魔法使い×あさき☆彡
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こーひーぶれいく そのよん
大ぼけガールズ カズミあんどアサキ
【四コマ漫画風小説 大ぼけガールズ カズミあんどアサキ】
1
私服姿で夜の繁華街を歩いているカズミとアサキの二人。
「アサキは、なに食べたい?」
カズミが尋ねると、アサキはちょっと考え込みながら、
「うーん。さっきのパンでいいや」
2
「はああ? パ、パ、パンティ屋あ?」
カズミ、頭を両手で抑え、顔を真っ赤にして震えている。
「えっ、ち、違う。パン、っていったんだよお」
アサキも恥ずかしそうに、顔真っ赤だ。
3
「ああ、なあんだ。変だと思ったよ」
「もーお。やだあ」
ははははは、と笑い合う二人。
4
「つうか、あたしが一人恥ずかしい思いしたじゃねえかよお!」
ズッガーン!
「なんでだあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
大噴火の溶岩さながら打ち上げられて、
理不尽を呪いながらの絶叫も小さくなって、
キラーン
こうしてアサキは、夜空の星になったのです。
― 完 ―
大ぼけガールズ カズミあんどアサキ 痛
【四コマ漫画風小説 大ぼけガールズ カズミあんどアサキ 痛】
1
私服姿で夜の繁華街を歩いているカズミとアサキの二人。
「アサキさあ、さっきの話どうしようか」
カズミが尋ねる。
「うーん。こうしたらいいんじゃない」
アサキはちょっと考え込み、思い付いた提案を語ろうと人差し指を立てた。
2
「はあ? 真面目に考えろよお。なんだよ、ウンコをしたらいいって」
真面目な顔で、というかちょっと引いた表情でアサキのことを見ていると、アサキは慌てたように手を振って、
「え、えっ、ち、違う。このようにしたらいい、っていったんだよお」
3
「あ、ああっ、なあんだ。あはははは」
「えへへへへ」
恥ずかしそうに笑い合う二人。
4
「勘違いしたあたしがバカみたいじゃんかあ!」
ボッガーーン
ジェットアッパー炸裂! 天高く吹き飛ばされたアサキが、くるくる回りながら小さくなって行く。
「またこのパターンかあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」
キラーン
こうしてアサキは夜空の星になったのです。
― 完 ―
占い屋さんの屋のかずみさん
【四コマ漫画風小説 占い屋さんの屋のかずみさん】
1
治奈、正香、応芽、後ろにはカズミ、成葉、アサキ。
私服姿の六人が、雑談しながら住宅地を歩いている。
「アサキの星座って、何座?」
カズミが漫画雑誌の占いページを開きながら、楽しげにアサキへと尋ねた。
「いいよお。カズミちゃんに占われたら、大吉も大凶になっちゃうよお」
アサキは手をパタパタ笑顔で断るが、
「ああ? 理屈おかしいだろ。お前の運勢は、もうここに書かれてるんだぞ」
「いて座だけど……」
2
「えっと……おーっ、いて座の君の、今週の運勢はあ……」
「うあ!」
アサキの悲鳴。
塀から出た釘に引っ掛かったスカートが、するり足元に落ちて、パンツ丸出し姿になってしまったのだ。
3
「待ってえええええ!」
スカートをくわえて走り去る野良犬を、下半身裸のみっともないカッコで泣き叫びながらアサキが追い掛ける。
カズミも、他のみんなも、青ざめた顔でガタガタと身体を震わせている。
4
どこまで行くのか、全力で犬を追い掛け走るアサキの姿は、すでに豆粒ほどの大き……
ズガーン!
