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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十六話 董卓、赦されるのことその六

「もう一方の方は」
「董卓さんは?」
「そう考えてはおられません」
「それじゃあ。自分からなの?」
「処罰を願われる筈です」
 そこまで読んでだ。徐庶は話すのだ。
「是非共と」
「そんな、それじゃあ」
「袁紹殿も曹操殿も処刑をされずにはいられなくなります」
 彼女自身がそう願うならだ。それではなのだ。
「ですから。結果としてです」
「そんなの駄目よ。どうして董卓さんが処刑されないといけないの」
「はい、ですからここはです」
「ここは?」
「私に考えがあります」
 軍師としての言葉だった。
「ここはです?」
「ここは?」
 こうしてだった。あることが実行に移されたのだった。そうしてであった。
 袁紹達の本陣にだ。あるものが届けられた。それを届けた魏延がだ。右手の平に左手の拳を合わせて右膝をついてだ。袁紹達にあるものを差し出した。
 それは白い布に覆われている。下の方が赤く塗れている。それを見てだ。まずは孫策がこう言うのであった。
「首ね」
「はい」
 その通りだとだ。魏延は静かに答えた。
「董卓殿は自ら首を掻き切り自害されました」
「それでその首を持って来たのね」
「その通りです」
 こう孫策に話すのである。
「首を。こちらに持って行って欲しいと」
「董卓自身が言ったのじゃな」
 今度は袁術が言った。
「そうじゃな」
「左様です」
 その通りだと話す魏延だった。
「この度の乱の責をと申されまして」
「それで自ら死にか」
 袁術は目を少し左右に動かしてから述べた。
「ふむ。それでは仕方ないのう」
「自らの死で。他の者の助命も願っておられます」
 魏延はまた話した。
「どうされますか」
「わかりましたわ」
 袁紹が答えた。
「それでは。董卓さんの一族や家臣の者についてはです」
「責を問われませんか」
「この件での処断はそれだけですわ」
 こうだ。問わないと話すのであった。
「これで終わりですわ」
「董卓は死んだわ」
 曹操も言う。そしてふと笑みを浮かべてだ。こんなことも言うのだった。
「ただ。世の中似ている人間が三人はいるらしいわね」
「そうですわね。けれど別人ですわ」
 袁紹も曹操の言葉に乗ってこんなことを言う。
「全くの別人でしてよ」
「外見が似ているからといって。それで何かするのはね」
「人としてあるまじきことですわね」
「そういうことよ」
 それでいいとだ。二人は言った。
 そしてだ。魏延もだ。こう二人に述べるのであった。
「では。董卓の配下の者達は」
「劉備さんにお任せしますわ」
 あっさりと言う袁紹だった。
「その処断は」
「煮ようか焼こうが構わないわ」
 実に素っ気無くだ。曹操も話す。
「そう、何をしてもね」
「左様ですか。それでは劉備様にはそうお伝えします」
 魏延は二人の言葉をありのまま聞いた。そうしてだった。
 劉備のところに戻りだ。このことを伝えるのだった。
 そうしてだ。話を聞いた劉備はこう言うのだった。
「あれっ、じゃあ董卓ちゃんは?」
「はい、自害したことになりました」
 徐庶がこうきょとんとした顔になる劉備に話した。
 
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