恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十二話 劉備、于吉を欺くのことその一
第九十二話 劉備、于吉を欺くのこと
袁術も戦場にいる。そうしてだ。
ゲーニッツと草薙達の戦いを見てだ。こう叫ぶのだった。
「な、何じゃあ奴は!」
「はい、ゲーニッツというそうです」
彼女の傍らにいる張勲が袁術に答える。
「何でもオロチ一族でも最強だとか」
「最強とかいう域ではないぞあれは!」
その暴れ回る様を見ての言葉だ。
「滅茶苦茶強いではないか!あれでは三人といえどもたんぞ!」
「そ、そうですよね」
さしもの張勲も青い顔になって応える。
「草薙さん達も頑張ってますけれど」
「ゆ、弓じゃ弓」
袁術が今言うのはこれだった。
「弓であのゲーニッツを撃て。弓なら何とかなるじゃろ」
「それ、無駄みたいですよ」
しかしだった。張勲はすぐにこう主に話した。
「どうやら」
「何故じゃ、それは」
「だって。あの人風使いますから」
今もだ。空中から襲い掛かる八神に無数の鎌ィ足を浴びせていた。八神は空中でそれを防いだ。傷は負わなかったが攻撃はできなかった。
その鎌ィ足も見てだ。張勲は言うのである。
「多分。弓矢も」
「それではあの三人に任せるしかないのか」
「そうなるかと」
「しかしあのままではまずいぞ!?」
袁術も本気で心配している。
「しかもあ奴だけではないではないか!」
「あそこの金髪の大きな人って」
その金髪をセンターで分け口髭を生やしている。右目は義眼だ。そしてその服は赤いタキシードだ。その姿の男がなのだった。
「何なんですかね」
「な、何じゃあ奴も!」
袁術はその赤いタキシードの男を見ても泣きそうになる。
「無茶苦茶に暴れ回っているではないか!」
「烈風けーーーーーん!烈風けーーーーーん!」
男がだ。叫びながら右手を下から上に大きくスイングさせてだ。
そのうえで地面に衝撃波を出し走らせて。兵達を吹き飛ばしている。
「な、何だこいつは!」
「こいつもかなり強いぞ!」
「どうなっているんだ!」
兵達もその強さに唖然となる。しかし彼等は。
何とか男に迫る。だが今度は。
男は足を大きく、回転させてきた。それは。
「ジェノサイドカッターーーーーー!!」
「う、うわああああっ!」
「だ、駄目だ!」
その蹴りでだ。接近した兵達が吹き飛ばされてしまった。
しかもだ。男はさらにだった。
今度は両手に気を込め。思いきり放ってきたのだった。
「カイザーウェイブ!」
それでだ。また吹き飛ばすのだった。その暴れる姿を見てだ。
袁術はだ。今度は顔面蒼白になった。その顔で張勲に言うのである。
「あ奴、ゲーニッツとやらとどちらが強いのじゃ」
「さ、さあどちらでしょうか」
無論張勲も真っ青になっている。そのあまりもの強さを見てだ。
「けれどどちらにしてもです」
「強過ぎるのじゃ!」
「ですよね。化け物ですよあれは」
「何者じゃ、あれは」
「ルガールという」
ハイデルンがだ。袁術達の横に来て話してきた。
「ルガール=バーンシュタインというのだ」
「ルガール?」
「それがあの男の名前ですか」
「趣味は倒した格闘家をそのまま像にすることだ」
ハイデルンはそのルガールの趣味から話す。
「それを集めることを生きがいとしている」
「な、何じゃそれは!?」
その趣味を聞いてだ。さらに驚く袁術だった。
「無茶苦茶ではないか!」
「あの、それって人間のすることですか!?」
張勲ですらだ。考えられない域の話でだ。やはり驚いている。
「生きている人間をって」
「そんなとんでもない奴があちらの世界におるのか!」
「しかもだ」
尚且つだとだ。ハイデルンは続ける。
「人を殺そうともだ」
「そんなのは平気か」
「そういう人間なんですね」
「そういうことだ。そしてだ」
「まだ何かあるのか」
「私の片目と」
その眼帯を押さえての言葉だった。
「家族、そして部下達を殺した男だ」
「で、ではじゃ」
「ハイデルンさんにとっては」
「必ず倒さなければならない相手だ」
まさにだ。そうした男だというのだ。そのルガールは。
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