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ドリトル先生と牛女

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第四幕その六

「体臭もね」
「ああ、それもね」
「仕方ないね」
「下痢が酷いとね」
「まあそのね」
「おトイレに行く前にとか」
「口臭も体臭も酷くなったんだ」
 両方共というのです。
「本当に大変だったんだよ」
「歯を全部抜いたらだね」
「そこまで酷いことになったの」
「もう地獄の苦しみじゃない」
「いいことは一つもない」
「ルイ十四世も大変だったね」
「これが四十一歳の時でルイ十四世は七十九歳まで生きたけれど」
 それでもというのです。
「ずっとね」
「ルイ十四世は大変だったんだ」
「歯を全部抜いたせいで」
「あとの三十八年はそうだったのね」
「人生ではかなり長い期間だけれど」
「大食漢でもあったけれど」
 そちらでも有名な人だったというのです。
「本当にね」
「大変だったんだね」
「どれだけ歯が大事かわかったわ」
「そうしたお話を聞いたら」
「僕もそう思うよ、医学は紆余曲折もあって」
 順調に進歩しているのではなく、です。
「珍説も結構出ているけれどね」
「それはまた極端ね」
「歯が万病の元とか」
「どうしてそうした結論になったかわからないけれど」
「とんでもない珍説ね」
「今の医学からみればそうした説もあったんだ」
 昔はというのです。
「本当に医学も他の学問と同じでね」
「紆余曲折があったのね」
「そうなんだね」
「かつては」
「そして今もかな」
「うん、今もかもしれないよ」
 先生も否定しませんでした。
「人は間違えるもので時としてね」
「おかしなことも言うから」
「そしておかしなこともするし」
「だからなのね」
「今もなんだね」
「そうした説も出ていると思うよ」
 珍説、それがというのです。
「僕もね」
「あらゆることで言えますね」
 トミーも言ってきました。
「世の中では」
「うん、ちょっと考えればおかしなことでもね」
「そうしたことを言う人が」
「そこは冷静に考えてね」
「自分でも検証してですね」
「見極めないとね」
 そうしないと、というのです。
「僕達も間違えてしまうよ」
「そういうことですね」
「そう僕は思うよ」
 こうお話してでした。
 皆はこの日は寝ました、そしてです。
 八条病院で牛女さんの歯の手術の日と時間も決まって先生はその準備にも入りましたがここで、でした。
 動物の皆は研究室で論文を書いている先生に言いました。 
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