脇道から出てきた自動車にはねられ吹っ飛ばされた。
「はああああああ?」
カズミ、口あんぐり、力なくその場にぺたんと座り込んでしまった。
占い屋さんの屋のかずみさん
【占い屋さんの屋のかずみさん 痛】
「そ、そ、それじゃ、お前ら、のも占って……」
「うわあああああああああ!」
地獄を見るような恐怖の泣き顔で、治奈たち四人はカズミから逃げ出すのだった。
― 完 ―
魔法使いのせいかさん
【魔法使いのせいかさん】
1
白ゴマの中心に、ぽつん、と立っている黒い長髪の美少女。
大鳥正香である。
フリルのついた、清楚なドレス姿の彼女は、嬉しそうに、そして恥ずかしそうに、高揚して赤くなったほっぺに両手を当てている。
「緊張しますわ。『まほうつかいのせいかさん』、ああ、つ、ついに、初めて、わたくしの冠4コマが。……どんな色に染め上げて行こうかと、悩んでしまいます」
背後、通り掛かったアサキが、正香に気付がいてぽそり、「冠?」
2
「冠といえばあああああああああああ!」
ぐおおおおおおっ!
と、集中線ビシバシ、突然いきなり不意打ち的にコマ全開の顔面ドアップ、拳握りしめ立て叫ぶアサキ。
3
そして、どかーっと右腕を突き上げながら、さらに大きな声で、
「ジローーーーーーーーーッ!」
「うるせええええええええええええっ!」
ぐしゃあぁあっ!
カズミの右ストレートが、アイライク演歌に雄叫んでいるアサキの顔面を、後頭部まで突き抜けよとばかりブチ抜いていた。首がもげるような容赦ない打撃に、顔面を醜くぐっちゃぐちゃに歪ませながら吹っ飛んだ。
4
チーン
うつ伏せに倒れて死んでいるアサキ。
スカートが激しくはだけて下着丸見えなのが、なんともみっともなく憐れみを誘う光景である。
「あースッキリしたあっ」
後ろ手に組んで伸びをしながら、カズミは満足げな顔で歩き去る。
「あ、あのっ、こちらはまるでスッキリしないんですが。初の、初の冠のはずなのに、初回なのに……出番が、出番がまったく……」
ぷるぷるぷるぷる、正香が青ざめた顔でアタマヲ抱えて震えている。
「ナルハもそうだったよお」
いつの間に来たか隣に平家成葉、慰めているのかなんなのか、ははっと楽しげに笑っている。
なつメロずきのあさきさん ― 完 ―
……って、あれ?
風流歌人のかずみさん
1
仮設舞台の中央に立つカズミを、舞台の袖に隠れるようにアサキ、治奈、正香、成葉、応芽、の五人が見守っている。
脇の立て札に勘亭流で書かれているのは、「天王台西公園夏祭り 川柳大会」
「つ、次っ、昭刃の番やでえ!」
「あああああカズにゃんのことだからあ、きっととんでもないのを詠むよお! ぜえーったいシモネタだよ!」
「そ、そ、そがいなったら全力で止めるんじゃ。アサキちゃんの巨大パンチとかっ」
「えーっ! そもそも誰がカズミちゃんなんかを推薦したのお?」
「アサキさんです……」
などと、舞台袖ではこそこそひそひそ。
2
観衆へと舞台上から軽くお辞儀をしたカズミは、より真顔になり、句の書かれた短冊を取り出した。
「読みます」
こほん。
3
「男の子 横からはみ出る……」
「巨大パアアアアアアンチ!」
舞台袖から飛び出したアサキが、魔法による濃霧に隠れながら浅間の鉄球のような超巨大化した拳でカズミを殴り付けた。
「へぎゃああ!」
がすっ ごつっ
吹っ飛ばされ、反対側の舞台袖の壁に頭をぶつけてぶっ倒れるカズミ。
4
「男の子 横からはみ出る虫のカゴ 宿題忘れて嗚呼夏休み」
落ちた短冊に書かれた文字。拾った治奈が、青ざめた顔でぼそり。
「まともな歌じゃ……センス最悪じゃけど」
「ご、ごめんなさあああああい!」
ぴくぴく痙攣しているカズミに、アサキは恥ずかしそうに顔を真っ赤にして謝るのだった。
― 完 ―
魔法使いのあさきさん SUN!!
【四コマ漫画風小説 魔法使いのあさきさん SUN!!】
1
朝、登校時間帯の校舎内である。
下駄箱の前で、アサキと治奈が靴を脱いでいる。
「中間テスト、一夜漬けのヤマが当たるか緊張するのう」
「わたし、緊張すると痩せちゃうんだあ」
ははっと笑いながらアサキが下駄箱を開けると、はらり封筒が落ちた。
2
「なんだろう」
拾って見るとピンクの封筒、ハートのシールで封がされている。
「えーっ、アサキちゃんにラブレター?」
男の子? ピンクだし女の子? うわあ!
