恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十一話 ゲーニッツ、暴れ回るのことその九
「戦いははじまったばかりよ」
「そうですね。これからですね」
荀彧も頷く。そしてその目の前では。
戦いがもうはじまっていた。公孫賛は剣を手に白馬に乗りながら指揮している。
「進め!歩兵は前に進め!」
「では騎兵は!」
「どうされますか!」
「それぞれ左右から攻める!」
そうするとだ。兵達に言うのである。
「わかったな。そうするぞ!」
「了解、それでは!」
「そうしましょう!」
「この戦いで決まる」
彼女もだ。このことはわかっていた。
「だからこそだ」
「はい、それでなのですが」
「敵もまた」
来ていた。そしてその先頭にはだ。
青い服の顎鬚の男がいた。男は不敵な笑みを浮かべて呟いた。
「楽しいゲームのはじまりです」
「その通りだ」
隣にいる刹那が彼の言葉に頷く。
「好き放題やらせてもらおう」
「それではです」
ゲーニッツが左手を手首のスナップを利かせて上にやった。それと共に言う言葉は。
「そこですか!?」
それだけでだ。竜巻が起こりだ。連合軍の兵達を吹き飛ばす。
それが次々に出されてだ。連合軍を撃つ。それを見てだ。
連合軍の動きが止まった。公孫賛もその竜巻に唖然となる。
「何だ!?何が起こっているのだ!」
「将軍、あの男です!」
「あの男がです!」
士官達がすぐに驚いている彼女に言う。
「竜巻を起こしています!」
「その手首を動かしただけで!」
「そうか、あいつか!」
ここで草薙達の話を思い出す公孫賛だった。
「あいつがあのゲーニッツか!」
「ゲーニッツ!?」
「ゲーニッツといいますと」
「オロチ一族八傑集の中でも最強の四人の一人!」
それだというのだ。
「四天王、吹き荒ぶ風のゲーニッツだ!」
「それがあの男ですか」
「あの竜巻を起こしている」
「くっ、向こうはあいつが先陣か!」
公孫賛は歯噛みして言った。
「まずいな」
「大変です!兵達がです!」
「次々と吹き飛ばされています!」
公孫賛が歯噛みする間にもだ。ゲーニッツの竜巻は次々と起こりだ。
連合軍の兵達を吹き飛ばす。それを見てだ。
公孫賛は自ら馬を出そうとする。だがここでだ。
「いや、俺達が行く」
「やらせてもらうわ」
草薙と神楽だった。二人が出て来て言うのだった。
「オロチを倒すのは俺達の仕事だからな」
「ここは任せて」
「貴殿等がか」
公孫賛は馬を止めて二人に言った。
「やってくれるのか」
「最悪でも足止めにはなるぜ」
「そうさせてもらうわ」
「無理だな」
不意にだ。何者かの声がしてきた。
「御前等では無理だ」
「へっ、相変わらず絶好のタイミングで出て来るな」
「来たのね」
「あいつは好かん」
こうも言ってだ。出て来たのは。
八神だった。彼が出て来てそうして言うのだった。
「オロチ自体がだ。俺は嫌いだ」
「嫌いだからか」
「それで今はあの男と」
「俺は俺でやらせてもらう」
共闘するとは言わない。それが八神だった。
その彼がだ。さらに言うのだった。
「それでいいな」
「ああ、別にな」
「それでいいわ」
八神のことを知っている二人もだ。それでいいとした。そしてだ。
二人、それに加えて八神も前に進んでだ。ゲーニッツに向かうのだった。
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