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ドリトル先生の競馬

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第十幕その四

「君は直前にもだね」
「お参りをします」
「そうするね」
「そしてです」
「日本の神様にもね」
「お力を借ります」
「そうするといいよ、キリスト教の神様も助けてくれて」
 先生は温厚な笑顔のままさらに言います。
「日本の神様もね」
「助けてくれますね」
「そうしてくれるからね」
「是非ですね」
「お参りするといいよ」
「わかりました、そういえば」 
 ここでホフマン君はこうも言いました。
「一つ気になることは」
「何かな」
「八条大社の神様はどういった神様でしょうか」
「あそこは色々な神様が祀られているよ」
「そうなんですね」
「第一は伊邪那岐と伊邪那美の二柱の神々でね」
「日本を作った」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「他にも大勢の神様を祀っているんだ」
「そうですか」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「源氏の君も祀られているよ」
「源氏物語の」
「架空の人物ではあっても」
「神様としてですか」
「祀られているんだ」
 八条大社ではというのです。
「文化や恋愛の神様としてね」
「あの主人公は神様にもなっていますね」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「他の神様も大勢いるんだ」
「日本の神様は多いですしね」
「伊達に八百万とは呼ばれていないからね」
「だからこそですね」
「あの神社にも大勢の神様が祀られているんだ」
「そして今回の流鏑馬は」
「源氏の君へ捧げるものだよ」
 この源氏物語の主人公にというのです。
「そうなんだ」
「そうでしたか」
「八条大社は基本芸術や学問、恋愛と豊作のね」
「神様達がですか」
「おられてね」
「それぞれの神事もあるんですね」
「そうだよ、ただ」
 先生はさらにお話しました。
「戦いの神様はこの神社にはいないからね」
「そうなんですね」
「弓を使ってもね」
「それはあくまで神事としてですね」
「やるものでね」
 それでというのです。
「軍事とは無縁だよ」
「そうなんですね」
「この辺りで源義経さんが活躍したけれどね」
「一ノ谷の戦いですね」
「馬を使って見事な戦いをしたけれど」
「あの人は祀られていないんですね」
「うん、確かあの人も神様になっていたと思うけれど」
 それでもというのです。
「あの人はあの大社には祀られていないよ」
「神社によって祀られている神様は違いますね」
「この辺りギリシアや北欧と同じだよ」
「どちらも神殿によって祀られている神様が違いますね」
「そのことと同じでね」
「日本でもですね」
「そうなっているんだ」
 先生はこのこともお話しました。 
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