| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十五話 命、忍達を救うのことその二

「そうだな。怪しいな」
「この美貌と天下を想う赤い心」
「あたし達にあるのはそれだけよ」
「今御主達を見た蜻蛉が落ちたのだが」
 刀馬はこんなことも言った。
「それが美貌か」
「虫さえも魅了するあたし達の美貌」
「思えば罪よね」
「そう思っているのならいいのだがな」
 刀馬も怪物達には返す言葉をなくした。そうした話をしてだった。
 彼等は都に入った。まさに一瞬だった。
 その黒い扉を潜ってからだ。また言う妖怪達だった。
「ネコ型ロボットの道具を応用して出したものだけれど」
「中々便利ね」
「そうね。あの青い猫ちゃんの使う道具はどれもね」
「凄く参考になるわ」
「青い猫か」
 華陀はその奇妙な猫にも関心を向けた。
「そうした猫もいるのだな」
「そうよ。二十一世紀にいるのよ」
「凄く役に立つのよ」
「その猫とも会ってみたいな」
 こんなことも話すのであった。そんな話をしてであった。
 彼等は都に入った。まさに一瞬で。
 その頃だ。董卓は。
 周泰達と共に宮廷を出て夜の都の中を進んでいた。だがその後ろからだ。
 謎の一団が襲い掛かる。その者達に舞が攻撃を浴びせる。
「花蝶扇!」
 胸から扇を出してそれを投げてだ。彼等を撃つ。それで一人倒した。
 しかしその一団はさらに来る。かなりの数だった。 
 その白い、目が幾つもある覆面の者達を見てだ。舞は言うのだった。
「何なの、この連中」
「あやかしか」
 影二は接近してきた一人を蹴りで吹き飛ばしつつ言った。
「只の人間ではないようだが」
「そうですね。異様なものを感じます」
 周泰もだ。刀を抜き横から来る者達を切り払いながら述べる。
「この者達は一体」
「私もよくわからないのですけれど」
 董卓もだ。顔を曇らせて話す。一行は夜道の中を必死に進んでいる。その後ろから、左右からだ。その白い一団が迫って来ているのだ。
「ただ」
「ただ?」
「私を捕らえた張譲の後ろにいました」
「なら張譲の手の者でしょうか」
 周泰はまずはこう考えた。
「そうなのでしょうか」
「それにしてはおかしいんじゃないかしら」
 舞が周泰に対して言った。
「何かこの連中って」
「そうだな。この世界の者達ではない」
 影二も言う。
「かといって我等の世界の者達でもないな」
「どっちの世界の連中ではない感じね」
「そういえば」
 二人の話を聞いてだ。周泰もだった。
 その者達を刀で切りつつだ。そうして言うのだった。
「何かが違いますよね」
「影に近い感じね」
「闇だな」
 二人はまた言った。
「そうした感じの連中ね」
「何かよからぬ目的の為に動いているか」
「だから董卓さんに対してあの様なことをしたのでしょうか」
 周泰は言う。洛陽の夜は彼等以外は誰も出ていない。不気味に静まり返った街の家々も人の気配に乏しい。何もない感じだ。
 その街の中を進んでだ。それで話すのだった。
「国政を壟断する為に」
「そんな簡単な話じゃないわね」
 舞がすぐに言った。
「ほら、オロチの話だけれど」
「その彼等ですか」
「あの連中が今私達を追っている連中と組んでるなら」
 その可能性はかなり高いとだ。舞は考えながら話した。
「この世界の何もかもを壊そうとしているわね」
「この世界のあらゆるものを」
「国政の壟断とかそういう生易しいものじゃないわ」
 そうしたことですらだ。小事だというのだ。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