ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第六十一話 コントロールセンター
ワープポイントの部屋で休んだ二人は先に進もうとシャッターを潜ったものの、油田のあった砂漠エリアにも勝るとも劣らない暑さに二人は思わず表情を歪めた。
「何、ここ!物凄く暑くない!?」
「一体何が起きてるんだ!?」
火力プラント施設の内部は確かに暑いとは感じるが、これほどではないはずなのだが、アッシュとグレイの疑問に通信を繋げてきたトーマスが答えてくれた。
『そのビルは周りの都市部にいくつかあるエネルギー炉のコントロールセンターだ。しかし、今はイレギュラー共の仕業で熱暴走を起こし、制御が利かないのだ』
「放っときゃエネルギー炉も暴走して、“ボカーン!”…か。いちいち派手な奴らだな」
『エネルギー炉はいつまで保つか分からない、何とかコントロールセンターの制御を取り戻してくれ』
「了解、早速モデルHの出番よ!トランスオン!」
「トランスオン!」
アッシュとグレイはモデルHへと変身すると、モデルAがアドバイスをくれた。
「アッシュ、グレイ!炎のせいで進み辛いと感じたら電気属性の攻撃を当てて見ろよ!特にグレイのプラズマサイクロンVなら範囲の広さもあって一気に消せるぞ!」
「よし、グレイ。鬱陶しい炎を蹴散らしてあげなさい!」
「分かったプラズマサイクロンV!!」
チャージを終えたダブルセイバーを一振りすると縦の電撃を纏った竜巻が斜め上、斜め下の上下に放たれる。
竜巻に巻き込まれた炎は消えていき、進みやすくなったので奥に進むとシャッターを発見したが…。
「あそこが怪しいわねぇ…」
細い柱が伸びており、あそこからローズパークで移動出来そうである。
「エレベーターがあるのにわざわざそっちを登るのアッシュ?」
「何て言うかさ…ハンターの感かしら…ほら、ここって大悪党の元会社じゃない…?もしかしたら溜め込んでいた金銀財宝のお宝があるかもしれないじゃなーい?」
「アッシュって本当にお金が好きなんだね」
目がゼニーの形となっているアッシュにグレイは思わず溜め息を吐いた。
「逆に聞くけどお金が嫌いな人っているの?」
「少なくてもがめつい奴は嫌われると思うぜ」
「むっ!?アタシのどこががめついのよ!?」
「全部」
モデルAの言葉にアッシュは後で殴ろうと心に決めた。
「まあ、確かに寄り道してる場合じゃないわね」
エレベーターに乗り込むと上昇するものの、侵入者用の砲台から火炎放射が発射され、更にエレベーターに隙間から入ってきたメカニロイドの攻撃を受けることになる。
「危ない!」
「分かってるわよ!」
モデルHのエアダッシュを駆使して攻撃をかわしながら最上階を目指す二人。
そして最上階に着くとシャッターを抉じ開けて奥へと進む。
ここも妨害するイレギュラーがいる上に火炎放射の砲台が複数設置されているが、モデルHの機動力の前では形無しであり、一気に奥のシャッターに辿り着けた。
「いやー、やっぱりモデルHって速いわねー」
「うん、これがあるだけで全然違うよ」
空中での移動手段があると言うのは本当に便利であり、敵として戦う分には厄介だが、自分が使うとなるとかなり頼りになる。
シャッターを抉じ開けると大型の砲台が複数出現して行く手を阻んでくる。
砲門から光弾が放たれるが、突如軌道を変えたことに驚く。
「弾の軌道が?」
「こいつはどうやらモデルFのテクノロジーが使われてるようだな。」
アッシュの疑問にモデルAがこの砲台にモデルFのテクノロジーが使われていることを説明する。
「なら、モデルFの力で返り討ちにしてやる!トランスオン!」
グレイがモデルFに変身してナックルバスターを構えるとショットを連射し、一台目を破壊するとショットの軌道を変更しながら砲台を破壊していくと、あっという間に全滅する。
「どんなもんよ」
「倒したのグレイだろ」
「あんた、うるさいわよ」
口うるさいモデルAに眉間に皺を寄せるアッシュだが、シャッターが開いたので奥へ進むと上にイレギュラー達がおり、どうやら登っていくしかなさそうだ。
グレイは再びモデルHに変身してアッシュと共にエアダッシュを駆使して上に登っていく。
「それ!プラズマサイクロンH!!」
横の竜巻を繰り出すプラズマサイクロンHがイレギュラーに直撃して爆散した。
そして一番上まで到達するとシャッターを発見して抉じ開けて奥へと進むと、トゲが敷き詰められた床のある通路の奥に重厚そうなシャッターが見えた。
「厳重そうね…あそこかしら?」
「行ってみようアッシュ」
セイバーでイレギュラーを斬り払いながら進んでシャッターを抉じ開けると広い部屋に出た。
そこは天井が無く、大空が広がっている。
「ここで凄い爆発でもあったのかしら?」
「部屋がボロボロだ…」
「ここは今から四年前…二人の究極の戦闘力を誇ったロックマンとモデルVに操られた道化が戦った場所だ。」
聞き覚えのある声にアッシュとグレイが振り返るとプロメテが佇んでいた。
「アンタ…プロメテ…」
「久しぶりだな、アッシュ。そしてグレイ…運命のゲームにまだ生き残れているようじゃないか、どうだ?少しは自分の事が分かったか?」
「ええ…とりあえずアンタ達とは絶対にソリが合わないって事は分かったわ」
少なくても世界を滅茶苦茶にしようとするヘリオス達やプロメテのような者達はアッシュの性格上、許せるものではなかった。
アルバートのことや個人的なことも色々含めてだ。
