颯人がコンソールを操作すると、モニター上に地図が表示された。地図上には赤い点が点滅しており、一定速度で移動している。

「これは?」

 弦十郎が問い掛けると、颯人は得意げに笑みを浮かべながら答えた。

「ふふーん! 実はこの間、あの調ちゃんって子に詫びの印として渡したプリンの箱。あれにこっそり発信機を付けといたのよ。この箱を持ち帰った動きで連中の居場所とかが分かるんじゃないかと思ってね」
「お前そんな事してたのか!? だったらなんでもっと早くに言わなかったんだよ!」
「途中で箱だけ捨てられたら意味ないからさ。だからこそ、二重の居場所の特定が必要だと思ってね」

 そこまで彼が行ったところで、慎次からの通信が入った。

『風鳴司令』
「緒川か。そっちはどうなっている?」
『ライブ会場に乗り捨てられていたトレーラーの入手経路から、遡っているのですが――――』
『この野郎ッ!』

 通信機の向こうからは慎次の声だけでなく、随分と乱暴な声や銃声、物が壊れる音などとにかく物騒な音が響いていた。だがそれを気にする者はおらず、全員が慎次からの報告に耳を傾けていた。

 慎次は普段奏と翼のマネージャーをしているが、裏の顔は情報部として危険な敵性組織への潜入活動も行っている。その彼にとって、戦闘・鎮圧を片手間で熟しながら報告する事など造作もない事であった。
 なので彼が単独で任務に当たっている先からの通信で、騒音や悲鳴が入ってくる事など何ら珍しい事では無いのである。

『辿り着いたとある時計屋さんの出納帳に、架空の企業から大型医療機器や医薬品、計測機器等が大量発注された痕跡を発見しまして』

 尚も通信機越しに悲鳴や騒音をBGMにしながら慎次が報告を続けている。その中にあった医療機器と言う単語に弦十郎は反応した。

「医療機器?」
『日付は、ほぼ二ヶ月前ですね。反社会的なこちらの方々は、資金洗浄に体良く使っていたようですが……この記録、気になりませんか?』
「緒川さん。その記録にある場所のデータこっちに回せる?」
『颯人君? えぇ、出来ますよ。ちょっと待っててください』

 程なくして、慎次から記録にあるとされる場所が送られてきた。颯人はそれと自分の仕掛けた発信機の動きを重ね合わせて――――

「――――ビンゴ!」

 発信機が長時間留まっていた地点と、記録にある場所のデータがピタリと一致した。発信機はその後再び移動したが、恐らくそれは箱ごと発信機が捨てられたからだろう。発信機が最終的に辿り着いたのは、燃えるごみの焼却施設だ。

 即ち、記録と一致した発信機が長時間留まっていた場所こそがフィーネのアジトである可能性が非常に高い。
 見事に武装組織への足掛かりを発見した事に、颯人は弦十郎達に笑みを向けながらピースサインをしてみせたのだった。




***




 一方、町外れの廃病院。颯人と慎次の協力プレイにより割り出された武装組織フィーネのアジトでは、シャワールームで2人の少女が体を洗っていた。
 金髪の少女・暁 切歌と黒髪の少女・月読 調である。

 シャワーを浴びながら、切歌は調に興奮気味に話しかけていた。

「でね、信じられないのは、それをご飯にザバ―ッと掛けちゃった訳デスよ!」

 切歌は元気よく話し掛けているが。調は全くの無反応だ。だが切歌はそれでもお構いなしに話し掛け続ける。

「絶対おかしいじゃないデスか。そしたらデスよ……?」

 尚も話し掛ける切歌だったが、流石に黙り込まれたままだったので話題を切り替えた。

「……まだ、アイツの事を……デスか?」

 調が考えているのは、一週間前に交戦したシンフォギア装者、響のことであった。

『話せば分かり合えるよッ! 戦う必要なんか――――』

 今思い出しても苛立ちが募る。何も知らないクセして、合えるだなんだと知った風に言う彼女が人類を救った英雄であるなど、認める訳にはいかなかった。

 が、直後に思い出さずにいられないのは颯人が変身したウィザードの言葉。

『君は響ちゃんを甘ちゃんの偽善者って言いたいみたいだけど、君も響ちゃんの事全然知らないでしょ』

 言われてみれば、確かに調達は響達の事を情報程度にしか知らなかった。そんな状態で響を一方的に偽善者だなんだと断定して認めずにいるのは、傲慢以外の何物でもないのかもしれない。

