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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十一話 ゲーニッツ、暴れ回るのことその十一

 刹那の周りに四人が来た。彼等は。
「さて、やはりいたのう」
「予想はしていた」
 まずは翁と示現が言う。
「刹那、この世界でもまた」
「常世につなげるというのか」
「そうだ」
 その通りだとだ。刹那も二人に言葉を返す。
「それが俺の役目なのだからな」
「それなら」
「我等も我等の役目を果たそう」
 楓と嘉神が剣を構える。
「今度は。姉さんの力を借りずに」
「我等の力だけで貴様を封じる」
「それができるのか」
 鋭い目で言う刹那だった。闇の光がそこにある。
「貴様等に」
「できるから言っているのだ」
 嘉神は刹那を睨み返して言う。
「こうだ」
「貴様等の命でか」
「安心しろ。命をかけはしない」
「その通りじゃ。御主を完全に封じる」
「完膚なきまで倒してです」
 翁と。今度は虎徹だった。
「そのうえで二度と蘇られぬようにしてじゃ」
「封じるのです」
「俺を完全に倒すか」
 笑っていない。言葉も表情も。
「言うものだな」
「言葉は言うだけじゃない」
 楓の髪は既に金色になっている。戦場にその輝きが映える。
「実際のものにするものでもある!」
「その通りだな。では楓」
「うん、兄さん」
 楓は兄の隣に来た。そうしてだった。
「我等の力でだ」
「刹那を完全に封じる!」
 彼等の戦いもはじまるのだった。
 戦いは兵達の間でもだった。激戦になっていた。
「くそっ、何て数だ!」
「しかもこいつ等強いぞ!」
「影みたいな動きしやがる!」
「何者なんだ!」
「これがだ!」
 高覧がだ。その彼等に言う。彼女もその得物を振り回している。
「白装束の者達だ!」
「こいつ等本当に何者なんですか」
「妙に強いですけれど」
「確かにな」
 馬上から得物を繰り出しながらだ。高覧は兵達に答える。
「尋常な強さではない」
「これはまずいですかね」
「辛い戦になるんじゃ」
「なったとしてもだ」
 それはだ。もう覚悟しているという言葉だった。
 言いながらも得物を振るいだ。高覧は言うのであった。
「我等は勝つ」
「勝ちますか?」
「絶対にですよね」
「そうだ、絶対にだ」
 その言葉にぶれはなかった。確信している言葉だった。
 その言葉でだ。高覧は兵達に命じた。
「いいか、一対一では戦うな!」
「二人か三人で」
「それで一人を」
「弓も使え!」
 飛び道具も忘れてはいない。
「奴等は剣だけだ。間合いを考えて攻めよ!」
「わかりました!」
「それなら!」
「剣だけならば限りがある」
 攻めるのにだ。確かに彼等の剣は短い。それと兵達の槍を比べればだ。確かにそれだけでかなりの違いがあるのがわかる。
 高覧もそれを見てだ。兵達に命じたのである。
「わかったな」
「ええ、それじゃあ」
「今はこうして」
「無敵の兵なぞいない」
 高覧の言葉は揺るがない。
「必ず倒せる」
「ですね。それじゃあ」
「今は辛くても」
「それを覆す!」
 高覧は叫んだ。
「必ず勝つぞ!」
「はい!」
 連合軍の士気は高かった。そのうえでだ。彼等は戦い抜くのだった。


第九十一話   完


                       2011・6・18
 
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