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ドリトル先生と牛女

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第四幕その五

「ルイ十四世だけれど」
「フランスの王様だったね」
「ブルボン朝の」
「太陽王だったね」
「あの人はとあるお医者さんが歯は万病の元と言い出して」
 それでというのです。
「その人の手術を受けて歯を全部抜いたんだ」
「全部って」
「それは凄いね」
「というか歯が万病の元とか」
「よくそんなこと言ったね」
「医学は色々紆余曲折もあって」
 ただ順調に進歩していた訳ではないというのです。
「色々珍説も出てね」
「それはもう珍説の中の珍説だね」
「何といっても」
「物凄い説もあったね」
「聞いていて驚いたわ」
「それでルイ十四世は歯を全部抜いたけれど」
 それでもというのです。
「麻酔なしでかも抜いた跡を埋める為に焼きゴテも入れたんだ」
「それって酷過ぎてね」
「逆にそのお医者さんに怒りたいわ」
「よくそんな学説出たね」
「出せたわね」
「しかも手術は失敗して」
 そしてというのです。
「お口とお鼻がつながったんだ」
「尚更酷いね」
「もう悪魔みたいな所業だね」
「麻酔なしで歯を抜いて焼きゴテって」
「しかも手術が失敗したって」
「これで終わりじゃなかったしね」
 ルイ十四世の受難は続いたというのです。
「歯が全部なくなったから」
「ああ、噛めないね」
「歯がないから」
「それも一本もだから」
「噛めないね」
「相当柔らかくしたものしか食べられなくなってね」
 噛めなくなってというのです。
「消化不良と下痢にも苦しんで」
「ただ痛いだけでなくて」
「まだなんだ」
「まだ続いたんだ」
「本当に地獄だね」
「さらになんて」
「おトイレが極端に近くなって」
 下痢をしてです。
「お口と鼻がつながったから食べたものがお鼻から吹き出てね」
「それも嫌だね」
「どうにも」
「苦しいよ、それ」
「食べたものがお鼻にいくって」
「そうしたことあるけれど」
 それでもとです、皆も言います。
「それがいつもだとね」
「これまた地獄だね」
「地獄の苦しみだね」
「何といっても」
「しかもお口の隅から隅まで奇麗に出来なくなったんだ」 
 ルイ十四世の苦しみはまだありました。
「お鼻とつながったからね」
「ああ、お口だけだとね」
「歯磨きをしたらお口全体も奇麗になるね」
「歯磨き粉が歯を磨いているうちに泡になって」
「それでお口全体も奇麗になるね」
「そうなるわね」
「それもなくなってね」 
 お鼻とつながった結果です。
「お口の中を全部奇麗に出来なくなって口臭もね」
「酷くなったんだ」
「そうなったのね」
「噛めなくなって下痢にもなって」
「口臭も酷くなって」
「あとあまりにも酷い下痢で」
 また下痢のお話になりました。 
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