嬉し恥ずかし興味津々な表情で封筒を覗き込む治奈。
「ヒェーーーーーーーッ!」
怪鳥のような、アサキの叫び声。
3
「ラ、ラ、ラ、ラブッ、ラブ、ラブッ……」
あはああああああああっ
ガタガタガタガタ
ガタガタガタガタ
アサキが、青ざめた顔で激しく震えている。
一瞬にして干し柿のようにガリガリに痩せて、上着がずるり、片方の肩が大きく露出、それどころかすとーんとスカートが足元に落ちてパンツ丸見えになってしまい、周囲の男子生徒たちが、ぎょぎょっと驚いている。
「アサキちゃんっスカートうあああああああパンツう!」
さらにパンツまで落ちそうになるところを、治奈が大慌てで掴み引っ張り上げる。
などとなんだか大騒ぎになっているところへ、
「あーーーっ」
たたたたっ
廊下側から、女子生徒が走り寄って来た。
4
「ごめんね。入れるとこ間違っちゃったあ」
女子生徒はテヘペロ顔で振り返りながら、封筒を両手に、ケンタくーんなどといいながら去って行く。
残った二人。
ミイラみたく痩せたパンツ丸出しのアサキと、そのパンツを食い込まんばかりぎゅぎゅーーっと掴み上げている治奈。
しかもきっかけがきっかけ。あまりの恥ずかしさに二人は青ざめた顔で硬直したまま、ぶるぶるがたがた身体を震わせるのだった。
― 完 ―
占い屋さんの屋のかずみさん 惨
【四コマ漫画風小説 占い屋さんの屋のかずみさん 惨】
1
学校の制服姿のアサキとカズミが、街を歩いている。
カズミは雑誌を開いて持っており、星座占いと書かれている。
「そういやアサキって何座だっけ? この前聞いたけど忘れちゃった」
笑顔で尋ねるカズミであるが、反対にアサキはびっくりドッキリ、
「やあーーーっ! カズミちゃんは占いの話をしちゃダメーーーーーッ!」
必死な形相で、掴み掛からんばかりカズミへと迫った。
2
「ぎふっ!」
痛そうなトゲトゲ文字の悲鳴。
作業着姿の男性が数人で運んでいる看板の先端が、アサキの脇腹に、ずんっと激しくめり込んだのだ。
3
「ど、どうもすみませ、うわあっ!」
作業員の男性が、顔面からぶっ倒れているアサキへ謝罪の声を掛けようとするが、
その、ぶっ倒れているアサキの背中の上を、犬の群れがワンワン吠えながらドドドドドドドと通り過ぎて行った。
男性たちもカズミも、ぽっかーん、唖然としてしまっている。
4
「カズミちゃん酷いやああああああ!」
ズタボロ雑巾、それどころか、犬にスカート引っ掛けられて持ってかれて、とてつもなく恥ずかし姿のアサキ。道路にぺたーんと座って、大粒涙をボロボロこぼしてウエウエ泣いている。
「つうかお前こそなんなんだーーっ!」
あたしが悪いのかよお!
― 完 ―
占い屋さんの屋のあさきさん
【四コマ漫画風小説 占い屋さんの屋のあさきさん】
1
制服姿の、カズミとアサキ。
アサキの制服は裂けて汚れてズタボロになっており、しかも下半身はジャージである。
「よ、よおし、今度はっ、わたしが占っちゃうからねーーっ」
逆転の発想だあ!
アサキは、泣き腫らしてクマの出来た顔を歪め、にやりと笑みを浮かべた。片手には、占いページを開いた雑誌を持ってる。
その視線を受け、青ざめた表情でじりじり後ずさるカズミ。
「や、やめろ、よせっ、あたしが悪かったっ! どこが悪いのかは分からんけど分かったからっ、謝るから!」
2
「嫌だよおだ。えーっとお、確かカズミちゃんの星座はあ……はうっ!」
ぞどっ!
