オズの木挽きの馬
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第十一幕その九
「いい匂いがしてきたわね」
「そうかしら」
「ええ、草のね」
こう恵梨香に言うのでした。
「美味しそうな匂いがするわ」
「あっ、貴女羊だから」
恵梨香は黄金の羊の言葉に気付いて言いました。
「それでよね」
「そう、草を食べるからね」
「そう言ったのね」
「だからね」
「近いうちになのね」
「お食事にしたいわね、旅の間はね」
黄金の羊は恵梨香にお話しました。
「ずっとそうしてね」
「草を食べていたのね」
「そうして旅を楽しんでいたの」
「そうだったのね」
「食べものには困らなかったわ」
黄金の羊は恵梨香に笑顔で言いました。
「全くね、それどころかいつもお腹一杯で」
「楽しく旅をしていたのね」
「そうだったわ、だからね」
それでというのです。
「帰りもね」
「そういえば貴女お食事の時は」
「草食べてるでしょ」
「ええ」
実際にというのです。
「そうね」
「そうしてね」
そのうえでというのです。
「満腹でね」
「帰っているのね」
「そうしているわ」
「羊さんの旅は食べものに困らないの」
「草原や森が多いとね」
「つまり草があると」
「いいのよ、けれどこれが街だと」
そうした場所はといいますと。
「やっぱりね」
「食べものがないから」
「私達にとっては辛いわ」
そうだというのです。
「羊そして山羊にはね」
「ああ、山羊さんもね」
「草を食べるからね」
それでというのです。
「辛いわ、ただ紙があったら」
「紙を食べてなのね」
「そうしてね」
そのうえでというのです。
「楽しんでいるわ、ただね」
「ただ?」
「私達は紙より草の方が好きなのよ」
「羊や山羊は」
「そうなの」
こう言うのでした。
「これがね」
「そうなのね」
「そう、紙を食べることも出来るけれど」
「草が一番好きなのね」
「そうよ、これは鹿もでしょ」
「そうね、奈良県には鹿が多いけれど」
それでもとです、恵梨香は黄金の羊の言葉に日本のこの県のことからお話しました。
「鹿も紙を食べるけれど」
「草が一番好きでしょ」
「それとお煎餅も食べるわ」
「お煎餅?日本のお菓子?」
「鹿用のお煎餅でね」
それでというのです。
「人間が食べないでね」
「鹿が食べるものなの」
「そうなの」
そのお煎餅はというのです。
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