レーヴァティン
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第百八十六話 川を使いその十
「そこまではな」
「飲めないですね」
「絶対にな、ワインでもな」
これでもというのだ。
「五本はな」
「無理ですね」
「絶対にな」
「そうですね」
「お酒に強い人はとことん強いもんだな」
久志はこのことを今しみじみと思った。
「本当にな」
「左様ですね」
「まあ楽しめるだけな」
「楽しめばいいですね」
「自分の量でな、全く飲めない人だっているしな」
「そうした人もおられますね」
「下戸の人がな」
これも体質である、アルコールを全く受け付けない人もいるのだ。
「織田信長さんとかな」
「あの人は意外にも」
「ああ、如何にも飲みそうだけれどな」
昔の創作の世界では酒乱と書かれることも多かった。
「実際はな」
「甘いものがお好きで」
「酒はな」
「殆ど飲めませんでしたね」
「もう一口飲んだ位でな」
それでだったという。
「酔いが回ってな」
「飲めなかったとか」
「本当に下戸で」
「甘党だったと」
「そうらしいからな」
「本当にお酒は人によりますね」
「ああ、だからその人でな」
それぞれでというのだ。
「楽しめるだけの量をな」
「楽しめばいいですね」
「このトカイだってな」
「そうなりますね」
「有り難いことに俺達の中で酒乱いないしな」
そうした者はというのだ。
「今日はとことん飲むか」
「そして明日からまただね」
剛も飲みつつ言ってきた、彼が一番飲みっぷりがいい。
「ことを進めていくね」
「戦後処理が終わったらな」
「軍をワルシャワの方に向けて」
「進太達と合流して」
そしてというのだ。
「北の大国とな」
「戦うね」
「そうするな、もう黒湖の周辺は芳直が制圧したし」
それでというのだ。
「そこからもな」
「攻めていくね」
「そうするな、その時も川を使って」
そうしてというのだ。
「やっていくな」
「ボルガ川だね」
「今度はな」
この川だというのだ。
「あそこを使ってな」
「攻めていくね」
「何か東の方はな」
「うん、川がね」
「大事だな」
「北の大国についてもね」
「ドナウ川もそうだったしな」
これまで自分達が使ってきた川の話もした。
「それでな」
「ボルガ川もね」
「そうだよな、まあこの浮島全体がな」
「川が相当重要だよ」
「どう使うかだな」
「それがね」
まさにというのだ。
「大事だよ」
「ライン川やセーヌ川もそうだしな」
「西の半島でもだったしね」
「それで次もな」
「川を使うね」
「移動や輸送にな」
その二つにというのだ。
「そのうえでな」
「攻めていくね」
「主力はそこからだな」
ボルガ川からだというのだ。
「オデッサを拠点としてな」
「攻め上がっていくのね」
「東から攻めるよりずっと楽だろ」
「じゃあまずはオデッサまで軍を向かわせるわね」
「東からすぐに攻めずにな」
それはせずにというのだ。
「そうするな」
「わかったわ、じゃあね」
「今からな」
「ワルシャワに行った皆と合流ね」
「戦後処理の後でな」
久志はトカイを飲みながら話した、そうしてだった。
今は美酒を楽しんだ、そのうえで。
次の日から戦後処理を行った、そしてその後で軍の主力をワルシャワに向かわせた。そのうえで仲間達と合流した。
第百八十六話 完
2020・11・15
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