 何だか調は、急に自分が小さい人間になったような気がして訳も分からず無性に腹が立った。その苛立ちに任せて、力任せに壁を殴り付ける。

「~~~~ッ!」

 頭には響の考えを否定したい言葉が色々浮かぶのに、颯人に言われた言葉がそれを思い留まらせ歯を食いしばらせる。

 颯人の言葉が真実である可能性は何処にもない。情報を信じるなら彼が口から出まかせを言っただけで、自分達を惑わす為に適当な事を言った可能性もあった。
 だがそれでも、彼の言葉は調に一方的な否定ではなく一歩踏み止まって考えるという選択肢を作り出してしまった。
 結果、調は己の中に二つの相反する考えを抱く事になってしまい、大きな葛藤に悩まされる事になってしまっていた。

「調……」

 切歌はそんな調の手を取ると、拳を優しく開かせ自分の手を握らせた。握られた切歌の手に、調はもう片方の自分の手を重ねる。

 そこに一つの足音が近付いた。マリアだ。2人と同じくシャワーを浴びようと、髪を下ろしたマリアがシャワー室に入ってきたのだ。

「……調が悩む気持ちも分かるわ。誰が正しくて誰が正しくないかなんて、分かる訳がない。それでも私達は、私達の正義と宜しくやっていくしかない。迷って振り返ったりする時間なんてもう、残されていないのだから……」
「マリア……」

 3人がシャワーを浴びているシャワールームのすぐ外では、1人の魔法使いがまるで見張りの様に腕組をして佇んでいた。金色の魔法使い・ソーサラーだ。
 彼は何かを考えるように壁に背を預け、腕組をして俯いている。

 と、突然ソーサラーが顔を上げた。そして徐に右手をハンドオーサーに翳し、コネクトの魔法でハルバードを取り出した。

〈コネクト、ナーウ〉

 ソーサラーはハルバードを取り出すと、まるで何かを遮るようにシャワールームの前をハルバードで通せんぼした。

 すると――――――

「ンフフフフフ! 嫌だな~、僕もただシャワーを浴びに来ただけじゃないか」

 まるで虚空から溶け出すように緑の魔法使いに変身した青年が姿を現した。青年は自身の行く手を遮るソーサラーを、とても愉快なものを見る目で見ていた。

 ソーサラーは彼の言葉に対し、ハルバードを退ける事無く顎でしゃくってこの場を離れるように指示した。
 彼の行動に、青年は口を目を三日月の様に歪めた笑みを浮かべる。

「ふ~ん、そんな態度取るんだ~? 良いのかな~? そんな事しちゃって~?」

 小馬鹿にしたような、それでいて自身の優位を信じて疑わないような物言いの青年にソーサラーのハルバードを持つ手が一瞬ブレる。
 彼のその反応が面白かったのか、青年は一つ笑みを溢すと踵を返してその場を離れた。

「ま、君はワイズマンの直轄みたいなものだし、僕には君に偉そうに言う権限はないから別に良いんだけどね~。でもミサちゃんには気を付けた方が良いと思うよ? あの子、結構短気だから」

 それだけ告げると青年は手を振ってその場を離れた。後に残されたソーサラーは、何かを堪えるようにハルバードを下ろしまた顔を俯けた。

 それから程なくして3人はシャワーを終え出てきた。汗を流して綺麗さっぱりした3人がシャワールームから出る頃には、ソーサラーはその場を立ち去っていた。

「さぁ! 嫌な事はご飯を食べて忘れるのデス!」

 風呂上がりに3人が向かったのは食堂として利用している部屋だ。尤も隠れ潜みながらの生活となっている上に資金にも限りがあるので、ここ最近の彼女達の食事は専らカップ麺などのインスタント食品だったが。

 3人が食堂に入ると、そこには何時もは居ない人物が居た。ソーサラーだ。彼は食堂の中ほどの壁に背を預けて佇んでいる。シャワールームの入り口からそのまま移動したかのようだ。
 彼女達はこのソーサラーが苦手だった。彼はとにかく何も喋らない。何か話しかけても、碌に返答を返さずその場を立ち去る事が殆どだったのである。
 まぁ協力関係にあるジェネシスの魔法使いは、その殆どがまともに返答出来ない者達ばかりだし、かと思えば反応を示す幹部のメデューサなんかも好き好んで話し掛けたい人物ではないので彼女達と魔法使い達とのコミュニケーションは皆無に等しいのだが。

