恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第八十九話 闇達、姿を現すのことその八
「そしてこの国にもいるのよ」
「素晴しいことです」
ゲーニッツは軽い拍手をして司馬尉に述べた。
「人の世の秩序なぞ何にもなりません」
「その通りよ。それに私は血も愛するわ」
このこともだった。司馬尉は闇の中で自ら話した。
「戦いになればその時は」
「常にですね」
「ええ、血を見させてもらうわ」
笑みにある酷薄さがだ。さらにだった。
その笑みでだ。彼女は言うのである。
「捕虜なぞ取らないわ」
「あれだな。京観だな」
左慈がこの言葉を出した。
「骸で門を作るか」
「あれを作るのは至上の喜びよ」
司馬尉にとってはだ。それが彼女の趣味なのだ。
「血が流れる骸で築くことはね」
「やはりいい趣味です」
また言うゲーニッツだった。
「その残酷さ、まさに私達の同志に相応しい」
「ゲーニッツはそういうのが好きだからね」
シェルミーは微笑んでこうゲーニッツに話した。
「だからこそね」
「はい、私は血を好みます」
仕草だけはだ。慇懃である。
「ですから」
「そういうことね。では私達もね」
「俺は血を見る趣味はないがな」
それでもだとだ。社も言うのだった。
「それでも戦いは好きだからな」
「では。皆さん」
于吉が温厚に話す。
「今から向かいましょう」
「戦場にだな」
「そうです。彼等はもう迫っています」
ここでまた左慈の言葉に応えるのだった。
「それでは」
「あの連中の相手も久し振りだな」
こうしたことも言う左慈だった。
「目立つからすぐにわかるがな」
「目立つ?ああ、あの二人だね」
クリスがすぐに気付いた顔で応えた。
「不気味なオカマ達だね」
「あれは私も驚いたわ」
ミヅキがシェルミーの言葉に続く。
「まさか。ああした外見の人間がいるとはね」
「俺は妖怪かと思ったぜ」
社は今は本気である。
「人間じゃないってな」
「まあそう思われるのもです」
「当然だけれどな」
二人はそのことを否定しなかった。
「あの外見では」
「無理もないことだ」
「そうだよな。けれど人間なんだな」
社がまた言う。
「それは間違いないのはわかったさ」
「それにしても異様だけれどね」
「見るのが辛いよ」
こんなことも言うシェルミーとクリスだった。
「まあとにかく」
「あの連中とも戦うのかな」
「おそらくは」
そうだとだ。于吉が彼等に答える。
「そうなります」
「そうですか。では何かあればです」
ゲーニッツが于吉のその言葉に頷く。そうして。
彼等は闇から去った。そのうえで戦場へと向かうのだった。
連合軍は遂に洛陽を見た。そこで孫策が言うのであった。
「都に来るのも久し振りね」
「そうじゃなあ」
黄蓋もここで言う。
「前に来たのは何時じゃったかのう」
「そういえばお母様が亡くなってから都を見ていないわ」
「何かと忙しかったからな」
「そうそう。揚州を治めて」
まずは政だった。全てはそこからだ。
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