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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十二話 劉備、于吉を欺くのことその二

「今から戦わせてもらう」
「うむ、それではな」
「わし等も共に行こう」
 柴舟とタクマもいた。
「三人でかかればじゃ」
「あの男といえど倒せる筈だ」
「そ、そうじゃ。頼んだぞ」
 袁術もだ。今はこう言うしかなかった。
「そんなとんでもない奴をこの世界でのさばらせておけるか!」
「そうですよ。そんな人まで来てたんですか」
「残念だがな」
 来ていると。ハイデルンは二人に答える。
「それではだ。今からだ」
「う、うむ。頼んだぞ」
「御願いしますね。絶対に」
 袁術達は三人を送り出すしかなかった。そして戦場では。
 李典はドリルの槍を振り回しつつだ。于禁に言う。于禁は両手の刀を振り回している。
「そっちはどないや!」
「かなりやばいの!」
 戦いながら答える于禁だった。
「こいつ等次から次に出て来るの」
「ほんまやな。こりゃ洒落にならんで」
「全くなの。辛い戦いになるっていうのはわかっていたけれど」
「予想超えてるわ」
 言いながらもだ。于禁も槍を振るう。
「けれど。今我慢したらや」
「別働隊が来るの」
「そうだ、それまでの辛抱だ」
 楽進は気を放ちながら二人に言う。
「堪えるぞ」
「ああ、絶対に持ち堪えるで」
「何があってもなの!」
「そうだ。間も無くだ」
 楽進はさらに言う。
「劉備殿達が来てくれる」
「うち等が連中を正面に張り付けさせてや」
「そこになの」
「そうだ、我等は勝てる」
 楽進は勝利を信じている。だからこそ戦うのだった。
「この戦いにもだ」
「この戦いが終わったらや」
 李典はあえて気持ちをほぐす為に二人に話す。
「三人でお茶でも飲もか」
「お茶?」
「お茶なの?」
「そや。とびきり美味い茶をや」
 それをだ。三人で飲むというのだ。
「張三姉妹の舞台を見ながらな」
「そうだな。それはいいな」
「最高の組み合わせなの」
「お茶と歌を楽しむ為にもや」
 どうかとだ。李典はあえて楽しげな笑みを浮かべて話す。
「ここは踏ん張ろか」
「そうだな。絶対にな」
「舞台を観るの!」
「ただしや」
 ここでだ。李典はこんなことも言った。
「袁紹さんの鰻は勘弁やな」
「あれはな。どうもな」
「やらされたくないの」
 そのだ。胸なり何なりで鰻を掴むという袁家伝統の競技についてはこう言うのだった。
「袁紹殿はかなりお好きなようだが」
「あんなの絶対にしたくないの」
「うちは掴めるけれどな」
 胸でだ。その鰻をだというのだ。
「けれどあれはな」
「うむ、例え掴めてもだ」
「いやらし過ぎるの」
「っていうか袁紹さんってほんまああいうの好きやな」
 袁紹のそうした好みはだ。実によく知られているのだった。
「おかしな趣味の人やな」
「ああしたところさえなければな」
「何の問題もない人なのに残念なの」
「ほんまや。何とかならんのかいな」
「全くだな。困ったお人だ」
「仕えると大変そうなの」
 そのこともよくわかることだった。そうした話をしながらだ。
 
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