魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Saga14現代によみがえる伝説~Fist of destruction~
†††Sideイリス†††
フォード(仮)もプリムス(仮)もヤバかったけど、レオン(仮)って奴もとんでもなかった。DBのブ〇リーのような体格のクセに、攻防力や機動力も似たような反則級。ルシルの様子からして(仮)組と同じ、大昔の魔術師の生まれ変わりであると見ていい。
――女神の祝福――
『すまない、力を貸してくれ!』
レオン(仮)にボッコボコにされてダウンしてたわたし達を覆うサファイアブルーの魔力。ルシルの治癒魔術だ。そのおかげでダメージが一瞬で回復。すぐに立ち上がって、ルシルとルミナとミヤビの猛攻を受けてもビクともしないアイツの元へ駆け出す。
(ていうか、何を食べたらあんな体型になるわけ? リアルでDBのキャラクターみたいな人、初めて見た)
“トロイメライ”の柄を両手で握りしめ、ルミナとミヤビをガードの上から10m以上殴り飛ばしたレオン(仮)に、「でぇぇぇぇぇい!」斬りかかった。もちろん刃を返しての峰打ちだ。
「峰打ちなど言語道断! 貴様、確かフライハイトだったな! それでも名高きレーベンヴェルトの騎士か!!」
骨折くらいは許してね♪って感じで打撃力を全力強化したのに、肌どころか体を覆ってるうっすい魔力膜にすらダメージが入らない。わたしの攻撃を受けた太い(わたしの腰回りより太いな~)左腕を払って、わたしは数mと飛ばされた。
「召喚を行う! サポートをお願い! 汝は果て無き天を衝く巨いなる者!」
「召喚とな!? 面白そうだが、今は止めさせてもらうぞ!」
「後でちゃんと治癒魔導師に治療させるから!」
――制圧せし氷狼――
セレスの手加減なしの氷狼群を生成。それらがレオン(仮)に殺到していく。全身を噛まれているのにアイツは構わず、召喚魔法を発動しようとしてたクラリスへ戦車のごとく突っ込んでいく。それを黙って見守るわたし達じゃないよ。
「その歩みで地を蹂躙し、振る手は空を薙ぎ払う!」
「ああ、こちらもお前を止めさせてもらおう!」
――天地に架かれ痺れる汝の明星――
クラリスとアイツとの間の地面から30発の雷撃系砲撃を空へ向かって持続照射して、砲撃の防壁を作った。その間にミヤビがクラリスの前に移動し、両腕に竜巻を纏わせた。
「痺れもせんわ、神器王!」
「一方通行の聖域!!」
砲撃の防壁を突破してきたレオン(仮)を閉じ込めるセラティナ。魔力による強化が一瞬で強制解除されて、ビタン!と結界の内壁にぶつかりヒビを入れたその瞬間、ミヤビが結界に向かって突進。
――風牙裂千 空帝 双嵐掌――
「えええええええええい!!」
竜巻を纏う両掌底が結界の外壁をすり抜け、レオン(仮)のお腹に直撃した。奴は「むぐぅ!」と声を上げ、反対側の内壁に背中から打ち付けられた。防御魔力膜を結界で失い、内壁にぶつかって体勢は悪かった。そこでミヤビのほぼ全力の一撃。普通の魔導師なら絶対に死ぬレベルだけど、「うむ! まだこの娘の方が痛いぞ!」ってルシルを見て鼻で笑った。そして背後の内壁に向かって肘打ちして、一撃で粉砕して自由の身になった。
――パトリオタ――
そしてまた全身を魔力膜で覆った。本当に薄いのにとんでもなく堅いアレをどうにかしないと、わたし達に勝機は無い。ルシルとミヤビの横に並ぶようにわたしとルミナも立ちはだかったところで・・・
「行く手は苛烈なる戦火、過ぎ去るは打ち斃せし亡者の群れ。汝が主の命に応じ、いざ参れ!」
クラリスの詠唱が完了して、あの子の腕の中に小さな狐が1匹と召喚された。レオン(仮)の目が丸くなって、すぐに「これはまた愛らしい動物だが・・・。我を舐めているのか?」って柔和だった瞳がキッと鋭くなった。3mはある巨体に真正面から見下ろされるとかなり怖い。
