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レーヴァティン

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第百六十九話 異形の武家その九

「用いていくべきぜよ」
「そうだな」
「それでじゃが」
 当季はさらに話した。
「わし等はこれから甲斐に行くが」
「あの国のことか」
「南北が山でじゃ」
「中央が盆地でな」
「そこに人が集まっちょるが」
「山も問題だな」
「甲斐は山にも多くの城や砦があり」
 謙二も言ってきた。
「そしてです」
「兵もいるな」
「ですから中央の盆地に入っても」
「南北の山から攻められることもある」
「はい、ですから中央に兵を進め」
 そしてというのだ。
「それと共にです」
「南北の山もな」
「攻めていき」
「全てを手に入れる」
 甲斐のそれをというのだ。
「そうしていく」
「やはりそうなりますね」
「降る者がいればいいが」
 それで幕府に加えるというのだ。
「そうでないのならな」
「戦いそうしてですね」
「降らせる」
「そうしていきますね」
「そして甲斐の主は降る気配がない」
 それならというのだ。
「もうだ」
「戦いそのうえで」
「降らせる、甲斐と共にな」
「ではこれより」
「その甲斐に入る」
 こう言ってだった。
 英雄は十二万の大軍を甲斐に進ませた、だがこれまでとは違い甲斐は降る気配がなかった。それは駿河も同じで。
「あの国もか」
「降ろうとせずです」
「あくまで戦うつもりか」
「その様です」
 謙二はこう英雄に本陣で話した。
「あの国もまた」
「ではだな」
「はい、両国共です」
「攻め入るか」
「そうなります」
「これまで戦は避けられてきたが」
「東海と甲信攻めでは」
 今の戦ではというのだ。
「それが出来ていましたが」
「しかしな」
「これからは、ですね」
「どうもだ」
 それがというのだ。
「出来そうもないな」
「遂にこの時が来ましたね」
「ならだ」
「これよりは」
「戦だ、そしてだ」
「戦をするのなら」
「全力でだ」
 まさにという言葉だった。
「攻めてだ」
「一気に終わらせますね」
「そうする」
「戦をするならたい」
 香織も言ってきた。
「もうその時は」
「全力で攻めてな」
「一気に終わらせることとよ」
「それが一番国力を使わない」
「戦は長引いたら」
 その時はというのだ。
「無駄に銭も兵糧も使って」
「そしてな」
「傷付く人も増えるばい」
「そして町や田畑も荒れる」
「悪かことばっかりとよ」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「俺も戦になればな」
「すぐに終わらせているたいな」
「常にな」 
 そうなる様にしているというのだ。
「だからだ」
「この度も」
「すぐに攻める」
「全力で」
「そして即座に終わらせる」
「甲斐一国をたいな」
「迅速に手に入れる」
 攻めてそうしてというのだ。 
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