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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第四十七話 輸送列車

 
前書き
プロメテ達にとって優先度が高いのはやっぱりアルバートのスペアボディのグレイよりも想定外のロックマンのアッシュかもしれない。 

 
モデルAの力で変身したアッシュとグレイは体の内側から力がみなぎってくるような感覚に驚いた。

「…この感じ…力が…アタシの中でどんどん強くなってる…これがライブメタルの…!」

「…力が湧いてくる…何でだろう…僕はこの力を知っている…これが…ロックマンの力…!」

握り締めている銃は初めて使う形状の物なのに不思議と手に馴染んだ。

「…ロックマン…モデルA…!」

一つのライブメタルによる二人のロックマンの同時誕生と言う前代未聞の光景に流石のパンドラも驚きを隠せない。

最初は驚いていたプロメテもロックマンへと変身したアッシュを見て高笑いした。

「フフッ…ハーッハッハッ!こいつは驚いた!失敗作はともかくあいつまで変身しやがった!モデルOのロックマンに続くこのゲームの想定外…二人目のイレギュラーロックマンか!良いぞ…認めよう!お前達はこのゲームに参加する資格がある!」

「プロメテ…あの…もう一人のモデルAの適合者の女の子は…」

「別に大したことじゃない。モデルOのロックマンも調べたところじゃ元々はモデルXの適合者だった。一つのライブメタルの適合者が複数同時に現れると言うのは有り得ないことじゃない。モデルAに関しては完全に予想外だったがな…さて…アッシュとか言ったな…モデルAはお前とグレイとか言う失敗作にくれてやる。これからお前達の前に何人ものロックマンが現れるだろう!そいつらと戦い、勝ってみせろ!最後まで生き残った時、お前達は自分の正体を…世界の全てを知るだろう!さあ…楽しもうじゃないか!あの男が仕組んだ運命のゲームを!」

プロメテとパンドラが転送の光に包まれてこの場から姿を消し、アッシュとグレイは呆然となりながら見つめる。

「アタシ達の正体…?運命のゲーム…?何なのよそれは!?」

しかし向こうの車両で起きた爆発に状況を思い出した二人。

「しまった!このままじゃみんなが!」

アッシュが先頭車両に向かおうとした時、モデルAが慌てたように叫ぶ。

「ちょっと待てよ!ここから逃げるんじゃないのかよ!?」

「格好つけて出てきた癖にいきなり逃げ腰!?しっかりしなさいよ!」

モデルAの言葉を一蹴するアッシュにモデルAは隣のグレイに語りかけた。

「あーもう!おい、お前!ここから逃げるぞ!」

「僕も行く!僕達と一緒にいるのが嫌なら変身を解け!」

そしてグレイもまたモデルAの言葉を一蹴する。

グレイには恩人であるアッシュを一人で行かせると言う選択肢はない。

「分かった、分かった!ついてくよ!また、さっきの奴らに捕まって、どっかの遺跡に埋められるのはごめんだぜ!力を貸してやるからオイラを置いていかないでくれよ!」

「当たり前じゃない!あんたはアタシのお宝なの!どこまでも付き合ってもらうわよ」

「…よし!行くぞ!」

二人は先頭車両に向けて駆け出した。

イレギュラーが飛び出して二人に襲い掛かるが、アッシュとグレイが銃を向けて引き金を引いた。

すると銃口から見慣れたショットが発射される。

「これは…アタシのレーザーじゃない!」

「僕のはバスターだ…」

どうやらそれぞれの銃は変身前に使っていた武器を基にしているようでモデルAの力でこの姿で戦うのに相応しい形状に変化した物らしい。

「助かるわ、使い慣れた武器があれば大分戦いやすくなる」

「それだけじゃない、オイラの力でお前達の持っていた武器の性能が底上げされてるんだ。エネルギーをチャージすればグレイは強力なチャージバスター、アッシュは数回反射するレーザーを発射出来るぜ。後はホーミングショット、グレイとアッシュじゃ性能が違っていてグレイはレーザーサイトの縦のサーチ範囲が広くて追尾する複数のレーザーが撃てる。アッシュは横のサーチ範囲がグレイより少し広い代わりに縦のサーチ範囲が狭いんだ。ロックした敵を連鎖して攻撃するレーザーが撃てるんだ。」

