| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十九話 闇達、姿を現すのことその三

「皆、西の方だけれど」
「西?」
「西って?」
「うん、擁州って場所だけれど」
 その州においてだというのだ。
「そこにね」
「擁州がどうしたの?」
 劉備がそのリムルルに問うた。
「一体何が起こったの?」
「そこに袁紹さんの軍が雪崩れ込んで」
 そうしてだというのだ。
「占領しちゃったんだって」
「だからですか」
「それでなのですね」
 ここでだ。孔明と鳳統が言った。
「袁紹さんの軍が思ったより少なかったのは」
「審配さん達がいなかったわ」
「だからですか」
「西から擁州を攻める為だったのですか」
 このことがだ。今になってわかったというのだ。
 そしてだ。本陣の袁紹はだ。
 満足している顔でだ。こう高笑いするのだった。
「おーーーーほっほっほっほ!上手くいきましたわね」
「やっぱりそうしていたのね」
「ええ、そうですわ」
 勝ち誇った感じでだ。袁紹は曹操に応えた。その右手は己の顔に添えてだ。高らかな声でだ。意気揚々と笑っているのであった。
「涼州も手中に収めているなら当然ですわ」
「そうね。西からも攻める」
「所謂分進合撃ですわ」
「それで相手を追い詰めるつもりだった」
「あの娘ではありませんでしたけれど」
 それでもだというのだ。
「ですが上手くいきましたわ」
「といいたいけれどね」
 しかしだとだ。ここで曹操はこう袁紹に話してきた。
「どうも勝手が違ってきたわね」
「どういうことですの、それは」
「私達の今の相手よ」
 彼等のことだとだ。曹操は話すのである。
「わかるでしょ。あの連中がいるわ」
「白装束のあの」
「ええ。官渡で私達を襲ったね」
 そのだ。彼等がだというのだ。
「貴女は匈奴の地でも襲われたそうだけれど」
「ええ、そういうこともありましたわ」
 その通りだと答える袁紹だった。そのうえでだ。
 彼女はだ。こう曹操に話した。
「では。あの者達が」
「ガルフォード達から聞いたわ」
 曹操は都に入った彼等に聞いたというのだ。
「貴女はまだ聞いていなかったのね」
「今聞こうと思っていましたけれど」
「やれやれ。そういうところが抜けてるんだから」
 袁紹のムラッ気が出てしまっていたのだ。彼女のそうした性格はこうした時にも出るのだった。この辺りが彼女をいささか滑稽な感じにさせている。
 だがそれにめげずだ。袁紹は言うのだった。
「今わかりましたからいいですわ」
「それはそうだけれどね。とにかくね」
「その白装束ですわね」
「ええ、出て来るわ」
 曹操は鋭い目になって袁紹に話した。
「それなら。わかるわね」
「ええ。それでしたら」
「攻めるわ」
 一言だった。
「いいわね。遠慮なく攻めるわよ」
「わかっていますわ。官渡、そして匈奴での恨み」
 袁紹も強い目になって曹操に応える。
「必ず返しますわ」
「ええ、何があろうともね」
「では華琳」
 袁紹はあらためて曹操に話した。
「いざ都に」
「先陣はわかっているわね」
「ええ、わかっていますわ」
 それでいいとだ。袁紹も応える。
「ではいざ」
「都に向かいましょう」
 こう話してだった。彼女達も都に向かうのだった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