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仮想空間の歌う少年

作者:ケンケン4
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14ー私の想いを

 
前書き
完全感覚オリジナリティー!
とてつもなく甘い。糖分摂りすぎ注意!
それでもあなたは飛び込むの? 

 
私は部屋に帰るとすぐさま佳の部屋の扉をノックする。

「佳?いるんでしょ?」

返事は無かった。だけど部屋に絶対いるのは間違いなかった。なんとなく、そんな気がしたのだ。

「…。」

そこで私は自分の部屋に戻るといつか、佳が拳で壊した非常用の壁をくぐってベランダから入る。しかしベランダの窓が閉まってて入れない。ちなみにカーテンも閉まってて中の様子は見れない。

「…。そう。」

こうなったらと、先程実は佳のお父さんから貰った秘密兵器を使うことにした。私は再び佳の部屋の前に行くとポケットからとあるものを取り出す。
それは佳の部屋の合鍵。

「たぶん、佳の事だ。詩乃ちゃんに会いたがらないだろうからこれを渡しておこう。なに、佳への処方箋の代わりだ。」

そう言って佳の部屋の合鍵を託された。私はゆっくりと鍵穴に鍵を入れて回す。

ガチャ

そうして部屋の扉が開く。いつもの整理整頓された佳の部屋。ピアノやギターが置いてあり、パソコンと難しい医学書や医学誌が並んでる本棚。そして必要最低限の家具。
そしてベッドで布団にくるまってる幼馴染を見つける。

「…どうやって入ってきたの?」

布団にくるまりながらそう尋ねる佳。私ははあ、とため息を吐いて。

「合鍵。佳のお父さんから託されたの。」
「…父さんが?」

そう言ってひょこっと顔だけ出す佳。

「ええ。頼まれたからね。佳のお父さんからね。」
「ふーん。まあいいや。」

そう言って布団から出てくる佳。ちなみに佳は赤いチェックの寝巻きを来ていた。

「…。ところでさ。」

佳はそう言って私の方へとふらっと近寄るといきなり。

「……ぎゅーーー!」
「!?…佳!?」

佳に後ろから抱きしめられた。そして佳は耳元で囁く。

「ねえ。詩乃。こう思わなかったの?『女の子が男の部屋に一人で来たらたべられちゃう』





…って2人きりになったらクラインが言えって言ってた。」

最後の一言で佳の腕の中でガクッとなる。あの人…余計な事を。そう思いながら気付いた。
あ、この位置は…。

「えい♪」

そう佳が掛け声をかけて、私をベッドへと押し倒した。仰向けになって見えるのは佳の悲しそうな顔。

「だからこうなっちゃうこと考えなかったの?詩乃。」

いつもは見せない佳の顔。いつか来ると思っていたこの日。だけど見たいのはこんな佳の顔じゃない。

「…違うわよ。佳。」
「何が?」

私は仰向けになりながら佳の口元に人差し指を当てる。

「佳には出来ない。私を無理やり襲うことなんて絶対に出来ない。」
「なんでそう言えるの?今の僕は分からないよ?だって詩乃のことなんか…。」
「じゃあ、なんで。今、佳は泣いてるの?」
「え?」

そう、こうやって私を襲おうとしてる佳の目から涙が流れていた。その涙は頬を伝って私の顔に堕ちる。

「これは……違う!僕は……僕は…。」

そして佳はこの前のALOの中の時のように小さな子供のように泣いていた。
私はくすっと笑う。

「…なに笑ってるの?今、襲われてるんだよ?僕を早く嫌ってよ!嫌いになってよ!」
「…大丈夫よ。佳。」

そう言って私は腕を佳の首に回す。そして2回目のため息をつく。

「大方、私に嫌われることすれば今の気持ちに踏ん切りがつくと思ったんだろうけど…お生憎様。そんな事で嫌いになる女じゃないのよね。」
「うるさい!本当に襲うよ!僕は本気だからね!」
「それじゃあ早く襲いなさいよ。」

私はそう言って首に回していた腕を戻してそのまま仰向けになる。完全に無防備な体制。襲おうと思えばいくらでも襲える体制だ。

「…僕は。」

そう言って佳は私に覆いかぶさろうとする体制をやめて私の隣に横向きになって寝転ぶ。横向きなので顔は見えない。

「ほらね。やっぱり佳はそんなこと出来ない。」
「…うるさい。」

そう言って3分ほど私達はそのままの姿勢だったのだが急に私の方を向いた。
その時の佳の目は真剣だった。

「ねえ。詩乃。
僕はやっぱり詩乃が好き。でもね。好きだけど好きな気持ちが欠けてるんだ。」

佳はそう言っていつもの優しい笑顔になる。

「だから。取り戻したい。僕はこの欠けてる気持ちを。」
「佳。」

そう言って起き上がると私の頭を優しく撫でる。

「だから。ごめんね。怖い思いさせて。」
「別にいいわよ。」

私も起き上がると真正面から佳を見つめる。沈黙が私達を包む。

「…………。」
「え?キスするタイミングだった?」
「…本当に空気読めないわね。」
「まあね。」

佳はそうとぼけてベッドから降りる。そして私の大切な人はニコリと笑って。

「恋をしたんだ♪恋をしているんだ♪ってね?」

そう歌うと佳はくるりとターンをして。

「うん。ありがとう。詩乃。元気でた。」
「…今回は本当みたいね。」

あの夜のように無理やり作った笑顔ではなく、自然な笑みだった。そして少し申し訳なさそうに。

「でも僕1人じゃ無理かもしれない。駄目な時は頼るよ?詩乃。」
「全然いいわよ。」

そう言って私たちは笑顔でハイタッチして。

「よろしくね!詩乃!」
「ええ!任せて佳!」

































































「という訳で詩乃早速なんだけど…。
着替えたいから部屋に戻って。」
「あ、うん。」 
 

 
後書き
という訳でシノン視点から再びスノー視点に戻ります。
え?襲わなくて残念?
そんな事するとR18になるからね!だめですよ!
感想と評価ボタンよろしくお願いします。
では次回もよろしくお願いします。 
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