自分にも彼女が
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第三章
「実は」
「そうだったんだな」
「それでね」
春奈は勇作にさらに言った。
「昨日のお手紙だけれど」
「俺のこと書いたな」
「ええ、それでね」
「俺のところに来たんだな」
「そうなの、それでね」
春奈は勇作に微笑んで話した。
「シロちゃん可愛がってくれて有り難う」
「そう言ってくれるんだな、それを言うとな」
「波留君も?」
「ああ、俺もな」
まさにというのだ。
「クロ可愛がってくれてな」
「お礼をなの」
「言うな、有り難うな」
こう言うのだった。
「本当に」
「お互いになのね」
「ああ、それでな」
今度は勇作から言った。
「これからも頼むな」
「クロちゃんのことね」
「こっちもシロちゃん大事にするからな」
「お互いにってことね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「手紙でクロ大人しい言って書いてたよな」
春奈に彼のことを話した。
「そうだったよな」
「実際そうよ」
「あいつご飯催促してすぐに猫パンチするんだぞ」
「それ言ったらシロちゃんもよ」
「それも手紙で書いてたよな」
「もうやんちゃで」
家でのシロはというのだ。
「すぐにね、ご飯が遅れたら」
「猫パンチか」
「他にも悪さばかりするし」
「あんなに大人しい娘がか」
「大人しくないわよ」
「それ言うとクロもだよ、この前なんてな」
ここから二人でお互いの猫のことを話して盛り上がった、そうして二人は何時しか付き合う様になったが。
勇作は家でクロ今は一匹だけの彼女を見つつ母に話した。
「まさかクロが女の子連れて来てな」
「あんた今シロちゃんの飼い主の人と付き合ってるのよね」
「小学校から一緒のな」
だから近所なのだ。
「川口春奈って娘とな」
「そうよね」
「いや、本当に縁だな」
「クロちゃんが持ってきてくれた」
「ああ、顔だけの奴と思っていたけれどな」
今はテーブルの上に座って欠伸をしているクロを見て言う。
「こういうこともするんだな」
「自分に彼女が出来てね」
「俺にも彼女をもたらしてくれる、か」
「そういうこともしてくれるのね」
「そうだよな、じゃあクロお互いの彼女と仲良くしていこうな」
「ニャア」
クロは座ったまま勇作に一声鳴いて応えた、勇作はその黒を見てまた微笑んだ。
自分にも彼女が 完
2020・8・28
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