レーヴァティン
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第百六十九話 異形の武家その十
「それでいいな」
「よかとよ、あとたい」
「あと。どうした」
「今日の晩飯たいが」
こちらの話もするのだった、英雄は大軍の全員に朝昼晩常にたらふく食わせ英気を養わさせている。
「ほうとうたいよ」
「あれか」
「知っているたいな」
「実は殆ど食ったことがない」
「ああ、あんたはそうたいな」
「俺は関西で生まれ育っていてだ」
そしてというのだ。
「今も関西にいる」
「神戸にたいな」
「だからだ」
「ほうとうは殆ど食べたことばないたいな」
「食ったことはあるが」
それはというのだ。
「一応な、だが」
「殆どって言ったたいな」
「そうだ」
「一回や二回たいか」
「きし麺に似ているな」
「まあそうたいな」
香織も否定しなかった。
「あの感じは」
「味もな」
「言われてみればたい」
「俺はきし麺は好きだ」
名古屋のこの麺はというのだ。
「そしてフェットチーネもな」
「イタリアのパスタっちゃな」
愛実はフェットチーネと聞いて言った。
「確かにあれはきし麺に似てるっちゃ」
「そうだな」
「あんた幅の広い麺が好きっちゃ」
「もっと言えばそちらの麺もだ」
「細い麺もっちゃ」
「ラーメンもスパゲティも蕎麦もでだ」
そしてというのだ。
「素麺も好きだが」
「きし麺やフェットチーネもっちゃ」
「好きだ、マカロニもラザニアもな」
こうしたものもというのだ。
「好きだ、そしてだ」
「ほうともっちゃな」
「好きだ」
そうだというのだ。
「一度食べただけだが」
「好きになったっちゃか」
「だからな」
「今晩も楽しみっちゃか」
「酒を出してだ」
そのうえでというのだ。
「酒も飲みながらな」
「食べるっちゃな」
「そうしたい、ほうとうの中にはな」
英雄はさらに話した。
「人参や大根、南瓜に里芋を入れてだ」
「味付けはお味噌っちゃな」
「それを使ってだ」
そしてというのだ。
「味付けをしてな」
「食べるっちゃな」
「そうしたい」
こう言うのだった。
「ほうとうならな」
「本格的っちゃな」
「ほうとうなら味噌だ」
この調味料だというのだ。
「醤油や塩よりもな」
「お味噌っちゃか」
「俺としてはな」
「そうちゃっか、それなら」
「味噌で食おう」
ほうとうをと言ってだ、そしてだった。
英雄は仲間達と共にほうとうの鍋を囲んだ、それは味噌味だった。
第百六十九話 完
2020・7・8
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