と、ギザトゲ文字の凄い音がして、アサキのお腹に集中線ド直球で、なにかが深々とめり込んでいた。
野球のボールである。
3
「ぎゃっ!」
という絶叫に、脚立で作業していたおじさんが、
「うわっ!」
驚いてバケツを落として、アサキの頭にペンキがドバーッ! バケツがガン!
4
「カズミちゃん酷いやあああああ!」
「知るかーーーっ!」
お前の運だろっ!
地面にぺたーんと座り込んで、うえっ、うえっ、と大泣きしているアサキ。
頭にはタンコブ、全身はペンキまみれ。
なぜかジャージのズボンが膝まで降りてパンツ丸出しになっており、そのみっともなさがなんとも憐れみを誘うのであった。
― 完 ―
はじめてみんなでカラオケに来てみましたあ
1
カラオケ部屋のソファに座っているアサキ、治奈、応芽、正香、成葉。
ズンガンズンガン、音の響く中、大きな画面の前に立っているカズミが、マイク片手に熱唱している。
「♪ だったらただ前だけ見てればいいだろう! Those who don't believe die! ♪」
「ほんま上手じゃよねえ、カズミちゃんは」
治奈が手拍子しながら素直に褒めている。
「シャウトもピシッと決まってるよねえ。なかなかやるなあ」
歌本をめくりながら、なんだか上から目線のアサキである。
2
続いては、成葉と正香のデュエットだ。
「♪ 忘れたい、あなたがこの世の誰よりも好きだから ♪」
「♪ 忘れたくない、誰よりもあなたを愛しているから ♪」
バラード曲なのだが、両手でマイクを握って、肩をゆったり左右に振って、なんだかほんわかした感じ。二人の息もぴったりだ。
「ほわーんとして、いい感じだねえ。二人とも、なかなか上手だねえ」
歌本ぺらぺら、ちょっと上から目線のアサキである。
3
続いて、応芽が歌っているのもバラードだ。
「♪ たとえば、わたしが、この愛すべき思い、この世界を ♪」
声を張り上げ、サビを熱唱しているところを、
「歌いこんでるねえ」
曲ナビ操作しながら、うんうんと頷いているアサキ。
「悪かないけど、どうして関西弁の歌じゃないんだー!」
「じゃかましい、昭刃和美!」
4
「♪ あさあのおおお、めざあめぬぬぬまどろみのぅををなかでええええ、どおんぬぬうぬうあああ、ゆめをきむいとををみでいたああああ ♪」
気持ちよさそおおおおっに歌っているのは、そう、アサキである。
しかし他のみんなは、
「んにゃああああああっ! アサにゃんやめてええええ!」
「ぐはあ! こいつの歌は殺人音波なのを忘れてたあ!」
「地球が滅ぶけえね!」
「鼓膜がっ、鼓膜が破れてしまいます!」
「限度っちゅーもんがあるやろ! ぐおっ頭が割れるわあ!」
頭を抱えて、破鐘ガンガン頭上でブッ叩かれているかのような、もの凄い形相で悶ている。
「♪ でああきういいいいあっえたああねあのひいいいい ♪」
はじめてカラオケで死にそうになりましたあ ― 完 ―
大ぼけガールズ カズミあんどアサキ さんっ
【四コマ漫画風小説 大ぼけガールズ カズミあんどアサキ さんっ】
1
アサキとカズミが制服姿で、通学路を歩いている。
「忘れてたっ。絵の具買わなきゃあ。写生会、明後日だもんね」
アサキがぽんと自分の手のひらを打った。
「ん、なに会だって?」
カズミが小首を傾げている。
「写生会」
と、笑顔で答えるアサキであるが、
2
「ん、なに会?」
カズミは片耳に手を当て、眉間にしわを寄せた顔をぐっとアサキへと近付けながら、再び尋ねる。
「いや、だから、写生だって」
ちょっと声を大きくしていい直す。
周囲そんなうるさくもないのになあ。と、ぼそっといいながら。
3
「なんの、会だって? はっきり! 大きく!」
「写生……」
ちょっと不審げにもう一回いい直すアサキであるが、
はっ!