「ふーん」

モデルAの解説を聞いたアッシュが解説内容を総合するとロックマン・モデルAの状態ではグレイの武器は速度が遅いが扱いやすく、アッシュの武器は速度は速いが癖が強いということになっているわけだ。

取り敢えず今の武器を上手く使ってイレギュラーを破壊していく。

「あ、そうだ!一つ忘れてた…エネルギーがフルの状態の時はギガクラッシュって言う大技が使えるぜ?大量の敵に囲まれた時に使ってみな。ただし一度使うとエネルギーが空になるから良く考えて使えよ。」

「分かった。」

グレイはチャージバスターとホーミングショットのディフュージョンレーザーを上手く使って攻撃していく。

アッシュもレーザーのチャージ攻撃であるリフレクトレーザーの反射を上手く使って複数のイレギュラーを射抜き、ホーミングショットのコネクションレーザーで攻撃する。

そして先頭車両に繋がるシャッターを抉じ開けて奥へと進むと、何者かの雄叫びが聞こえてきた。

「アオアオアオーッ!モデルA…!お前、掟破った!ロックマン、選ばれし者!その女、俺達の敵!その少年、失敗作!力貸す、良くない!」

「掟も何も、オイラはお前らの事なんか知らないっての!」

「何だこいつ…!?他のイレギュラーとは何か違う…!」

「あいつは確か…賞金首のイレギュラーだったような…」

グレイは突如現れたイレギュラーの異質さに気付き、アッシュは以前のハンターキャンプの指名手配されていたイレギュラーの姿と酷似していることに気付いた。

「俺、イレギュラー違う!俺、フォルスロイド・ディアバーン!プロメテとパンドラ、お前逃がした!でも俺、逃がさない!俺、掟従う!お前達、蹴り砕く!」

「来るわよ!」

ディアバーンが広範囲に炎の矢を発射し、アッシュとグレイはダッシュでかわしながらショットを連射する。

ディアバーンは大ジャンプをしながらグレイに狙いを定めて急降下しながら蹴りを繰り出す。

「うわあっ!?」

まともに蹴りを喰らったグレイは吹き飛ばされる。

「グレイ!?」

「でやあっ!!」

次にディアバーンが発射したのは二つのブーメラン。

「危ないわね!」

「アッシュ!」

アッシュはブーメランをかわし、グレイがバスターを構えてレーザーサイトを出し、ディアバーンをロックするとホーミングショットを発射した。

しかし、ディアバーンは炎の矢を発射して全て相殺する。

「俺、遅い攻撃、当たらない!!」

「なら今度はこっちを喰らってみなさい!!」

「やっ!!」

ダッシュで距離を積めようとすらアッシュにディアバーンは炎の矢を再び発射する。

アッシュは軌道を見切って回避しながらレーザーをフルチャージし、リフレクトレーザーを発射した。

当然ディアバーンは大ジャンプで回避するが、レーザーは壁を反射してディアバーンに命中する。

「ぬっ!?」

「流石に反射の軌道は読みにくいでしょ?更に!!」

レーザーサイトを出してディアバーンをロックすると稲妻を思わせるアッシュのホーミングショットがディアバーンの足に直撃した。

「うあっ!?」

「もう一発プレゼントよ!!」

コネクションレーザーからの時間差でリフレクトレーザーを放ち、更にダメージを与える。

アッシュ達は知らないが、モデルAは他のロックマンと比べて武器のチャージ時間が短いと言う長所がある。

足にダメージを受けたことで動きが鈍っているディアバーンに連続で攻撃を加える。

「グレイ!あんたも攻撃しなさい!」

「分かった!」

アッシュに続くようにグレイも攻撃に加わり、ディアバーンにダメージを与えていく。

「俺、負けない!お前達、蹴り砕く!!」

片足でジャンプして蹴りを繰り出すが、ダメージによって動きが鈍くなっており、見切れない程ではない。

「これで!」

「終わりだ!」

アッシュのリフレクトレーザーとグレイのチャージバスターがディアバーンに直撃し、ディアバーンの体を崩壊させていく。 

「お前…裏切る…か…!俺達の…未来…!俺達の…世界を…!うおおおおおおっ!」

ダメージに耐えきれなかったディアバーンは爆散した。

