ヘタリア大帝国
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TURN41 雨と盾その一
TURN41 雨と盾
太平洋軍はベトナムに到着した。その目の前には既にエイリス軍の正規艦隊が植民地艦隊も交えて展開していた。
その彼等を見てだ。日本が東郷に言った。
「見たところですが」
「ああ、多いな」
「数は我々の二倍以上です」
「そして前にいるのはな」
「ヴィクトリーです」
その戦艦の姿は確かに確認された。
「あの戦艦がいます」
「ネルソン提督、。、エイリスの名将だな」
「話によると騎士道精神に溢れる人物だとか」
「騎士提督、いやエイリス軍自体がな」
「騎士ですか」
「騎士の国の騎士の艦隊だ」
それがエイリス軍だというのだ。
「エイリス軍は見事だ。毅然としている」
「植民地の貴族の様に腐敗はしていませんね」
「そうだ。全くな」
それはないというのだ。エイリス軍は。
「そこがエイリスの特色だな」
「貴族の腐敗は我々にとっては付け入るところですが」
「エイリス軍は違う」
「強敵ですね」
「紛れもなくな。だからな」
「しかしですか」
「エイリス軍らしい布陣だな」
東郷が今見ているのは彼等の布陣だった。
見れば見事な鶴翼だ。その中央の先にネルソンとフェムの艦隊がいてイギリスの艦隊もその中央にいる。
その彼等を見てだ。東郷は言うのだった。
「そう、数に劣る我々を包み込もうとしている」
「そうして倒すつもりですね」
「その通りだ。このまま来る」
こう言う東郷だった。
「囲んで来る」
「それに対して我々はどうするかですね」
「敵の要は彼女だ」
フェムを見ての言葉だ。彼女の艦隊を。
そのうえでだ。こうも言うのだった。
「彼女をまずは倒そう」
「そうしてですか」
「そうだ。敵も味方も攻撃力する」
彼女の降らす雨によって。このことは既に把握している。
「エイリス軍は彼女のその力でだ」
「我々の攻撃力を半減させて」
「無論彼等もその攻撃力は半減される」
「しかしですね」
「そうだ。彼等の数は我々の二倍だ」
このことが大きかった。ここでも戦争は数だった。
「いや、二倍以上だな」
「それ故にですね」
「その数で押し潰すつもりだ」
「鶴翼の陣で」
「セオリー通りに正々堂々と攻める、エイリス軍の戦術だ」
まさにそれがだというのだ。
「オーソドックスだ。しかしオーソドックスはな」
「決して侮りの言葉ではありませんね」
「何故オーソドックスでいけるかだ」
「それは効果的だからこそ」
「剣道でも柔道でも同じだ。オーソドックスな相手は手強い」
「型を知っているから」
「そしてこちらが失敗すれば」
オーソドックスな戦術を執る相手に対してミスを犯せばどうなるかというのだ。東郷はこのこともよくわかっていた。
「そこに付け込まれてだ」
「大きくやられますね」
「だから厄介だ。オーソドックスもな」
「戦いは相手の虚を衝くものですが」
中帝国の古代の兵家の言葉だ。
「それに対してオーソドックスもまた」
「いいやり方だ。だからな」
「こちらはミスを犯さない」
「そして彼等の柱を崩す」
それが大事だというのだ。
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