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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十八話 張譲、切り捨てられるのことその一

                          第八十八話  張譲、切り捨てられるのこと
 遂にだ。怪物達もだった。
 ある場所に足を進めていた。むしろ飛んでいた。
 彼等は仲間達に自分達の足首を掴ませそれで何人も縦に連なってだ。そのうえで空を飛びだ。目的地に向かっていた。
 眼下に広がる黄土の大陸を見ながらだ。彼女達は話すのだった。
「どれ位で着くんだ?」
「三分後よ」
「それ位よ」
 こうだ。貂蝉と卑弥呼は自分達の足首を掴む華陀に対して答える。卑弥呼が先頭で貂蝉が二番目だ。つまり華陀は貂蝉の足首を掴んでいるのだ。
 そうして飛びながらだ。二人は華陀に話したのだ。
「少しだからね」
「ちょっとだけ我慢してね」
「いや、我慢する必要は感じてないからな」
 そのことについてはすぐに述べる華陀だった。
「むしろ楽しいな」
「御空を飛んでることね」
「そのことよね」
「ああ、とてもいい」
 華陀は実際に満足している顔である。
「出来れば俺も空を飛びたいものだな。自分の力でな」
「あら、そんなの簡単よ」
「誰でもできるわよ」
 二人にとってはそうなのだった。
「こんなの初歩の初歩よ」
「歩くのと同じ感じよ」
「それは絶対に違うな」
「間違いなくな」
 天草と獅子王が二人の言葉に突っ込みを入れる。
「空を飛ぶことなぞ」
「普通の人間はできはしない」
「だから。この二人は」
「そもそも何者なのだ?」
「まあ仙人でもあるわよ」
「拳法の伝承者だし」
 二人の口からその謎に包まれた素性まで話される。
「古の夏の時代、いえ三皇五帝の時からね」
「この世界のことは知ってるわよ」
「やはり人間ではないな」
 刀馬はその言葉からこのことを確信した。
「少なくとも常人ではない」
「仙人だと言っていますが」
 命はそのこと自体を信じていない。
「妖怪変化なのかも知れません」
「悪の存在ではないが」
「しかし。それでもだ」
 ギースとクラウザーはこんなことも話した。
「人間かどうか」
「不安が残るな」
「そうよね。あたし達の美はこの世のものじゃないから」
「だからね」
 かなりポジティブに考えている二人だった。
「そう思われるのも当然ね」
「罪な女ね。あたし達って」
「とにかくだ」
 華陀だけが動じていない。しかも全くだ。
「都では動きがあったな」
「ええ、遂にね」
「あの娘が助け出されたから」
 董卓のことであるのは言うまでもない。
「あちらも動くわよ」
「連合軍も都に迫ってきているし」
「遂にだな」
 華陀のその目が強いものになる。
「運命の時が来るな」
「ええ、最初の決戦よ」
「その時が来ているわ」
 怪物達の目もここで光る。不気味にだ。
「あの連中、来るわ」
「それに対してどうするかよ」
「戦うしかないな」
 これが華陀の結論だった。
 
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