恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十話 孔明、秘策を授けるのことその七
「あの男ともう一人。小柄な緑の髪の男がいるのよ」
「そっちは左慈っていうんだけれど」
「その連中が白装束の連中の頭目だ」
華陀も話す。
「あの連中にとって劉備殿の剣は効果があるんだ」
「それはどうしてなんですか?」
剣の持ち主が華陀に問うた。
「私の剣がどうしてその人達に効果が」
「あの連中は前にも何度かこの世界に介入していたのよ」
「その時にもね。あたし達と戦ったのよ」
「その時にあたし達が造った剣でね」
「劉備さんの御先祖様にあげたのよ」
衝撃の事実がだ。今明らかにされたのだった。
「その人はあたし達と一緒にあの連中と戦ってくれたから」
「それでなのよ」
「?まさかそれは」
周瑜は二人の話を聞いて察した顔になって言った。
「あの漢の高祖の」
「ええ、劉邦ちゃんよ」
「あの娘と一緒に戦って授けたのよ」
またしても衝撃の事実であった。
「漢王朝を統一して間も無くね」
「そうしたのよ」
「そうだったんですか」
それを聞いてきょとんとした顔になって応える劉備だった。
「御先祖様がですか」
「ええ、そうなのよ」
「事実って色々と面白いでしょ」
「というかびっくりし過ぎて」
孫策も唖然となっている。
「何て言っていいかわからないんだけれど」
「だが事情はわかってくれたわね」
「一連の事情が」
「それはね。とりあえずはね」
そうだと答える孫策だった。
「じゃあ華陀の護衛は劉備ちゃんがいいかしら」
「私がですか」
「だって。太平要術の書の傍には絶対に連中がいるわよ」
そのだ于吉達がだというのだ。
「だから。劉備ちゃんがいいじゃない」
「そうですか」
「ええ、それでどうかしら」
また言う孫策だった。
「それと関羽、張飛の二人もいれば護衛は完璧でしょ」
「いえ、まだです」
だが、だ。ここで孔明が言ってきた。
「向こうも桃香様の剣のことは御存知の筈です」
「ですよねえ。だってあの人達にとっての天敵ですから」
陸遜も話す。
「だったら余計に」
「桃香様が護衛を勤められるどころではなくなります」
劉備が集中的に狙われることによってだ。そうなるというのだ。
「最悪の場合何もかもができなくなります」
「ですが華陀さんの護衛は劉備さんが最適ですよ」
陸遜は孔明にこのことも話す。
「ですから。ここは」
「一つ仕掛けができればいいのですけれど」
こんなことも言う孔明だった。
「敵の目を欺く」
「そうしてその隙にですね」
「はい、華陀さんが書を封印されます」
孔明は己のその策を話していく。
「これならどうでしょうか」
「はい、いいと思いますよ」
陸遜は穏やかかつにこやかに笑って劉備の暗に賛成した。
「つまり。劉備さんの影武者を置いて敵の目をそちらに向かわせて」
「それでその隙にです」
「ああ、そうそう」
ここでまた言う孫策だった。
「華陀は隠して行った方がいいわね」
「俺は隠れるのか」
「あんたそういう術とか使えるかしら」
「いや、残念だがそうした術は使えない」
少なくとも彼は妖術使いではないのだ。
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