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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十七話 張遼、関羽に諭されるのことその九

「そうした雑念は全くないわ」
「そうだろ。二人はお互いに好きなんだよ」
「御友達としてなのね」
「そう、友達なんだよ」
 それだとだ。馬超は話した。
「だからああして勝負をしてるんだよ」
「大丈夫よ」
 黄忠は優しい微笑みで劉備に話す。
「二人はね」
「ですね。それじゃあ」
「愛紗ちゃんも張遼さんも」
 あの二人はだ。どうかというのだ。
「心を見せ合っているから」
「そうですね。心をですね」
「だから見ていましょう」
「わかりました」
 こうした話をしながらだ。劉備達は二人の闘いを見続けるのだった。
 その闘いは正午、日が高くなってだ。遂にだった。
 二人共同時に倒れ込んだ。そのままお互い大の字になって横たわる。得物は己の傍に置いて。そのうえで二人で話すのだった。
「見せてもらったぞ」
「うちもや」
 二人は満足している声で話す。
「御主の心、全てな」
「こっちもな。あんたの心は」
「どうなのだ?」
「ええわ。やっぱりうちが惚れただけはあるわ」
「私はおなごの趣味はないが」
 こう断ってからだ。関羽も話す。その顔は満足した笑みになっている。
「だがそれでもな」
「うちのこと。好きになってくれたんか?」
「前から気に入っていた」
 そうだったと話してからの言葉だった。
「だが。今はだ」
「余計にやねんな」
「そうだ。さらに好きになった」
 そうなったというのである。
「御主には。全てを許せるな」
「ほな夜一緒に過ごすか?」
「それは駄目だが」
 それでもだというのだ。
「だが。御主にも背中を預けられる」
「そう言うてくれるか」
「真名だが」
 関羽からの言葉だった。
「いいか?」
「授けてくれるんか?」
「そうだ。言わせてもらっていいか」
「有り難いな」
 心から微笑んでだ。張遼も言う。
「そやったらうちから言わせてもらうわ」
「御主からか」
「そや。うちの真名は霞」
 張遼は自分の真名から話した。
「覚えておいてや」
「わかった。では私の真名はだ」
「ああ、何やったかな」
「愛紗だ」
 その真名をだ。関羽は話した。
「覚えておいてくれ」
「わかったで。ほな愛紗」
「うむ、霞」
「腹減ったな」
 自分の頭上にある輝く日輪を見てだ。張遼は言った。
「御昼にするか」
「そうだな。では二人でだな」
「食おうで。たっぷりとな」
「では何を食おうか」
「鍋にせえへんか?」
「鍋か」
「そや、鍋や」
 それはどうかとだ。関羽に話すのだった。
「二人で。いや皆で鍋をつつかへんか?」
「いいな、それでは今からな」
「ああ、食おうで」
 こうした話をしてからだ。二人は起き上がり仲間達に加わりその鍋を食べるのだった。関羽と張遼はだ。今その絆を築き確かなものにしたのだった。


第八十七話   完


                         2011・6・9 
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