恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十二話 劉備、于吉を欺くのことその九
「于吉、ここでだ!」
「終わりだというのですか」
「貴様のその邪な企み!ここで潰える!」
「仰るものですね。しかし私もです」
「やられないというのだ?」
「そう簡単には」
「そう言うんだな」
今度は華陀が来た。そのうえで于吉に言うのだった。
「御前はあくまで」
「そういうことです。それが私達の目的ですから」
「そう言うとは思っていた」
華陀は劉備の左隣に来た。そのうえで言うのである。
「やはり。その書は」
「では。四人ですね」
「やらせてもらう!」
「行くよ!」
劉備も言ってだ。そのうえでだ。
四人で一斉に攻める。だがその四人に。
于吉は再び黒い気を両手に込めてだ。そのうえでだ。
両手の平を地面に叩きつけてだ。気を蜘蛛の巣の如く地面に這わせたのだ。
それを見てだ。四人は一斉に飛んだ。それでかわしたつもりだった。
だがそこでだ。今度はだ。
黒い気が上にあがった。蜘蛛の巣の形をしたまま地面からだ。
「何っ、気が!」
「来たのだ!」
「私の気は自由自在です」
そうだとだ。于吉は勝利を確信した笑みで言う。
「こうしたこともできるのですよ」
「くっ、このままでは!」
「まずいのだ!」
「さて、どうされますか?」
于吉は上に飛んだままの四人に問う。
「これはどうして防がれますか」
「それはだ!」
「こうするのだ!」
関羽と張飛が言ってだ。
二人は得物から白い気を放ってだ。それで于吉の黒い気を打ち消したのだ。そうして于吉の攻撃をすんでのところで防いだのである。
「ほほう、そうきましたか」
「気には気だ!」
「それが一番なのだ!」
「確かに。それはその通りです」
于吉もそのことは認めた。
「やはり。尋常な強さではありませんね」
「そしてだ!」
今度は華陀だった。彼は。
両手のそれぞれの指と指の間に黄金の針を挟んでだ。それを。
于吉が持っている書にだ。投げたのだ。その針を見てだ。
彼は一旦姿を消した。そして四人が着地した時にだ。
離れた場所に移っていた。瞬間移動だった。
「縮地法ですか」
「それですね」
戦いを見守る軍師二人が言う。
「それも使って」
「かわすなんて」
「縮地法って何なのだ?」
張飛は二人にその縮地法について尋ねた。
「聞いたことがないのだ」
「ある場所からある場所に瞬時に移動する術です」
「歩いたり走ったりすることなくです」
「何っ、それでは妖術なのだ」
「はい、仙術でもありますが」
「この方の場合はそれだと思います」
「確かに。これは妖術の一つです」
于吉もそのことは否定しなかった。
「私の術はそれになりますから」
「そうですね。妖術ですね」
「明らかに」
孔明と鳳統もそうだと言う。
「そこまでの妖術を使えるなんて」
「やっぱり貴女は」
「そう簡単には倒せませんよ」
軍師二人にもだ。于吉は余裕を見せる。
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