自分にも彼女が
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第二章
「クロもあの娘の飼い主さんのところにな」
「お邪魔してか」
「ご飯も食べてるのね」
「そうじゃないか?」
こう両親に話した。
「だからクロか白い娘の首輪にお詫びの手紙付けてな」
「それでか」
「謝っておくか」
「あいつがそちらの家に迷惑かけてるなら」
その可能性を考えてだ。
「猫パンチしてるかもだしな」
「それがクロの癖だしな」
「ご飯催促してね」
「その可能性があるだろ」
「ええ、そうね」
「それじゃあね」
家族で話してだった。
勇作はクロの首輪に手紙を付けた、そして彼が白猫を連れて外出して一匹から戻ると手紙があった。読まれなかったと思って取って読むと。
それは女性の筆跡での返信だった、それを見て彼は両親に話した。
「クロもクロで相手の人の家でな」
「食べてるんだな、ご飯」
「そうしてるのね」
「手紙に書いてあったよ」
「そうなんだな」
「お互い様なのね」
「そうだよ」
こう両親に話してだった。
また手紙を送ると返信が来た、それでやり取りをしていると。
「あの白い娘うちじゃ大人しいけれど」
「家じゃ違うんだな」
「そうなのね」
「クロと一緒で猫パンチするらしいな」
ご飯を催促してというのだ。
「それで逆にクロがな」
「そちらじゃ大人しいか」
「そうなの」
「ああ、あとどうもご近所らしくて」
白い猫の家はというのだ。
「クロもあの娘も行き来してるみたいだな」
「まあそうだな」
「ご近所じゃないとね」
両親もこのことはわかった。
「楽に行き来出来ないわね」
「それはな」
「しょっちゅう行き来してるし、それに」
勇作はさらに話した。
「あの娘の名前もわかったよ、シロだってさ」
「手紙に書いてあったか」
「そうだったの」
「ああ、まあ仲がいいし」
クロとシロはというのだ。
「これからも見ていこうか」
「それがいいな」
「相手の人も手紙読むと悪くない感じだし」
「ああ、けれどな」
息子は両親にこうも言った。
「相手の家の人に俺達のことを話しておくか」
「ああ、それはな」
「しないといけないわね」
両親もそれはと頷いた。
「ちゃんとね」
「クロの家族としてな」
「そのこと今度の手紙で書くな」
こう言ってだった。
勇作は実際に次に書いた手紙で自分のことを書いてクロに付けて送った、すると次の日学校に行くと。
同じ高校で同じ学年の和田春奈、小学校から一緒で茶色の髪の毛を首の高さで切り揃えたやや切れ長の大きな目の女の子が彼のところに来て言ってきた。小学校から同じだがそれでも付き合いはそれ程深くはない。
「あの、いいかな」
「あれっ、何だよ」
「クロちゃんのことだけれど」
「クロってまさか」
「そう、シロちゃんのお友達の」
こう言ってきたのだった。
「あの子のことでね」
「ひょっとしてシロの飼い主って」
「私のお家の猫なの」
これが返事だった。
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