顔がカーーーーッと真っ赤になっていた。
「もっと大きな声で! はいっ、なに会?」
4
「飛んでけーーーっ! 巨大パアアアアーーーーーンチ!」
ズガドオーーーーーン!
魔法で超でっかくなったアサキの右拳がアッパー気味に炸裂して、カズミの身体はくるくる回りながら、遥か彼方までふっ飛んで行った。
きらーん
と輝く一番星が一つ。
こんなオチでもいい会?
― 完 ―
大ぼけガールズ カズミあんどアサキ よーん
【四コマ漫画風小説 大ぼけガールズ カズミあんどアサキ よーん】
1
体育館と校舎を繋ぐ通路を、白シャツと青い短パン姿で歩いているアサキとカズミ。
「お前、バスケの授業はイキイキするよなあ」
さすがのあたしもまったくかなわん。と、ほっぺをつつくカズミ。
「えへへえ」
アサキ、頭を掻いて照れ笑い。
「つか男子ども紅組の応援ばっかりしてたろーっ」
「いやあ同程度だったよお」
2
「ん、なに程度だったって?」
聞き返すカズミ。
「同程度」
答えるアサキ。
3
「ん、えっ、なに程度?」
にやーって笑いながら、手を当てた片耳をぐいーっと近寄せるカズミ。
「だからっ、どうて……」
アサキの頬が、ピクリ引きつった。
4
「巨大パアアアンチ!」
悪い子にはお仕置きだーーーーーっ!
どっごーーーーーーーーーんっ!
と、またまた巨大な拳がカズミの身体を吹き飛ばした。
遥か上空、太陽の下を、くるくる回りながらカズミは叫ぶ。
「最近あたしの方が殴られるううううううぅぅぅぅぅぅ!」
まあそりゃそうだ。
きらーん。
というわけで、今回はとうとうカズミさんが、お空のお星になったのです。昼だけど。
お し ま い
大ぼけガールズ カズミあんどアサキ ごーーーっ
【四コマ漫画風小説 大ぼけガールズ カズミあんどアサキ ごーーーっ】
1
手賀ひかり公園のベンチに、制服姿のアサキとカズミが腰を下ろして「出るものなくなったら負けゲーム」をしている。
カズミがびしっと人差し指を立てながら、
「『もしもまたきみに会えたら』『星空を飛べたらね』『嫌われても友達だ!』、さあどうだあ!」
分かんねえだろなあ、オリコン十位以上の曲なんて。
「んーー、あれかなあ、『ハツカレ』と『ぼくときみとのものがたり』」
とか?
「ひぁっ、なんで分かったあ? 残り二つともいわれるとは!」
まさかあたしが星川絵里奈で負けるとは!
2
「くそお、反撃だ。人間の身体で首がつくのはっ? 『首』『襟首』『喉首』『手首』『足首』さっ、アサキの番っ!」
「え、えーっ!」
アサキ、顔を真っ赤にして叫んだ。
あるよお、超有名なのが一つか二つさあ。
小声で追い打ち掛けるカズミ。
そ、そうじゃなくてえ……
ええーーっ。
3
「うーーーん。えーーーーっとお。えーーーっとおお」
アサキは腕を組み身を縮め、顔を茹で蛸みたく真っ赤にして必死な形相で唸っている。
「分かんないのお? 分かんないわけないわよねえ、アサキちゃあん」
にたああああああっ。カズミ、いやらしい笑顔である。
4
五分後。
周囲に、ガヤガヤ人だかりが出来ている。
アサキが地面にぺったん座り込んで、涙ボロボロ大泣きしているのである。
「ひ、ひど、酷いよお、カズミ、ちゃん、えぐっ、お、お、女の子、にっ、へっへっ変な、こと、えっ、えひっ、い、いわせ、よと、うくっ、る、るんだ、もん」
うえええええええん。
「本気で泣くなよおお!」
オロオロオロオロ、恥ずかしいやら申し訳ないやら困ってしまっているカズミなのであったのだった。
かいだんたいかい
1
和室大部屋の真ん中。
座布団に、浴衣姿の正香がすらり綺麗な姿勢で正座している。
でも顔はちょっと不気味で怖い。すぐ前に置かれたロウソクの灯りが、下から照らしているからだ。
