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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十九話 闇達、姿を現すのことその七

「遅いですね」
「そうか。ではやはり」
「ですから先程も申し上げたのです」
 于吉は話をそこに戻した。
「この洛陽の戦いだけでは終わらない可能性があります」
「厄介な話だな」
 それを聞いてだ。左慈は顔を顰めさせて述べた。
「俺としては一気に終わらせたいんだがな」
「一気にですか」
「そうしてこの世界をさっさと壊したいんだがな」
「ええ。私達の目的は破壊と混乱です」
 于吉も笑みで左慈の言葉に返す。
「だからこそ」
「しかしそうは問屋が卸さないか」
「残念ですがそれは中々なようです」
「わかった。ではここで終わらなくてもだ」
 それでもだと。左慈は意を決した顔で述べた。
「戦わせてもらおう」
「そうだ。俺としてはだ」
 刹那も出て来た。
「ここで終わっては面白くない」
「常世をこの世に出す為には」
「そうだ。それにはより多くの血と絶望が必要だ」
 刹那は于吉に対して述べた。
「より多くのな」
「ただ。厄介なことは」
 黒く長い髪を持つ切れ長の目の女がいた。長身を巫女の服で包んでいる。妖艶でそこにはこの世あらざる美貌を見せている。その女が言うのだった。
「常世も。私にも」
「そうだな。封印を施す者達が来ているな」
「四霊に四宝珠がね」
「そしてだ」
 刹那はその女、羅将神ミヅキに応えながらだ。オロチ一族の面々を見た。
 そしてそのうえでだ。こう彼等に言うのだった。
「御前達もだな」
「はい、そうです」
 その通りだとだ。ゲーニッツが答える。
「あの三種の神器の家もまた」
「俺達も全員来てるけれどな」
 社は明るい笑顔で話す。
「向こうも全員だからな」
「そうは楽にはいかないということですね」  
 于吉が言う。
「私達に対しても来ていますし」
「来るのはわかっていたがな」
 左慈は同志の言葉にこう返した。
「あの二人はな」
「しかもこの世界にもいますし」
「あの赤い髪の医者だな」
「彼のあの術はです」
 于吉の目の光が強くなった。それまでは目も笑っていたがその笑みが消えていた。その剣呑な目でだ。彼はさらに話すのだった。
「太平要術の書を封じます」
「あれに力を蓄えさせてだったわね」
 司馬尉がここで于吉に問うた。
「その力で。この世界を」
「はい、混沌と破壊の世界にします」
 于吉もだ。こうだと司馬尉に答える。
「その力があの書にはあります」
「いいことよ。私にしてもね」
「貴女の王朝には秩序はありませんね」
「秩序?」
 その言葉自体にだ。司馬尉は冷笑で返した。
「そんな下らないことには興味はないわ」
「破壊と混沌、怨嗟と憎悪で彩られる国ですね」
「それが私の目指す国」
 司馬尉の笑みが変わった。冷笑から酷薄なものに。
 その笑みでだ。彼女は于吉に話すのだった。
「漢の次の国よ」
「そうですね。だからこそですね」
「貴方達と共にいるのよ」
 その本当の狙いをだ。司馬尉は話すのだった。
 
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