ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第四十八話 レギオンズ三賢人
取り敢えずアッシュと怪我をしたハンター達に手当てをしたグレイはこれからどうするべきかと悩んでいた。
「とにかく、モデルAはアタシ達が持ってるべきね。アタシのお宝なこともあるけど、モデルAの適合者のアタシ達が持っていた方が他のハンターに任せるより安心だわ」
「分かった…壊れた列車はどうするんだ?」
「そこはアタシ達にどうこう出来ることじゃないわね。アタシ達に出来ることはトランスサーバーでミッションレポートを出して報酬を受け取ることだけ。一応ライブメタルは守り切ったわけだからそこそこの報酬は貰えるでしょ」
ハンターキャンプのトランスサーバーのある部屋に入り、アッシュがアクセスしてミッションレポートを提出する。
輸送列車の修理が終わるまで待って欲しいと言うのをレポートに付け足して。
レポートを提出して報酬を受け取ろうとした時、こちらに通信が割り込んだ。
『今、ミッションレポートを出したのは君だね?レギオンズの専用回線をトランスサーバーに繋げる。そのまま、アクセスしていてくれ。君達がライブメタルに選ばれた者…ロックマンか』
「…お前達は…?」
「随分と一方的ね、レギオンズなら何をしても良いってわけ?」
グレイとアッシュの反応にモニターに映った三人の老人の中で最も小柄な老人が笑った。
『はははっ、我らを前にしてもその態度か。噂通りだな…それにそちらのお前さんは記憶がないとは聞いていたが本当らしいな』
『止めろ、ミハイル。彼女の言う通り、失礼なのは私達の方なんだ。彼に関しても仕方ないだろう』
穏やかな表情を浮かべる老人がミハイルと言う小柄な老人を諌めると、大柄な老人が口を開いた。
『我らはレギオンズの最高権威者…三賢人と呼ばれている者だ。私は三賢人の一人、マスター・トーマス』
『儂の名はマスター・ミハイルだ。よろしく、ロックマン』
『すまない、ミハイルはああいう性格でね…私はマスター・アルバートだ。初めまして、アッシュ君、グレイ君』
「へえ、レギオンズのトップに知られてるだなんて光栄だわ」
『噂話程度はな、中々優秀なハンターだそうじゃないか』
レギオンズのトップである三賢人に名前を知られていることにアッシュは満更でもない表情を浮かべる。
しかしグレイには自分の名前を知っていることに引っ掛かることがあるようだ。
「何で僕の名前を…!?僕のことを知っているのか!」
少なくても自分はアッシュのように長い間ハンターをしていたわけではない。
だから噂話になるような存在ではないはずなのに知られていることが引っ掛かったようだ。
『落ち着きたまえ、君の事はハンター達のレポートで知っている程度だ。今、レギオンズのデータベースで調べている。直に君が何者か分かるだろう。』
「へえ、良かったじゃないグレイ。少しはあんたのこと分かるかもよ」
「う、うん…」
『君達に改めて頼みたいことがある。そこで待っていると言うのも辛いだろう。君達にハンターとして我々のミッションを受けてもらいたい』
『お前さん達二人で、ライブメタルをレギオンズの本部まで持ってきてもらいたいのじゃ。どうやらイレギュラー共もそのライブメタルを狙っているようなんじゃ、大人数だと見つかりやすいのでな。仮にもロックマンなんじゃから腕は立つのじゃろう?』
ミハイルが何かを弄るような仕草をすると、アッシュとグレイの元に一枚のカードキーが送られてきた。
「このカードキーは?」
アッシュが送られたカードキーを手に取ると、アルバートが説明してくれた。
『レギオンズ本部へ向かう列車は壊れてしまったそうだね。そのカードキーで、ロックされている扉の奥にある新たなエリアへ行けるようになるはずだ。実は君達のいるキャンプからそう遠くないエリアに、違法ハンターの飛行艇が墜落している。その飛行艇からなら列車の修理に必要なパーツを確保出来るだろう』
「その違法ハンターの飛行艇ってアタシがモデルAを取り戻した連中の物よね。なら、大丈夫そうだわ。侵入した時にチラリと見たけど結構、良いパーツ使ってそうだったし」
プロメテのせいで酷い目に遭ったものの、結果的に列車の修理に使えそうだから良かった…のだろうか?
