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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十七話 張遼、関羽に諭されるのことその五

「ではだ。我々もだ」
「この関明け渡して月ちゃん達と一緒になるで」
「何っ、じゃあ俺達もか」
「連合軍に入るでやんすか」
 チャンとチョイがそのことを聞いて瞬時に小躍りした。
「やったぞ!これでもうキムの旦那とジョンの旦那の修業と肉体労働の無限地獄から解放されるんだ!」
「あっし等に幸せが戻ったでやんすよ!」
「それが残念だが」
「ないと思うで」
 すぐにだった。華雄と張遼が二人に言ってきた。
「キムとジョンも一緒だからな」
「肉体労働はなくなっても修業はその分増えるさかい」
「これまでと変わらない」
「そうなるで」
「なっ、俺達の地獄は変わらないってのかよ」
「そういえばあっし等が連合軍に入るってことは」
 チャンとチョイもだ。衝撃の事実に気付いたのだった。
「キムの旦那とジョンの旦那も一緒かよ」
「そうなるでやんすよ」
「そうなるよな」
 山崎もだ。二人のところに来て言う。
「悲しいことにな」
「うう、俺達の幸せって何だろうな」
「最近そんなのあるってわからなくなってきたでやんすよ」
 さめざめと泣きながら嘆く二人だった。
「キムの旦那に強制連行されてからよ」
「途中からジョンの旦那も来てでやんす」
「そっからずっと修業地獄でよ」
「起きてから寝るまで。シゴキでやんすよ
「俺もそうなったからな」
 山崎もだ。二人と同じくさめざめと泣いている。涙が止まらない。
「何でこの世界に来て最初に出会ったのがキムとジョンなんだよ」
「俺なんて気付いたら二人に捕まってたんだぞ」
「わしもだケ」 
 アースクェイクと幻庵も出て来た。
「何もかもが不幸だよ」
「この世界は地獄だケ」
「まあこの連中はな」
「結構自業自得の部分もあるさかいな」
 華雄と張遼もあまり同情はしていない。
「しかし。何はともあれ無駄な戦いは避けられた」
「そのことはええこっちゃで」 
 こうしてだった。華雄と張遼達もだった。
 全軍でだ。連合軍に加わった。虎牢関もだ。無血で開城してだ。何はともあれ戦いは避けられた。そのうえでだった。 
 張遼はだ。まずはあちらの世界の面々と楽しく酒を酌み交わした。その酒を飲みながらだ。ドンファンとジェイフンに対して言うのだった。
「あんた等キムの息子かいな」
「ああ、そうだよ」
「そうなのです」
 二人はだ。焼肉を食べマッコリを飲みながら張遼に答える。
「こっちの世界にも親父がいるって聞いてたけれどな」
「いる場所は違いました」
 こうだ。二人は話すのだった。
「親父はそっちにいるって聞いて袁紹さんのところに入ったんだけれどな」
「まさかここで一緒になるとは」
「縁やな」
 そうだとだ。張遼は話すのだった。
「それはやな。縁やな」
「縁ねえ」
「それでなのですね」
「絆って言ってもええやろな」
 張遼はにこりと笑って右手に持っている木の杯の中の酒を飲んだ。その酒は二人が飲んでいるのと同じマッコリである。右膝を立ててその姿勢で飲んでいる。肴はやはり焼肉だ。
「それやな」
「絆、か」
「父と子のですね」
「そや。親子の絆はやっぱり強いで」
 張遼は楽しげに笑って二人に話す。
「あんた等こっちの世界でもお父ちゃんに会えたんや。幸せやで」
「幸せだったんだ、俺達って」
「だから兄さんはそこでそう言うから駄目なんですよ」
 ジェイフンは眉を少しいぶかしめさせたドンファンに話した。
 
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