「それは確かめてみるといい。ナデシコ!」
「わしを投げるがよい、クラリス!」
「人語を解す動物! なるほど! 魔族か! 考えを改めよう! 来るがいい!」
――グアルディア――
そう言って楽しそうに笑うレオン(仮)へ向かってクラリスは狐――ナデシコをポイッと放り投げた。わたし達は巻き込まれないようにその場からダッシュで離脱。ナデシコは宙を舞う中で徐々に巨大化を始めて、「殺すなと言われておるでな。加減はしよう」ってフカフカそうなお腹によるボディプレスでレオン(仮)を圧し潰した。
「・・・で? ルシル、今ので倒せたと思う?」
「ナデシコの体重がどれだけあるか判らないから断言は出来ないが、おそらくダメだろうな」
ルシルにそう聞いていたところで、ナデシコが「む? こ奴・・・!」って唸って、徐々に体が持ち上がってく。ナデシコは伏せたままでいようって踏ん張ってるけど、とうとうほんの僅かだけど投げ飛ばされた。レオン(仮)はボディプレスを受ける前と変わらず立ったまま。唯一の違いは足が地面にめり込んでることだけど、脚からの魔力放出によって地面にクレーターを作って自由にさせた。
「なかなかやるではないか!」
ナデシコが前足でレオン(仮)に殴り掛かったけど、アイツは片手で巨大な前足を受け止めた。そしてもう片方の手でも前足を掴むと、「わーはっはっはっは!」大笑いしながらナデシコをジャイアントスイングのように振り回し始めた。
「わわっ!」
とっさにしゃがみ込まなかったら直撃食らってホームランされてたよ。みんなも同じように伏せてて、どう近付こうか思案してたらナデシコが召喚されたときの小さな姿に変身した。突然振り回してたナデシコが小さくなって手からすっぽ抜けて、居なくなったことでアイツは体勢を崩した。
――閃駆――
――神速獣歩――
――ゲシュヴィント・フォーアシュトゥース――
――ラケーテ――
――鉄兵風馳――
わたしとセレスとルミナとクラリスとミヤビはそれぞれ高速移動でレオン(仮)へと突っ込んだ。包囲するような位置取りに着いて、わたしは“トロイメライ”に魔力を付加、セレスは“シュリュッセル”に冷気を付加、ルミナは防壁・結界貫通の一撃を、クラリスは“シュトルムシュタール”全体に魔力付加、ミヤビは右拳に炎の竜巻を付加。
「光牙月閃刃!」
「氷奏閃!」
「シュトゥースヴェレ!」
「フェアシュテルケン・ガンツ・・・!」
「風陣炎旺拳!」
――サビオ――
一斉に攻撃を胴体に打ち込んだ・・・んだけど、「むふぅ。効かんなぁ!」ってレオン(仮)は両腕を振り払ってわたし達を弾き飛ばした。殺す気とまではいかないけど、数ヵ月の入院レベルの魔力と神秘を込めたのに全くと言っていいほどに効果が無い。
「わたし達の攻撃でも通用しないなんて・・・」
――槍神の投擲――
空から飛来したのはサファイアブルーの巨大な魔力槍。レオン(仮)は両手で槍の先端を鷲掴んで止めて見せた。ニヤリって笑うアイツだけど、空高くから空戦形態のルシルが急降下してきて、「おらぁぁぁぁぁぁ!」槍の石突を踏みつけた。その一撃で槍を掴んでたレオン(仮)の手は滑って、穂先がアイツのお腹の魔力膜に激突。ルシルはさらに石突を連続で踏みつけて、魔力膜を突破させようとする。
「はっはっは! よせよせ、神器王! この程度の魔術で我の防壁は貫けんよ! 先ほどの娘たちの同時攻撃の方がまだよかった!」
「だろうな」
今度はルシルがニヤリと笑った。直後、槍を消失させた。踏ん張っていたところでの消失っていうこともあって、レオン(仮)はまた体勢を崩した。上半身の筋肉がすごすぎて体幹バランスが悪いのかな・・・。
「アリス、いくよ」
セラティナの声でボソッと聞こえた言葉。同時に膨大な魔力が離れたところ――セラティナから発せられた。わたし達だけじゃなくてレオン(仮)もセラティナの方に振り向いた。