 マリア達が食堂に入ってきたのを見ると、ソーサラーは顔を上げ3人の事を見る。普段碌に言葉を交わさない彼が自分達に目を向けた事にマリア達が僅かに身構えると、彼は視線をテーブルの上に向け右手をハンドオーサーに翳した。

〈コネクト、ナーウ〉

 ソーサラーが魔法を発動した手をテーブルに向ける。するとテーブルの上から魔法陣が下りてきて、テーブルと重な他瞬間その上には皿に盛られた料理が姿を現した。

「ご、ご飯デース! ご馳走デース!!」
「……食べて良いの?」

 今日もインスタント食品の何処か物足りない食事になると思っていた切歌は皿に盛られた温かな料理に歓喜の声を上げ、調はソーサラーに首を傾げて問い掛ける。
 だがソーサラーは料理を出すだけ出すと、踵を返してその場を立ち去った。後には湯気を上げる料理と、マリア達3人だけが残された。

「…………何のつもりかしら、あいつ?」
「何でも良いのデス! 早速ご馳走にありつくのデス!」
「ちゃんとしたご飯、久しぶり」

 1人訝しむマリアであったが、切歌と調は喜んで席に着き料理に手を伸ばした。前述した通りここ最近はカップ麺やインスタント食品ばかりだったので、一から新鮮な材料を調理して作ったと思われる料理は久しぶりだった。
 ソーサラーの考えがイマイチ分からなくて不信感を抱かずにはいられないマリアであったが、彼らが自分達を貶める理由にも見当がつかなかったので、マリアも大人しく席に着き料理に手を伸ばした。スプーンを手に取り、スープを掬って口に運ぶ。

「…………ん?」

 スープを口に入れた瞬間、口に広がった味にマリアは奇妙な感覚を覚えた。それは一言で言うなれば郷愁とでも言えばいいのだろうか。そのスープの味が妙に舌に馴染むのだ。

――私は……この味を知っている?――

 奇妙な感覚に食事の手を止め考え込むマリアに気付かず、切歌と調は料理に舌鼓を打つ。

 その時、廃病院内に警報が鳴り響いた。

「「「ッ!?」」」

 慌てて食事の手を止め、3人はマムと慕うナスターシャ教授が居る部屋に駆けていく。

 3人が向かっている部屋では、ナスターシャ教授がマップを見ながら警報を止め、カメラ映像に目を向けた。
 映像の向こうでは、既存の生物とは異なるフォルムをした4足歩行の存在が檻の中で息遣いも荒く、何かに食らい付いている。

「……あれこそが伝承にも描かれし、共食いすら厭わぬ飢餓衝動。やはりネフィリムとは、人の身に過ぎた――――」
「人の身に過ぎた、先史文明期の遺産……とかなんとか思わないでくださいよ」
「ドクター・ウェル……」
「例え人の身に過ぎていても、英雄たる者の身の丈に合っていれば、それで良いじゃないですか」

 ナスターシャ教授の背後の暗がりから現れたウェル博士は、余裕すら感じさせる穏やかな表情でそう呟いた。表情には微笑みさえ携え、その立ち振る舞いは堂々としたものであった。

 そこへマリア達が飛び込んできた。食事中に急いできたものだから、切歌などは口の端にソースを付けたままである。

「マムッ! さっきの警報は……あ――」

 慌てて飛び込んだマリアだったが、モニターに映る映像に全てを察した。

「次の花は、まだ蕾故、大事に扱いたいものです」
「心配してくれたのね。でも大丈夫、ネフィリムが少し暴れただけ。隔壁を下ろして食事を与えているから、時期に収まるはず」

 ナスターシャ教授はモニターを見ながら「それに」と付け加えた。

「念の為、彼もすぐ傍で見張ってもらっていますから」

 ナスターシャ教授の視線に釣られてモニターを再び見ると、そこには檻の直ぐ傍でハルバードを手にしたソーサラーが映り込んでいた。もしここでネフィリムが檻を破壊するような事があっても、彼が魔法で押え付けてくれるという事だろう。