向き合うように、ロウソクの反対側にはアサキ、治奈、カズミ、成葉、応芽が、やはり浴衣姿で座っている。
「タクシーの運転手が振り返ると、誰もおらず、シートがしっとり濡れ……」
という正香の話に、
「ぎゃああああああああ!」
アサキが青ざめた顔で大絶叫している。
そこまで怖いかよ。びびりだなあ。と、隣のカズミが呆れた感じにぼそっ。
2
今度はカズミが、みんなと向き合いロウソクに照らされながら、真顔で喋っている。
「お椀にお湯を注いだんだ、そしたら、触れてもいないのに、勝手に、お椀がすうーっと動き出して……」
「いやあああああああああ!」
頭を抱えて泣き叫んでいるアサキ、の姿を横目に治奈がアゴを掻きながら苦笑している。
すっかり、なんでも怖いモードに入っとるけえね。
3
カズミの話はまだ続く。
「頭に乗せた下敷きを上げたら、髪の毛がぶわーっと持ち上がって……」
「ぎょおおおおおお! なにかいるんだあ!」
「リモコン押したら、突然テレビの画面が映って……」
「わあああああああっ」
4
「オシッコ透明なのに便器を見ると黄色……」
「びえええええええええ! ここっ怖いよおおおおお! う、うっ、トイレ、行っといてよかったああああああ!」
アサキ、あまりの恐怖にすっかり腰の抜けた四つん這いで、ボロボロ涙を流している。
話しながら、カズミがぼそり、
「からかったあたしが悪いけど……いい加減ブン殴りたくなってきた」
かずみちゃんとあさきちゃんのたのしいしりとりあそび
1
「それじゃあ……ラクダ」
「男子トイレ」
2
「すぐそういうのいうんだから。……ええと、レ、レ、レだから、レンジ」
「女子トイレ」
「だからあ! もう。またレか。……レコーディングスタジオ」
「おっぱい」
3
「なんで平気でいえるのかなあ。恥ずかしいからやめてよね。それじゃあ、イス」
「スカートめくり」
「理科」
「カンチョウ」
「ウェーブ」
「ブラジャー」
4
「やあだもお、そんなのばっかりなんだからあ! 女の子同士だからって、セクハラなんだからね! この前もカズミちゃん、わたしにエッチな言葉いわせようとしてたし、わたしそういうこというの嫌だっていってるじゃん!」
「はいアサキの負けー。」
「ええーーーーっ!」
魔法使いのなるはさんとせいかさん
1
天王台西公園、納涼漫才大会。
そんなにぎゅうぎゅうでもないが、それなりに賑わっている。
現在ステージに上がっているのは、モーニングを着てチャップリン髭を付けた男装の二人。大鳥正香と平家成葉である。
「なんかあ、わてら二人、どおーも影が薄いでんなあ」
「そうでございますでんなあ」
「ほならこう、なんかドカンと、でーっかいことやっちゃいまひょかーっ!」
「どのようなものでしょうかでんがな」
「(ゴエにゃん、でんがなの使い方おかしいよっ。こそっ)えっと、例えばあ……」
2
「なか卯の牛丼、特盛で頼むとか」
ぴっ、と人差し指を立てる成葉、の顔を、
「……」
じーーーーーーーっ、正香がつめたーい視線で見下ろしている。
3
「ちょ、超特盛っ、もちろんっ、しかも一週間連続っ! でーーかーーいーーぞーーーーっ!」
あたふたあたふた。
外してしまった恥ずかしさを、ペラペラ畳み掛けごまかそうとする成葉。だけど時遅く、周囲のお客さんたちもすっかり黙り込んじゃった。
4
「まあ、影が薄いのがわたくしたちということで」
フォローしつつ成葉の背中をぽんと叩く正香。
初の冠4コマもアサキさんに乗っ取られましたし。はああ。などと小声でため息つきながら。
「うん……ナルハとゴエにゃん、地獄まで一緒だ」
成葉はまだ羞恥に赤い顔に、ちょっと幸せそうな笑みを浮かべて、ぴたり正香に身を寄せた。
まったくオチてないけどこの二人らしいからまあいいやあ、のなるはさんとせいかさん ― 完 ―
大団円いーち 連想ゲーム?