――小型運搬領域――
「むっ・・・!?」
「さらに!」
――一方通行の聖域――
レオン(仮)を囲う桃色の四角い結界が収縮を始めて、3mの巨体だったアイツが1m50㎝程まで小さくされた。そんなアイツをさらに結界が覆った。さすがは結界王。まぁポンポンと結界が張られてく。
「真技」
そんなレオン(仮)を閉じ込めた結界をさらに三角錐の結界が囲って、さらに逆さ三角錐、正三角錐、逆三角錐、正三角錐って次々と結界が結界を囲う形になって、最終的に十二重の結界になった。そして最初にアイツを捕らえた縮小する結界が解除された。
「無限結界牢」
セラティナが術式名を告げた瞬間、最初の正三角錐の結界が爆破。さらに2層目、3層目、4層目と連続して爆破されていって、最後の12層目の爆破を封じ込める13層目が無いことから一番派手で大きく、砲撃みたいに空へと昇って行った。
「恐神の投雷・・・!」
砂塵やら何やらがもうもうと立ち込める中、「ルシル・・・!?」が放電する大きな雷槍を1本と作り出すとすぐに投擲体勢に入った。セラティナの真技でもう倒しちゃったって考えだったわたしは「さすがにソレまずくない?」って雷槍を指差した。いつも作ってる魔力槍なんて目じゃないほどに強大な力を誇る魔力槍は、触れただけで致命傷になるような危険性をひしひしと感じる。
「念のためだよ、シャル」
――ピオネロ――
そう言ってルシルがわたしをチラッと見た瞬間、レオン(仮)が砂塵を突き破って突進してきた。奇襲のような速度だけど、ルシルはきっちり対応して雷槍をアイツに向かって投擲。
――マゴ――
「ふははははははは!!」
右拳を覆う魔力がさらに強大なものにしたレオン(仮)は真っ向から雷槍をぶん殴った。サファイアブルーの雷光とアイツの赤い魔力が周囲に拡散する。掠るだけでもわたし達には大ダメージって判るから「おわわ!」わたしやルミナ達は逃げ惑う。
「ようやく全力を出してくれるようになったか神器王!」
「まさか! 間違ってお前が支配している、今を生きる民間人を殺すわけにはいかないからな! 殺さないように必死に手加減をしつつ勝たねばならない俺たちの気苦労を知れ武勇王!」
そっからはルシルの雷槍とレオン(仮)の両拳による攻防の始まり。恐ろしいほどの放電をかますルシルと、地面の至る所に大小さまざまなクレーターを掘りやがるアイツ。いくら無人世界だからってボロボロにして良いってわけじゃないんだけどね。
「冥府に帰れ、武勇王!」
――一方通行の聖域――
そこにセラティナのサポートが入った。結界に閉じ込めらてたことで何度目かの魔術強制解除だ。それでもレオン(仮)は迫る雷槍を胸の高さにまで掲げた両腕でガードした。でも魔術が使えないことで踏ん張りも効かずに内壁に叩き付けられて、さらに雷槍が炸裂して結界内が蒼い雷撃で満ちた。
「ルシル!? ちょっ、やり過ぎよ!」
「しかし、これくらいでないとレオンには勝てない!」
「待って待って! 彼はあくまでレオンの記憶やら何やらを受け継いで現代人でしょ!?」
「っ!!・・・それは、そうだが・・・!」
「レイ・デ・ラ・ゲラ」
結界が割られた音とともに聞こえた術式名。今まで感じたことのないレベルの圧倒的な魔力が生まれた。判る、理解した。これは勝てない。魔術で防御できない状態でセラティナとルシルの魔術を受けたにもかかわらず、防護服は局部を守る箇所以外が消し飛んだだけのダメージ。あとちょっぴりの火傷。フォード(仮)やプリムス(仮)なんてまだ全然マシだ。
「ルシル、ダメ、逃げよう? アレと戦っちゃだめだよ・・・」
「どうすんの!? ねえどうすんの!? 逃げるの!? 戦うの!?」
「わしは召喚主の命を最優先にしたいのでな。逃げることを推奨する」
「ナデシコ・・・」
「シャル隊長、ルシル副隊長、これは無理です! 撤退を!」
