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仮想空間の歌う少年

作者:ケンケン4
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13

 
前書き
ふと、思ったんですが。
YOASOBIの群青いいですよね。
今回は短めです。 

 
そうしてあのデュエル大会の後、僕とコンコンはあまり話す事は無くなってしまった。理由は…明日奈がユウキをいろんなところに連れ回す…まあ、連れて行っているからだった。まあ、それはそれでいいんだけど。
…。

「佳?」
「…ん?あ、詩乃。」

学校の授業中。ペン回しをしながら窓の外を見ていると不意に隣の席の詩乃に声をかけられた。
僕はいつも通りに笑顔で受け答える。

「いや…なんでもない。」
「どうしたの?」

すると詩乃はまるで僕の心を見透かす様な笑みで僕を見てきた。
僕ははあ。とため息をついて机に寄りかかり寝る。

「なんでもない。」
「その態度はなんでもなくないわよね。」

そう言って詩乃はため息をつくと僕の顔を少しだけ伺い。ノートを少しだけ切り取り。ささっとメモをしたかと思うと僕の机にそっと置いてきた。

書いてみたら?メモなら本心出るでしょ?

小さく機械的ぽく書かれた字だったけどどこか優しく感じた。僕は再び起き上がり置いてきたメモに黙って文字を書き、詩乃の机にポイと投げ、また寝る。

「素直じゃないんだから…。」

詩乃はそう言って机の上に置かれたメモを見ると少し真面目な表情になって考えるとまたメモに書く。そして再び佳の机の上にポイっと投げる。

「…。」

僕は寝ながらチラッとメモを見るとさっと取り、メモを読む。

そんなあーだこうだ考えてないで。会って来なさい。

それが出来たら今頃行ってるちゅーの。
僕は内心そう思いながらも返事を書こうとした時。不意に教室のドアが開いた。みるとそこには担任の先生が血相を変えてやって来ていた。

「雪宮‼︎大変だ…ーーー」
「⁉︎」
「ちょっと⁉︎佳⁉︎」

僕はその言葉を聞き、詩乃の言葉にも目にくれず走り出していた。
階段を降りて、走って、走って。
そんな曲があった様な気がする。今全く関係ないけど。そんな思考はゴミ箱に捨てないと。
僕は昇降口を出て校門を飛び出し学校の近くの駐車場に停めてあったバイクに乗る。学校にヒ・ミ・ツの物だ。

「まって!」

すると慌てて詩乃が僕の後をついてきていたらしく校門を出ていたらしい。

「詩乃。学校に戻って。」
「嫌よ。そんな今にも泣きそうな顔をしている彼をほったらかしにする女じゃないのよね。」
「…そりゃどうも。ありがとうごさいます♪嬉しいな♪みたいな。」

泣きそうな僕の弱い涙腺を気合いで締めるとヘルメットを自分の分と詩乃の分を取り出し詩乃に投げる。そうしてバイクのエンジンを入れ、後ろに詩乃を乗せる。

「しっかり掴まっててよ?let’s go!♪てね?」
「うん。」

詩乃の感触を背中で確かめるとバイクをスタートさせ、雪宮病院へと向かい始めた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「先生!」
「早く雪宮君!」

僕と詩乃は特別病棟に入り倉橋先生がすでにモニターでコンコンの容体を確認していた。そして近くのベッドには明日奈がすでにアミュスフィアをつけて寝ていた。そうして倉橋先生からアミュスフィアを一つ貰う。ちなみにALOのメモリーは病院に置いてあったのでその点はラッキーだった。

「…でも僕は…。」

僕はもう一つのアミュスフィアを着けるのを躊躇ってしまう。

これでコンコンと合うのは最後かもしれない。だけど…。

「さっき言ったでしょ?」

すると詩乃がいつの間にかに僕のとなりに来て肩をポンポン叩く。そうしてそのまま肩を持ちながら。

「あーだこーだ考えてないで。行ってみなさい。
それが佳らしいわよ。」
「…。」

僕はアミュスフィアを恐る恐る着けて、ベッドに横たわる。そしていつも通りの笑顔で。

「…ありがとう。詩乃。」
「礼はいらないわよ。」
「…。」

さあ、行こう。いつもの魔法の呪文を。
僕らしく歌いながら。

「リンク♪スタート♪」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「君も大変だね。」

佳が仮想空間に旅立つと先生は苦笑いしながら私に話しかけてきた。

「佳がウダウダするのはもう、慣れてますから。」

そう、佳はいつだって笑顔の仮面を被り、常に余裕をもって本心を掴ませないけど。非常時は本当に脆い。誰かが絶対に支えないと壊れてしまう。

あの郵便局の時の様に。

「まあ、ウダウダするのが雪宮君らしいね。」
「そうですね。」

倉橋先生が苦笑いのまま話す。私は相槌を打つと倉橋先生は少し真面目な顔で。

「今だから話すけど…
あんな風にウダウダするのは紺野君の前だだけだったんだ。」
「え?」
「君なら分かってるとおもうけど…。雪宮君はいつだって本心を掴ませないけど。紺野君のはちゃめちゃな前では唯一本心を出していたんだ。」

倉橋先生は悲しい思い出を思い出す様に遠くを眺めると私に向き直る。

「だから君…朝田君はとても凄い。あの雪宮君の柔らかい。でも壊れない仮面を簡単に壊したんだから。」
「…。」

私はその話を返す事が出来なかった。ただ佳の寝顔を見ることしか。
私は佳の手を握る。

「大丈夫。
…佳なら決められるよ。」  
 

 
後書き
本当に短めでした。
展開が早いのは内緒。ユウキの最期にスノーはなんて言うのか?
お楽しみに!
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次回もよろしくお願いします。 
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