そしてディアバーンの残骸から何かが飛び出し、アッシュとグレイに吸い込まれていく。

「……へ?」

「い…今のは?」

アッシュとグレイは何事かと自分の体のあちこちを見るが、今のところ変化はない。

「へっへーん!良いこと教えてやろうか?意識を集中して頭の中でディアバーンの姿をイメージしてみろよ。」

「ディアバーン…」

グレイがイメージすると、体が光に包まれてディアバーンへと変身した。

「へ!?」

突然姿を変えたグレイにアッシュは目を見開く。

「驚いたか!?これがオイラの力!コピーした相手に変身出来るトランスオンだ!変身すれば変身相手の能力をいくつか使うことが出来るんだ。完全じゃないけどな…アッシュとグレイが二人で使ってるからトランスオンが不安定なんだ。同じ姿に変身しても使える攻撃が違うこともあるかもしれないから気を付けろよ」

「ところでこれってどうやって戻ればいいんだ?」

ディアバーンの口からグレイの声が出た…恐らくこれも一つのライブメタルの力を二人で使っている弊害か。

「体から力を抜いてみろよ。そうすれば戻れるから」

「こ、こう…?」

ディアバーンの姿で変なポーズを取っているグレイにアッシュは溜め息を吐いた。

「それ、逆に力が入ってるってば…深呼吸しなさい深呼吸。そうすれば自然に力が抜けるわよ」

「スーーー…ハーーー…あ、戻った…これがライブメタルの力なのか…」

深呼吸して体から力が抜けるとグレイはロックマン・モデルAの姿に戻る。

「このトランスオン、アタシにも使えるの?」

「勿論、ただしオイラの力を二人で使ってるからトランスオンは不安定なんだ。もしかしたら完璧な変身は出来ないかもしれないからそこんとこは覚えといてくれよな」

「分かったわよ…それにしてもあんたが狙われるのはこの能力のせいなの?」

「さあね、オイラが何のために作られたかなんて、オイラも知らないよ。列車も壊れちまったし、これ以上は進めないな。キャンプまで戻ろうぜ、何とかしてレギオンズの所まで行く方法を見つけないとな」

「…へぇ~モデルA、あんた少しは分かってきたじゃない」

「じゃなきゃここに置いていくんだろ?…わけ分かんねぇことばっかだけどよ、これも何かの縁だ。仲良くやろうぜアッシュ、グレイ」

「ハハッ、よろしく、モデルA。さて…まずは怪我人の手当てをしないとね…あら?」

気が抜けたことで変身が解除され、アッシュは膝をついた。

「アッシュ!?プロメテにやられた怪我が…」

「あー…無理したツケが来たかしら…」

「まずはアッシュの手当てをしないと、他の怪我をした人達は僕がするから」

「はあ?アッシュはともかく他のハンター共までやるのかよ?ハンター共は放っておいてさっさとキャンプに戻ろうぜ」

自身の適合者であるアッシュはともかく、無関係なハンター達まで助けようとするグレイとアッシュに呆れるモデルA。

「そんなこと出来るわけないだろ」

「そういう事言うんだ?…ライブメタルに名前彫ったら歴史に残るかしら…」

「分かった、分かったってば!…ったく、何でこんな奴らがオイラで変身出来るんだよ…」

二対一なので基本的にモデルAに勝ち目はない。

モデルAはブツブツと文句を言いながらアッシュを背負って怪我人の元へ向かうグレイを追い掛けた。

「ごめんねー、運んでもらって」

「いいさ、アッシュだって僕を医務室に運んでくれたじゃないか…見ず知らずの僕を何度も助けてくれた…だから今度は僕が助ける番だ」

「律儀ねー、グレイ。あの三馬鹿も見習って欲しいくらいだわー」

こうしてアッシュとグレイの共同ミッションは完遂出来ず、レギオンズに向かうための手段を得るために取り敢えず手当てをした後にハンターキャンプへと帰還するのであった。 
 

 
後書き
フォルスロイドは声はアッシュとグレイのまま、ロックマンはアーマーのみのコピーです。

原作通りだとアッシュがギャグみたいにしてしまうんで 
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