「魔術の使えない私もいることをお忘れなく」
レオン(仮)が歩くたびに地面に小さなクレーターを作ってく様を見ながら逃げる算段を考えてると、「ダメですわよ? 逃がしませんわ」って、居ることを忘れてたプリムス(仮)がそう言った。
――殲滅の凶獣園――
わたし達を包囲するように出現した魔物、およそ数百体の幻。鳥型も居るから空を飛んで逃げるのも難しい。最悪過ぎて吐きそう。
「プリムス陛下! 手出し無用に願いたい!」
「手は出しませんわレオン陛下。ただ、逃げ道を塞いでいるのです。それもいけませんか?」
「ならば結構! さぁ、神器王! 決着をつけよう!」
膨大な魔力を身に纏ったレオン(仮)の突進。わたし達みたいな一足飛びじゃなく普通に走ってなんだけど、スピードがとんでもない。アイツの狙いはもうルシルひとりだけになっていて、わたし達のことは無視。なら、「レオン(仮)はルシルに任せて、わたし達は・・・」って、足を組んで岩山に座るプリムス(仮)を見た。
†††Sideイリス⇒ルシリオン†††
オリジナルのレオンと同等の魔力量と神秘を誇る転生者。冗談だと思いたいがイリスとシャルという前例がある以上は認めるしかない。
「ルシル! レオン(仮)は任せた! あ、セラティナは借りるよ!」
「ごめんね、ルシル!」
シャルがセラティナやルミナ達を引き連れて、プリムス(仮)に戦闘を仕掛けた。それをレオン(仮)の突進を躱しながら見届け、「いいだろう、武勇王。お互い現代に紛れ込んだ迷子だ。さっさと帰ろうじゃないか」と受けて立つ。
「アイリ! 全力で行くぞ!」
『ヤヴォール!』
“魔力炉”の稼働率をさらに引き上げ、魔術師にとって最も重要な神秘を増大させて、「降参するなら今のうちだぞ」と告げる。死亡しない限りは治癒できるコード・エイルを使えばギリギリまで攻めることが出来る。
「ふんぬぅぅぅ!!」
かくっ、かくっ、と直角に曲がって俺にに単純な突進を行い続けるレオン(仮)に「憶えているか?」と尋ねながら空へと上がる。かつての決着の時と同じ構図だ。俺の足元を通り過ぎて行った奴は「無論だとも!」と反転しながらも左拳でアッパーを繰り出した。彼我の距離は13mそこそこ。その距離での動作だ。何か来ると警戒することが出来る。案の定ヤツの左腕の魔力がブワッと伸び、地面を大きく抉りながら迫ってきた。
「あの頃の俺とは違うぞ・・・!」
――女神の救済――
右手の平を突き出し、レオン(仮)の放った魔力流に触れる。するとヤツの強大すぎる魔力が瞬時に俺に吸収され、俺の“魔力炉”内の創成結界・“神々の宝庫ブレイザブリク”にて結晶化される。レオン(仮)、お前がくれた魔力は、リアンシェルトやガーデンベルクとの闘いにちゃんと活用してやるからな。
「なんだと!? 我の魔力が・・・!」
「ふ、くふ、ふふふ、ふは、ふははは、はーはっはっはっはっはっはっは!!! すまないな、レオン(仮)! この瞬間、お前は俺の敵ではなくなったぞ!」
初めからイドゥンを使えばよかったと自嘲する俺は、「其は殲滅と蹂躙を支配する破壊の王」と詠唱を開始しつつ地上へと降りる。そして『蒼翼の操作を任せる』と、背に展開する剣翼12枚と菱翼10枚を切り離し、そのコントロールをアイリに託す。
――疾駆せし汝の瞬風――
新たに背より30㎝ほどの剣翼を6枚と展開。純陸戦形態、その完成形で、常時高速移動魔法、魔術が扱えるようにしたものだ。
「汝の眼前には群れ成す哀れな子羊。振るわれる幾多の拳は滅びの形」
「魔力を吸収されはしたが、貴様は得意の空戦から陸戦へと戦術を変えた。舐められているのだろうが・・・くははは! 面白い! ではこちらも全力で往くぞ! 真技!!」
――サタナス・デ・ラ・ゲラ――
「むおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「くそが!!」
