恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第八十八話 張譲、切り捨てられるのことその二
「やはりここはな」
「そうよ。だからあたし達もね」
「この腕を見せるわよ」
「美と拳」
「その二つをね」
「ああ、頼む」
華陀はだ。ここでも何でもないといった返答だった。
「期待しているからな」
「ダーリンの期待なら応えるわよ」
「絶対にね」
「ああ。俺も戦う」
華陀もだ。そうするというのだ。
「俺には俺の戦い方があるからな」
「そういえば華陀殿は」
クラウザーがその華陀について話した。
「確か格闘は」
「悪いがあんた達程じゃない」
彼等程だ。戦えないというのだ。
「そうしたことはな」
「そうだったな。格闘はな」
「だが針は使える」
それはだ。いけるというのだ。
「これでどんな病も光となって消してだ」
「そしてだな」
「どんな悪も封じてみせる」
そうするとだ。今度はギースに話すのだった。
「必ずな」
「いや、針など使わずともだ」
ここでギースはこんなことを言った。
「貴殿は悪しきものを消せるな」
「そうなのか?」
「私はこの世界に来るまでしがらみを持っていた」
そのしがらみ故にだ。ギースはギースになったと言っていい。
そのうえで己の足首を掴んでいるクラウザーを見てだ。そうして話すのだった。
「わかるな」
「私も同じだからな」
「我等の父は同じだった」
ギースとクラウザーは腹違いの兄弟なのだ。このことは彼等をして彼等にしていると言っていい。それこそがしがらみなのである。
「それ故に憎しみ合ってきたな」
「そして力を得ようとしてきたな」
「そうだった」
まさにそうだというのだ。
「あの男とのこともその一環だった」
「ジェフ=ボガードだな」
「知っていたか」
「知らない筈がない」
そうだとだ。クラウザーはギースに述べた。
「私と貴様は。結局はだ」
「同じだな」
「鏡なのだ」
それだとだ。お互いに話す二人だった。
「我等は鏡なのだ」
「鏡だったのだな」
「だからこそわかるのだ」
そうだとだ。クラウザーはギースに話していく。
二人はそう話し合う。そうしてお互いも自分自身も見ているのだった。
「貴様のこともな」
「そうなのだな」
「私は父を殺した」
彼等の父、その彼をだというのだ。
「それ故に。それを忘れる為にだ」
「裏の世界で生きてきたのだな」
「貴様が闇の世界に生きてきたのと同じだ」
「裏と闇か」
「ここでは言葉が違うだけだ」
実質には同じものだとだ。二人はわかっていた。
「我々はその世界で生きてきた」
「私は。その中でだ」
ギースは話を戻してきた。その話こそはだった。
「あの男を自らの手で殺した」
「ジェフ=ボガードだな」
「それからだった。あの兄弟との因縁がはじまった」
テリーとアンディだ。ジェフの養子達だ。だが養子であってもだ。二人の絆はだ。あまりにも強く深いものであったのである。
しかしギースはその絆を切ったのだ。ジェフを殺したことによりだ。
そのことについてだ。彼は話していくのだった。
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