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ヘタリア大帝国

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TURN41 雨と盾その十

 修理工場と獅子団の者達の助けを借りて通常以上にダメージを回復していく。それを見てだ。
 日本がほっとした顔でだ。東郷に言うのだった。
「何とか予定通りにですね」
「ああ、いけるな」
 東郷も日本に応えて言う。
「本当にぎりぎりだがな」
「はい、それでもです」
「インドの諸星域の解放もいける」
「まさに獅子団の力あればこそですね」
「獅子団も変わったな」
 ここでこう言う東郷だった。
「それもかなりな」
「そうですね。以前のあn方々は」
「国粋主義だった」
 そうだったというのだ。
「しかしそれがだ」
「今では他国のメンバーもいますね」
「変わった。随分国際的になった」
「それはいいことですね」
「韓国や台湾に行かせたのがよかったな」
 これは伊藤の決定だ。平良や福原といった主なメンバーをそうした国々に行かせて学ばせそのうえで国粋主義的なものを払拭させたのだ。
「あれから視野が広くなった」
「そうですね。ですが」
「正義感が強過ぎるのはな」
「それは変わりませんでしたね」
「正義感が強いのはいいことだが」
 それでもだとだ。東郷は難しい顔も見せた。
「いや、平等主義も義侠心もだ」
「どれも美徳です」
「日本軍でも常に教えてきた」
 これは海軍だけではない。陸軍もだ。むしろ陸軍の方がそうしたkとへの教育を徹底させている程である。
「しかしだ」
「それでもですね」
「それだけでどうにかなるか」
 言うのはこのことだった。
「そうはならないのが世の中だ」
「どうですね。どうしても」
「正義だけで左右できるものではない」
 東郷は少し遠い目になって言う。
「世の中はな」
「平良提督はそこがあまりわかっておられないですね」
「正義や義侠心で全て変わると思っているな」
「純粋なのですね」
「純粋もまたいいことなのだ」 
 このこともだ。東郷は認めた。
 しかしそれでもだった。彼は言葉を濁したまま言うのだった。
「しかしだ」
「それでもですね」
「悪もまた世界をいい方向に向けることもあるのだ」
「悪もまたですか」
「そういうこともある」
 東郷は人生経験からわかっていた。そうしたことが。
 それ故に遠い目になってだ。それで言うのだった。
「正義だけで世の中が正しくなればどれだけやり易いか」
「そしてその正義が時には」
「自分を不必要な災厄に巻き込むことになる」
「では獅子団については」
「過剰な行動を慎む様に伝えよう」
 即ちだ。彼等が現地の貴族達を糾弾し制裁に至ることをだというのだ。
「今のうちにな」
「はい、それではそれも」
「下手な行動はかえってトラブルの元だ」
 例えそれが正義感に基くものにしてもだというのだ。
「コントロールが必要だ」
「難しいことですね。本当に」
「海軍はそうしていく。だがな」
「陸軍さんですね」
「利古里ちゃんもな。正義感が強いからな」
「危ういところがありますね」
「少し話をするか」
 東郷は腕を組みながら考える顔になって述べた。
「祖国さんを交えてな」
「私のことはお気遣いなく」
 ここで日本が東郷に述べる。
 
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