――崇め讃えよ汝の其の御名を――
『全弾発射!!』
アイリが操作する蒼翼22枚の先端から連続で砲撃が発射され始める。全身の肌が赤黒く変色レオン(仮)は、22発の砲撃を真っ向から肉体のみで受けるも無傷で、スッと目を細めたかと思えば、「っ!」ヤツの姿が掻き消え、フッと後ろ髪が風で靡いた。
「むぅ・・!」
トンと宙を蹴ってその場から10mと離脱。その際にチラッと横目で見れば、レオン(仮)が拳を振り抜いていた。その衝撃で地面が大きく抉れ、無数の瓦礫が宙を舞う。それに構わず「恐怖を生み出す暴風は滅びへの冥府の息吹」と詠唱を続けつつ・・・
「突神の投冽!!」
またその姿を消したレオン(仮)を迎撃するために創り出した氷の槍を俺の足元へと向けて突き刺すと、俺の周囲に数十本という氷の尖塔が放射状に突き出る。ガシャァン!と氷が割れた音がした方を見れば、そこには無傷だが氷の尖塔に動きを一時的にだが封じられたヤツの姿。
『いっけぇぇぇぇ!!』
22発の砲撃の同時直撃がレオン(仮)を襲う。強烈な魔力爆発の衝撃波に乗るように俺は後退。
――勝神の投閃――
閃光系の魔力槍を創り出して即座に「おらぁ!」投擲する中でも「八拳に込められるは創造にして破壊、正義にして不義、神聖にして俗悪、真実にして虚偽」と詠唱を続ける。
「殺す気で来い!」
掴み取った光槍を握り潰したレオン(仮)へと俺は指を差し、「生を奪い死を与える覇王の拳、その身に受けよ」と最後の節の詠唱を終える。
「魔神の極拳」
中級の巨腕イロウエルの最上位術式シグフェズルを発動。炎熱、氷雪、風嵐、雷撃、閃光、闇黒、土石、無属性魔力の8つの巨腕を、「ジャッジメント!」の号令の下にレオン(仮)へと殺到させる。奴はその機動力を以て回避すればいいのに律義に真っ向から殴って迎撃。だが、これまでの魔術のように即座には破壊されない。
(詠唱から発動した俺の上級術式は無詠唱発動時とは違って、神秘はもちろん効果も上昇する!)
「おのれぇ・・・!」
「神器王だからと言って扱える神器だけがすごいわけじゃないぞ!」
かつての俺は、レオンと魔術戦を繰り広げることなく神器の雨、軍神の戦禍で部下ともども蹂躙して勝利した。奴は己の肉体と自己強化魔術に絶対の自信を持ち、戦場では中遠距離系の魔術相手でも接近戦を挑み、勝利を収めてきたことは調査で判っていた。
だから俺は奴が潰してきたその他大勢の遠距離術師と同じと思わせるよう動き、油断させたところで魔術とは比べられないほどの神秘を有した高位神器による掃討、コード・チュールを紛れ込ませて放った。勝敗はアッサリついた。いくら奴でも防げない神秘は存在するのだ。
(当時は高位神器に頼るほかなかった俺しか見せられなかったが、神器に頼らない魔術師としての俺を今日見せてやろう!)
『マイスター!』
『ああ! 一気に決めるぞ!』
レオン(仮)がシグフェズルの八拳を損壊させ始めた。完全に潰される前に戦闘不能にしてやる。アイリがまず蒼翼による包囲砲撃を行う。力を込めて炎拳を迎撃しようとしたところでの数発の同時砲撃を受け、奴はわずかによろめいた。そこに炎拳に加えて光拳での一撃もお見舞いしてやる。
「むぐぅ!!」
炎拳を左手で、光拳を右手で受け止めたレオン(仮)だが、そこにまたアイリの連続砲撃、そして雷拳を打ち込む。砲撃を受ける直前から肌の色が元に戻り始めていた奴は「ぐあ!」ようやくまともなダメージを受けた。
「沈め!! ジャッジメント!」
雷拳から放電させ、スタン効果を狙ったのだが・・・
「なんだ・・・!?」
突如空から強大な魔力と神秘を有した魔力刃が飛来し、炎拳、光拳、雷拳が一撃で斬り裂かれて無力化された。
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