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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十五話 命、忍達を救うのことその九

「そういうことか」
「仕方ないわね。考えてみれば彼等は都に潜んでいるのだから」
「避けられないのも道理ね」
 怪物達がまた言う。
「そこから何かをするのなら」
「結局都でも戦いになるわ」
「よし、それならだ」
 華陀は決断を下した。その決断は。
「また都に向かわないとな」
「そうして戦いましょう」
「あたし達もね」
 こう話してだった。彼等は再び都に戻るのだった。彼等もまただ。運命の戦いの中にいたのだ。
 連合軍は虎牢関に向かっていた。その途中でだ。
 孫策のところに一羽の鳩が来た。その鳩の足に括りつけられている手紙を開いてだ。孫策は満足した顔で周囲に言うのであった。
「やってくれたわ」
「明命がですか」
「やってくれたのね」
 孫権と孫尚香が姉の言葉に笑顔になる。
「董卓を都から助け出したのね」
「そうしてくれたのね」
「それで今こちらに向かっているわ」
 進軍を続けるだ。連合軍のところにだというのだ。
「無事ね」
「本当に何よりですね」
「これで虎牢関でも戦わなくて済むわね」
「ええ。それにね」
 しかもだとだ。孫策は妹達に言葉を加えてきた。 
 ただしだ。ここで彼女の表情が変わった。
 それまでにこやかだったものが剣呑なものになりだ。彼女は言うのだった。
「いたわよ、あいつがね」
「張譲がですか」
「やっぱりいたのね」
「ええ、そのことも書いてあったわ」
 手紙にだとだ。書いてあったというのだ。
「後宮の奥深くにいたわ」
「そうなのね。予想通りね」
「生きていたの、あいつ」
「それで董卓の名前を使って色々とやっていたみたいね」
 孫策は話す。
「あいつらしいって言えばあいつらしいけれどね」
「全くですね。宦官らしい」
「実にです」
 張昭と張紘がここで孫策に言う。二人も主と同じく馬に乗っている。その主の後ろからだ。二人は言ってきたのである。
「陰険なやり方です」
「はっきりと言うわ」
 孫策は眉を怒らせていた。今度はそうなっていた。
「私はね。ああした連中が一番嫌いなのよ」
「人の名を騙り悪を行う者がですか」
「御嫌いですね」
「ええ、大嫌いよ」
 こう二張にも話す。
「薄汚い話よね」
「そうですね。それこそまさに悪です」
「後宮には残念なことに多くいますが」
「張譲は斬るわ」
 本気だった。完全にだ。
「この私がね」
「わかりました。それでは」
「あの者は孫策様が」
「まあ袁紹や曹操もそう思ってるでしょうね」
 ここでは少し苦笑いになって話す孫策だった。
「あの二人は宦官達とは私達よりずっと因縁があるからね」
「確かに。では張譲はお二人に譲られますか」
「そうされますか」
「私の方が譲ってもらいたいわね」
 そうだというのであった。彼女の方がだ。
「そこは何とかね」
「ですが袁紹殿も曹操殿も非常に我の強い方です」
「交渉は難航しそうですね」
「でしょうね。あの二人に袁術もいるし」
 我の強い面々ばかりの連合軍であった。
「まあそこは何とかね」
「認めてもらいますか」
「張譲を斬ることは」
「そうしてもらうわ。何とかね」
 こんな話をしながらだった。董卓が助け出されたことは連合軍に伝わった。このことは第二陣において本陣を構えている袁紹達にも伝わった。
 
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