「クククッ…そうか?俺とお前は似た者同士だと思っていたのだがな、お前は俺に仲間とプライドを傷付けられた。お前は俺が憎いはずだ。お前は俺への復讐のために戦っている、そう…俺と同じようにな」
「アンタが何のつもりで戦ってるかなんて知らないけど、アタシはそんなのじゃないわ。全部知った風な顔で、人を弄んでるアンタが気に入らないだけよ」
「詭弁だな、そうやって自分を正当化して、ヒーロー気分に浸ってるだけだ。まだ気付いていないんだろう?お前は決してヒーローなんかじゃないって事を」
「…何ですって?」
「そうだ、その目を忘れるなよ。今日のところはこのモデルVを回収しに来ただけだ。焦らなくても、お前はいずれ失敗作共々この俺が斬り刻んでやる…楽しみに待っていろ!」
「いや、その時は一生来ないぞプロメテ」
「っ!!」
背後から感じた殺気にプロメテは即座にジャンプして光弾をかわした。
「チッ、来たか…いや、ここはお前の故郷だ。来て当然か…久しぶりだなヴァン」
「久しぶりに故郷の近くにいたから様子を見に行こうと思ったらイレギュラーが出てるわ、セルパン・カンパニーのビルの様子がおかしいからイレギュラー達を倒しながら来たらお前がいるわ…いい加減お前の顔も見飽きてきたところだ。そろそろ決着をつけないか?」
この四年間、イレギュラー狩りとモデルVの破壊の最中にちょっかいをかけられてきたヴァンからすればプロメテとパンドラは最早憎しみを通り越して鬱陶しい存在でしかない。
「フン…まあ、そう言うな。このゲームが行われているからこそお前は存在を許されている。もしこのゲームが終わればお前の居場所など何処にもないぞ。世界を滅ぼしかねない強大な力を単体で持っている上に元の体に戻れないお前はどこにも必要とされない。」
「………俺が必要のない世界なら、とても平和な世界だろうな。そしてお前達がいない世界もな」
アルティメットセイバーを抜いてプロメテに斬りかかるヴァンだが、プロメテはそれを鎌で受け止めるとモデルVの所まで後退する。
「フン、俺達ロックマンがいなかろうと争いは終わらない。争いのない世界が欲しいなら貴様が全てのロックマンを始末して王になるしかないな。その破壊神の力で全てを平伏してな」
「貴様…!」
「安心しろ、すぐに最後の戦いが始まる。そこの二人のおかげでな」
ヴァンの視線がアッシュとグレイに向けられる。
「………」
「お前は僕達のことを何か知ってるのか!?答えろ!」
グレイがセイバーを構えるがプロメテはそれを鼻で笑うだけだ。
「フン、吠えるなよ、屑が。無闇に牙を剥いても命を落とすだけだぞ失敗作」
「アンタね…」
アッシュがプロメテのグレイの侮辱の言葉に怒り、前に一歩出た。
「慌てるな…もうすぐだ…もうすぐ俺達の悲願が達成されるんだ…それが終わればお前達は用済みだ…その時は…」
全てを言わずにプロメテは転送の光に包まれてモデルVと共に姿を消した。
「…くそっ!むかつく奴だな!」
「…もうすぐか…思ってたよりもずっと早かったな…」
プロメテの言葉にいよいよ最後の戦いが近付いていることを感じ取るヴァンであった。
「あら…プロメテの坊やはもう行ってしまったの?せっかちな子ね。後少しでエネルギー炉が爆発して、この国に綺麗な炎の花が咲きますのに。甘くて…蕩けるような、“恐怖”という名の蜜が採れる花が…ウフフフッ」
突然現れた蜂を彷彿とさせるイレギュラー…恐らくモデルVのフォルスロイドにアッシュとグレイは身構えた。
「おい」
しかし、それはヴァンから発せられた絶対零度をも下回るような声によって二人は口を開けなくなった。
「お前、人の故郷で何を馬鹿な真似をしようとしてるんだ?」
「あら?あなたはモデルOのロックマン…破壊神がここに何の用かしら?」
「決まってるだろう、このふざけた騒動を止めに来たんだ。今すぐエネルギー炉を停止させろイレギュラー」
「お断りよ、せっかく綺麗な花を咲かせようとしているのに無粋ね…それから私はカイゼミーネよ」
「そうか、なら今すぐ叩き斬ってやる」
「出来るかしら?私の武器コンテナを落とせばすぐにここを吹き飛ばせますのよ?」
カイゼミーネが脅すように言うがヴァンはセイバーを構えた。
「ちょ、ちょっと!?」
「やってみろよ、やれるものならな」
一歩前に出たヴァンにアッシュは慌て、カイゼミーネはモデルOのプレッシャーに気圧されながらも武器コンテナを落とそうとした。
「わ、私を甘く見ないでもらえるかしら?なら、お望み通りエネルギー炉の爆発よりも前にこのビルを…!」
カイゼミーネが武器コンテナを落とそうとしたが、武器コンテナが落ちない。
「あれ?」
「落ち…ねえぞ…?」
グレイとモデルAが全く落ちる気配のない武器コンテナに驚く。
「な、何故落ちないの!?いえ、それどころか機能しない!?」
「気付いてないのか?お前の体が既に動かせる状態じゃないからだ」
「な…ん…ですって…?」
次の瞬間、カイゼミーネの体は縦一文字に真っ二つに裂けた。
「俺の踏み込みと居合いの速度は風よりも速い。ダブルチャージバスター」
そして機能停止した武器コンテナが床に落ち、更に追撃でダブルチャージバスターを受けて空中で爆散するカイゼミーネ本体にアッシュとグレイは唖然となるしかなかった。
後書き
こいつはモデルHよりもモデルFの方が倒しやすいんだよね…
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