恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第八十九話 闇達、姿を現すのことその十一
「胸にだけ栄養がいくから」
「何言ってるのよ。この前なんて」
「お菓子食べ過ぎて曹操さんに怒られて」
曹操は彼女達の統括的な管理も行っているのだ。
「走らさせられて泳がさせられたわよね」
「何日も減量させられて」
「うっ、それでもよ」
妹達に言われて強張った顔になる。しかしそれでも言うのだった。
「お姉ちゃん胸だけが大きくなるからいいのよ」
「確かに胸は小さくならないわよね」
「姉さんの胸は」
「だからいいのよ」
言ったその傍から胸が大きく揺れる。
「それでね」
「全く。本当にお気楽なんだから」
「姉さんらしいといえばらしいけれど」
「ううっ、何かお姉ちゃんボロクソ」
妹達の言葉に泣きそうな顔になる。しかしだった。それでも張角は張角でありだ。相も変わらずまだこんなことを言うのだった。
「気を取り直してね」
「気を取り直して?」
「どうするの?」
「都に向かう間にね」
どうするかというのである。
「旅行しよう」
「今度は旅行なのね」
「遊んでばかり」
「だって。人生遊ばないと駄目よ」
言うことは何をしてもだ。全く変わらないのだった。
「だから。旅行楽しもう」
「まあね。あたし達も旅行は好きだし」
「だから旅芸人に戻ったっていう面もあるから」
「じゃあいいわよね」
こんな話をしてだった。三姉妹もまた都に向かうのだったその中でだ。
実際にだ。張角は旅の中で外の風景を見ながら話すのだった。
「やっぱりこうしてお外を見るのって」
「楽しいのね」
「それだけで」
「お姉ちゃん旅大好き」
まさにそうだというのである。
「こうして旅行をするのも好き」
「やれやれ。お姉ちゃんって昔から」
「些細なことで満足できるのね」
「駄目かな、それって」
きょとんとした顔でまた妹達に尋ねる。
「だって。幸せって普通にその辺りにあるじゃない」
「それを見つけて楽しめるのがね」
「姉さんらしいのよ」
「だから。それが駄目なの?」
少しきょとんとした顔で妹達にまた問う。
「幸せを見つけて楽しむのって」
「悪いとは一言も言ってないわよ」
「私も」
二人共微笑んで長姉に話す。
「姉さんはそれでいいのよ」
「私達もそうだし」
「そうよね。幸せってあちこちにあるのよ」
それでだというのだ。
「それを見つけて楽しむのよ」
「だからいいのね」
「それで」
「そう、幸せは何処にでもあるから」
左手の人差し指を出してだ。張角は明るく話す。
「これからも楽しんで生きようね」
「そうした姉さんと一緒にいるのも」
「幸せね」
そうした話をしながらだ。三姉妹も都に向かうのだった。都に星達が集ろうとしていた。そうしてそのうえでだ。運命の戦いがはじまろうとしていた。
第八十九話 完
2011・6・14
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