1
アサキが、治奈とカズミを寄せてなにやら耳打ち。
「相談したいことというのはね、実は、かくかくしかじか……」
ぼそっ、こそっ
「ええねそれ、アサキちゃん」
「おっけー! 会った奴に伝えとくぜっ!」
治奈とカズミ、笑顔でグーサイン。
2
治奈が、第二中の魔法使いサブリーダーの文前久子に耳打ち。
「これアサキちゃんからなんじゃけどな。……かくかくしかじかで」
ぼそぼそ、ひそひそ。
「あーっ。分かったありょおかあいっ!」
いいねそれっ、と久子は笑顔でオッケーサイン。
3
別の場所で、カズミが慶賀応芽に耳打ちしている。
「おう、アサキからなんだけどな。かくかくしかじか……」
「ああ?」
応芽は怒気満面で、ぎろりんカズミを睨み付けた。
4
「なんやわれえええ!」
「うるせえな、アサキからだよ!」
「そんなん令堂がいうかああ!」
「いってたんだよお!」
ボコスカドカスカ拳で激しく殴り合っているカズミと応芽。
駆け付けたアサキが、オロオロ狼狽えている。
「カズミちゃん、な、なんて聞いたのおおおお?」
大団円にーい 続・連想ゲーム
1
「分かった?」
ちゃんと伝えてよね。頼んでおいてなんだけど。
と、アサキは苦笑しつつ再度カズミに説明している。
「ごめん。つうか、最初からそういえよもう」
「いったよお!」
2
カズミ、前方に第二中の魔法使い、万延子が歩いているのを発見。
「お、まずはあいつでいいや。おーい!」
走って行く。
3
「なにか用事かな? 第三中の昭刃ちゃん」
「おう、アサキからなんだけどさ……かくかくしかじか」
ひそひそ、こそこそ。
4
そして……
「ケタ外れに失礼だなキミはあ! いくら温厚なわたしだって、限度があるぞお!」
「うるせえなあ、アサキがいってたんだよ!」
ドカドカドカドカ、殴り合い蹴り合うカズミと万延子。
騒ぎに、アサキが走って来る。
「だっ、だからカズミちゃんっ、なんていったのおおおお?」
わたし、殴り合いになるようなこと頼んだあ?
大団円さーん 集合写真
1
夜の、手賀ひかり公園。
ぞろぞろ、
ぞろぞろ
第二中と、第三中の魔法使いの生徒たち、そしてそれぞれの顧問である須黒先生、杉崎先生、前段は膝を着いて、中段は屈み腰、後ろは立って、と三段に並んで行く。
その前にアサキが一人立っており、正面カメラ目線で微笑んでいる。
「えーと、カズミちゃんのせいで、喧嘩になっちゃったりしたけどお」
ははは、と背後で笑いが起こる。
前段前で膝を着いているカズミは、恥ずかしそうに顔を赤くして「めんぼくない」と頭を掻いている。
2
「とにかくこうして、みんなが集まってくれましたあ」
というタイミングで、
どーーん
背後、手賀沼上空に花火が打ち上がって、大きな花が綺麗に咲いた。
おーーっ、とみなが楽しげに空を見上げる。
3
どーん
どどーーん
花火の中、アサキは言葉を続ける。
「これから物語はちょっと重たい展開になるそうなので、『こーひーぶれいく』はこれでおしまいです。わたしたちはなにがあろうと変わらず、地球のため人類のため頑張りますので、読んでくださる皆様、これからも……」
4
全員の、花火に負けない大きな大きな叫び声。
「応援お願いしまーーーーーーーす!」
カシャッ!
作者から弁解
長い長い、長いコーヒーブレイクでした。何百杯飲めてしまうんだよというくらいの。
次章が最後のギャグ回。
まだまだ物語は続きますが、ただしアサキが言っていた通り、展開は少しハードでシリアスな感じになります。
ということで思い残すことないよう書いていたら(というかアサキたちが要求してくるので)、こんな長くなってしまいました。
物語の進行方向と結末は決まっており、そこへ向かってブレることなく突き進むつもりです。
これからもよろしくお願い致します。
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