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ドリトル先生と牛女

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第三幕その九

「それじゃあだね」
「お嬢様なのね」
 ダブダブははっきりと言いました。
「牛女さんは」
「それでこうしたお家に住んでるんだね」
「そうなのね」
 チープサイドの家族は二階建てで結構な大きさのお家を見ています、見ますとお庭も結構な広さでよく整っています。
「お嬢様だから」
「それでだね」
「いや、本当にいいお家だよ」
 トートーも言います。
「上品でね」
「風情もあるよ」
 ホワイティはこのことを言いました。
「中々ね」
「しかも気候もいいね」
 チーチーは涼しいものを感じました。
「ここは」
「冬は寒いだろうけれどね」
「それ以外は最適だね」
 オシツオサレツは二つの頭で言います。
「まあ牛さんは寒さに強いし」
「冬も大丈夫かな」
「牛女さんは暑いのが苦手よ」 
 口裂け女も皆に言います。
「だから冬もね」
「寒い方がいいんだ」
「牛さんだから」
「そうなのね」
「そうなの、だからここにお家を持っていて」
 そうしてというのです。
「静かに暮らしているの」
「そういうことだね。それじゃあ」
 先生は口裂け女に言いました。
「これから」
「中に入って下さい」
「そうさせてもらいますね」
 先生は口裂け女に礼儀正しく応えました、そうしてです。 
 お家の中に入りますとすぐに牛の頭をした大正時代の書生さんを思わせる格好の人が出て来ました。 
 その人は先生達を見るとすぐに尋ねてきました。
「ドリトル先生ですね」
「はい」
 先生はその人にも礼儀正しく答えました。
「そうです」
「そうですか、よくぞおいで下さいました」
「はじめまして」 
 お互いに深々と挨拶します、そしてです。
 その人は先生にこう言いました。
「僕はお嬢様の従者でして」
「そうですか」
「名前を潤一郎といいます」
「潤一郎さんですか」
「名前は。姓は件といいますと」
「といいますと」
「実は僕もこのお屋敷にいる人達も」
 皆というのです。
「牛から生まれまして」
「牛の頭をお持ちなんですね」
「そうした妖怪でして」
 それでというのです。
「それで件とは逆ですが」
「姓はですね」
「そうなっています」
「そうなのですね」
「お嬢様も同じ姓です」
「件というのですか」
「はい」
 そうだというのです。
「お嬢様が決められました」
「姓のことは」
「そして名前もつけてくれました」
「では皆さんは」
「お嬢様は家族とです」
 その様にというのです。
「言われています」
「左様ですか」
「はい、そして」 
 牛の青年さんはさらに言いました。 
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