恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第八十七話 張遼、関羽に諭されるのことその八
食べ続ける。そうしてだった。
おかずも食べる。焼き魚をいつも以上に頬張る。そうしてだった。
今度はだ。こんなことを言うのだった。
「よく食べてよく動くのだ」
「だからそれはいつもではないか」
「いつも以上なのだ」
こんなことを話してだった。張飛は確かに食べ続ける。それに対して関羽はいつも通りだ。そうした食事を済ませてからだった。
関羽は天幕を出た。早速張遼が右手をあげて挨拶をしてきた。
「あらためておはようさん」
「おはよう」
関羽も笑顔で応える。
「それでははじめるか」
「もうわかってるんやな」
「貴殿が来た時点でわかった」
こうだ。張遼に話すのである。
「既にな。それではだな」
「お互い手加減はせんでおこうで」
「手加減をして死ぬ訳でもあるまい」
「下手にそうした方が怪我するな」
「そういうことだな。それではだ」
「ここではじめるか。それとも別の場所でするかどうするんや?」
「場所はここでもいいだろう」
関羽はここでいいというのだった。
「どのみちやることは同じだ」
「そやな。ほなはじめよか」
「うむ。しかし貴殿も酔狂だな」
「酒は好きやで」
「そういう意味ではない。こうして手合わせから望むとはな」
「それが一番ええと思うてな」
それでだというのだ。
「あかんかな、それは」
「いや、悪くはない」
それでいいと返す関羽だった。
「私でもそうしていたところだ」
「何や、同じかいな」
「そうだな。同じだな」
言葉を交えさせながらだ。二人はそれぞれ構えを取った。
そうしてだ。二人はだった。
早速勝負をはじめた。それぞれの得物で打ち合う。
朝にはじまったそれはだ。忽ち百合を超えた。
それから二百になり三百になりだ。そのうえで。
五百も超えた。何時の間にかだ。
劉備達もそれを見ていた。劉備がまず言った。
「何か凄いことになってるけれど」
「そうなのだ。お互い一歩も引かないのだ」
張飛がその劉備に話す。
「けれどこれでいいのだ」
「いいの?」
「そうなのだ。いいのだ」
心配する顔の姉にだ。張飛はしっかりとした顔で話す。
「この勝負は殺し合いではないのだ」
「それじゃあ何なの?」
「絆を築く勝負なのだ」
それだとだ。張飛は話す。
「それなのだ」
「絆をなの」
「張遼は愛紗が大好きなのだ」
そのことをだ。張飛は本能的に察していたのだ。
そしてそのうえでだ。こう話すのだった。
「だからこれでいいのだ」
「ううん、私こういうのはわからないけれど」
「安心されよ、それは今わかることだ」
今度は趙雲が劉備に話す。
「桃香殿は二人の闘いを見守っていてくれ」
「愛紗ちゃんと張遼さんの」
「これは漢の闘いなのだ」
それだとだ。趙雲は鋭くなった目で話す。
「あらゆる雑念を捨てただ。心をぶつけ合う闘いなのだ」
「そうだな。愛紗も張遼もな」
馬超もだ。二人の勝負を見て話す。彼女も一歩も動いていない。
「殺意とかは全くねえからな」
「そういえば」
ここでだ。劉備もそのことがわかったのだった。
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