「アッシュ、違法ハンターって何なんだ?前から気になってたんだけど」
「ん?違法ハンターってのはハンターギルドに正式登録していないハンターのことよ。お宝…ロストテクノロジーの盗掘や、違法な物品の売買、他にも問題事を起こしてる困った連中なの…まあ、一言で言うなら“悪い奴”ね」
「なるほどー、違法ハンターってのはアッシュみたいな乱暴者ってわけだな。痛ぇ!?」
失礼な発言をするモデルAにアッシュの鉄拳が飛ぶ。
「アタシと違法ハンターを一緒にするんじゃないわよ!アタシのどこが乱暴者なのよ!?」
「そ、そうやってすぐに手を出すからじゃんか…それで乱暴者じゃなかったら何なんだよ…はうっ!?」
「お黙り!」
二発目の拳骨。
勢い良く床に叩き付けられたモデルAは怒りマークを浮かせながら浮上した。
「あーーーっ!もう怒ったぞ!喰らえアッシュ!!」
怒ったモデルAがアッシュに体当たりする。
突然のことにアッシュは反応出来ずに喰らってしまうが当たった場所が悪かった。
「あ」
「…あれ、何か柔らかい…」
「この…この…っ」
こめかみに青筋を浮かべて拳を震わせるアッシュ。
モデルAが体当たりした場所は不運にもアッシュの胸だったのだ。
「このドスケベメタルーーーッ!!!」
怒りが最高潮に達したアッシュの鉄拳がモデルAに叩き付けられた。
「ぎゃあーーーーっ!!!」
本日最大の轟音が響き渡り、モデルAは部屋の壁に埋まり、それを見ていたグレイは顔を真っ青にした。
『…話を戻そう、ライブメタルには我々も知らないような技術やデータが記録されている。君達をロックマンに変身させている技術、R.O.C.K.システムや…』
『数百年の時で失われた…或いは意図的に葬られた歴史の真実の姿とかな。もしかしたらそこのスケベメタルにも記録されておるかもしれんしな』
『止めろ、ミハイル…とにかく、私達はライブメタルを調べる義務がある。その技術やデータを悪用されないためにね。アッシュ君、グレイ君。頼めるかい?』
三賢人からの頼みにアッシュとグレイは互いを見遣る。
「…レギオンズまで行けば僕やモデルAの事を教えてくれるんだな?」
「良いわよ、面白くなってきたわ。勿論、賞金は弾むんでしょうね?アタシはタダ働きはごめんだわ」
『ああ、考えておこう。君達が来るまでには調べ終えておくので、まずは飛行艇の墜落現場を目指してくれ。だが道中は危険が多いだろう。ハンター達に話を聞くといい、これは前金だ。君のアカウントに振り込んでおくからこれで必要な物を揃えるといい』
そう言ってモニターから三賢人が消え、アッシュは早速自身のアカウントを確認する。
「どれどれ………あーーーっ!?」
「ど、どうしたんだアッシュ!?」
アカウントを確認していきなり大声を出したアッシュにグレイは驚く。
「ひゃ、ひゃ、百万ゼニーが振り込まれてる!前金!?これが前金!?こんなドスケベメタルを届ける仕事で!?」
「誰がドスケベメタルだ!!」
「百万…って、そんなに凄いのか?」
「凄いも何も…これで必要な物を全て揃えても余裕があるわ!よーし!まずは腹ごしらえよーっ!!」
アッシュはグレイを引っ張って腹ごしらえのためにハンターキャンプの食堂に向かう。
「おーい!オイラを忘れないでくれよーっ!」
壁に埋まったモデルAを放置して。
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