 モニターの向こうでネフィリムが再び暴れ、病院全体が大きく揺れる。
 だがネフィリムの前に佇むソーサラーの姿に、マリアの心から不安は消えていた。

 何故かと問われれば、その光景にマリアは既視感を覚えていたからだ。
 そう、忘れる事も無い。あの時の――――――

「対応処置は済んでいるので大丈夫です」
「それよりも、そろそろ視察の時間では?」
「フロンティアは、計画遂行のもう一つの要。軌道に先立って、その視察を怠る訳にはいきませんが……」

「結構な事だな」
「ん?」

 ウェル博士とナスターシャ教授が話していると、新たな声が室内に響く。やってきたのは妖しい美貌を持つ1人の女性、魔法使い・メデューサ。
 彼女は冷たい目を室内に居る全員に向け、次いでモニターを見てから口を開く。

「折角の力も、制御できなければ意味がない。ましてや、数に限りある餌を必要とする力など」

 メデューサは言外にネフィリムの力を侮蔑していた。彼女にとって魔法こそが至高の力。それ以外の、制御できるかもはっきりとしない聖遺物由来の力など信用できるものではなかった。

 そんな意味を込めての視線を向けられても、ウェル博士は人の好さそうな笑みを崩さなかった。

「その心配は無用。ネフィリムの食料調達の算段はちゃ~んと考えておきます」
「ソーサラーに護衛を頼みましょう。彼なら信用できます」
「こちらに荒事の予定はないから平気です。ソロモンの杖だってありますし、琥珀の魔法使いを数人付けてくれるだけで十分。強力な戦力は寧ろそちらに集中させるべきでしょう?」

 ウェル博士の言葉には一理あった。
 所詮彼は一介の生化学者に過ぎず、またソロモンの杖に加えて木っ端とは言え魔法使いが居れば護衛には事欠かない。

 対してナスターシャ教授はこの組織の長。彼女がい無くなれば組織が瓦解してしまう可能性を考えれば、彼女の方に護衛を割くのは至極当然の事であった。

「分かりました。予定時刻には帰還します。後はお願いします。行きましょう」

 ウェル博士の言葉に納得した姿勢を見せ、ナスターシャ教授は車椅子を操作しマリア達3人と共にその場を立ち去った。

 後に残されたのは、ウェル博士とメデューサの2人…………否――――――

「上々かい、ウェル博士?」

 一体何処に隠れていたのか、ゆらりと姿を現した緑の魔法使いの青年の3人であった。
 メデューサは彼が姿を現すと、露骨に顔を顰めた。

「『グレムリン』……貴様今までどこで何をしていた?」
「嫌だなぁ、僕は僕でちゃんと仕事してたんだから。それより、僕には『ソラ』って名前があるんだから、そっちでちゃんと呼んでよ」
「貴様……ワイズマンに付けていただいた名に文句があるというのか?」

 メデューサがグレムリンこと、ソラに対し剣呑な目を向ける。
 それを見てか、ウェル博士が2人の間に割って入った。

「まぁまぁまぁ、喧嘩は止しましょう。大事なのはこれからなんですから」

 ウェル博士は先程までの人の良さそうな笑みから一転、まるで人を食ったような笑みを浮かべながら2人――と言うかメデューサを制止した。
 メデューサはウェル博士からの仲裁に気に入らないとでも鼻を鳴らす。

「フン……。それで? 首尾の方はどうなっている?」
「勿論滞りなく。後は播いたエサに、獲物が掛かってくれるかどうかです」

 そう言ってウェル博士は妖しい笑みを浮かべ、ソラもそれに釣られるようにクスクスと笑う。

 メデューサはそんな2人に対し、終始冷ややかな目を向けているのだった。 
 

 
後書き
と言う訳で第72話でした。

颯人は調べに詫びの印として高級プリンを渡してましたが、仕掛けるべきものはバッチリ仕掛けてました。そう言う所は抜け目ないです。

颯人の介入で調がちょいと揺れております。まぁ大きな変化が起きるほどのものではありませんが、小さくとも確かな変化が起こってます。

ソーサラーは地味に頑張ってます。女子が覗きされないように見張りをしたり、料理を作ったり。彼の陰の頑張りをナスターシャ教授も評価している為、F.I.S.組の中でソーサラーを一番信用しています。ここら辺、彼を信用できるのは年の功でもありますね。

執筆の糧となりますので、感想その他よろしくお願いします!

次回の更新もお楽しみに!それでは。 
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