恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第八十九話 闇達、姿を現すのことその三
「皆、西の方だけれど」
「西?」
「西って?」
「うん、擁州って場所だけれど」
その州においてだというのだ。
「そこにね」
「擁州がどうしたの?」
劉備がそのリムルルに問うた。
「一体何が起こったの?」
「そこに袁紹さんの軍が雪崩れ込んで」
そうしてだというのだ。
「占領しちゃったんだって」
「だからですか」
「それでなのですね」
ここでだ。孔明と鳳統が言った。
「袁紹さんの軍が思ったより少なかったのは」
「審配さん達がいなかったわ」
「だからですか」
「西から擁州を攻める為だったのですか」
このことがだ。今になってわかったというのだ。
そしてだ。本陣の袁紹はだ。
満足している顔でだ。こう高笑いするのだった。
「おーーーーほっほっほっほ!上手くいきましたわね」
「やっぱりそうしていたのね」
「ええ、そうですわ」
勝ち誇った感じでだ。袁紹は曹操に応えた。その右手は己の顔に添えてだ。高らかな声でだ。意気揚々と笑っているのであった。
「涼州も手中に収めているなら当然ですわ」
「そうね。西からも攻める」
「所謂分進合撃ですわ」
「それで相手を追い詰めるつもりだった」
「あの娘ではありませんでしたけれど」
それでもだというのだ。
「ですが上手くいきましたわ」
「といいたいけれどね」
しかしだとだ。ここで曹操はこう袁紹に話してきた。
「どうも勝手が違ってきたわね」
「どういうことですの、それは」
「私達の今の相手よ」
彼等のことだとだ。曹操は話すのである。
「わかるでしょ。あの連中がいるわ」
「白装束のあの」
「ええ。官渡で私達を襲ったね」
そのだ。彼等がだというのだ。
「貴女は匈奴の地でも襲われたそうだけれど」
「ええ、そういうこともありましたわ」
その通りだと答える袁紹だった。そのうえでだ。
彼女はだ。こう曹操に話した。
「では。あの者達が」
「ガルフォード達から聞いたわ」
曹操は都に入った彼等に聞いたというのだ。
「貴女はまだ聞いていなかったのね」
「今聞こうと思っていましたけれど」
「やれやれ。そういうところが抜けてるんだから」
袁紹のムラッ気が出てしまっていたのだ。彼女のそうした性格はこうした時にも出るのだった。この辺りが彼女をいささか滑稽な感じにさせている。
だがそれにめげずだ。袁紹は言うのだった。
「今わかりましたからいいですわ」
「それはそうだけれどね。とにかくね」
「その白装束ですわね」
「ええ、出て来るわ」
曹操は鋭い目になって袁紹に話した。
「それなら。わかるわね」
「ええ。それでしたら」
「攻めるわ」
一言だった。
「いいわね。遠慮なく攻めるわよ」
「わかっていますわ。官渡、そして匈奴での恨み」
袁紹も強い目になって曹操に応える。
「必ず返しますわ」
「ええ、何があろうともね」
「では華琳」
袁紹はあらためて曹操に話した。
「いざ都に」
「先陣はわかっているわね」
「ええ、わかっていますわ」
それでいいとだ。袁紹も応える。
「ではいざ」
「都に向かいましょう」
こう話してだった。彼女達も都に向かうのだった。
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