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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十五話 命、忍達を救うのことその八

「何としてもだ。斬る」
「それはなのね」
「変わらないのね」
「しかしそれはあの男があってこそだ」
 覇王丸のことを考えながらだ。そのうえでの言葉だった。
「あの男が死ぬことは望まない」
「それは元からよね」
「そうね」
 二人は幻十郎のその本心を見抜いていた。実は彼は覇王丸を憎みそのうえで斬ろうと常に考えていた。だがそれでもなのだ。
 実は覇王丸が死ぬことが望んでいなかった。そうだったのだ。
 そのことを言われてだ。幻十郎も言うのだった。
「俺はあの男とは生涯をかけて斬り合う」
「一生ね」
「そうしたいのね」
「それを何と言うのか」
 幻十郎はそれを何と言うのか知らない。しかしそれでもだった。
「だが、だ」
「それでいいのね」
「そうなのね」
「あいつを最後に斬るのは俺だ。俺しかいない」
「なら。生涯をかけて戦うといいわ」
「そうしてね」
 二人もこう話すのだった。幻十郎もだ。彼の歩むべき道を見出していた。
 そんなことを話してだった。彼等もだ。
 都を去る。そうしてであった。
 赤壁にだ。扉を潜って入るのであった。そこを詳しく見回してだ。華陀が言った。
「ここはまずいな」
「あら、ダーリンは気付いたのね」
「流石ね」
「ああ。風だな」
 その風を受けながらだ。彼は話す。
「風が急に変わる。それが危ないな」
「しかもね。向こうには風を操る者もいるから」
「それも注意してね」
「あの男か」
 風を操る男と聞いてだ。ギースがまた言った。
「吹きすさぶ風だな」
「ええ。他にも全員揃っているから」
「余計に危ないのよ」
「あの者達も全てか」
 そこまで聞いてギースはその目をさらに鋭くさせた。
 その鋭くなった声でだ。彼女は話した。
「ではだ。ここで戦うとなるとだ」
「彼等も一気に仕掛けて来るわよ」
「ここでの戦いはまさに正念場になるわよ」
「正念場だな」
 また言う華陀だった。
「赤壁での戦いがどうなるかでこの世界はかなり決まるんだな」
「あたし達も必死に頑張るから」
「ここでは特にね」
 怪物達も周囲を見回している。そのうえでの言葉だ。
 こんな話をしてだ。彼等はだ。
 赤壁を細かいところまで見回ってだ。この地のことも把握したのだった。
 そうしてだ。彼等は彼等のやるべきことをしていっていた。その中でだ。
 天草がだ。不穏なものを感じ華陀に話した。
「都に戻った方がいいな」
「都か」
「うむ。感じる」
 目を剣呑なものにさせての言葉だった。
「都においてもだ」
「戦いが行われるんだな」
「それは避けられない様だ」
 そうなるというのだ。
「この気配は」
「あたしも感じたわ」
「あたしもね」
 怪物達もだ。感じていたのだ。
「都でもね。はじまるのね」
「それは避けられなかったみたいね」
「戦いは都でもか」 
 華陀もその目を険しくさせている。
 
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