ソードアートオンライン VIRUS
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祝福
前書き
今回は題名どうり。
現在、リズの経営しているリズベット武具店にお邪魔している。ついでにシリカも呼んでおいた。
「へぇー、竜使いのシリカもキリトやゲツガの知り合いだったなんてね」
「思い出の丘のときは二人にお世話になりました」
「そうなんだ。シリカちゃんいいなー、使い魔持ってて。私もテイムしたいなー」
「無理無理、俺らみたいな攻略組は大体のモンスターを一定の数以上を倒してるからテイム出来る可能性なんて、1パーセントにも満たないと思うぜ。と言うより、何でリズは俺に料理を作らせるんだよ!?」
「だって、ここでちょっとした結婚祝いをするって言って勝手にメール送ってきて来たんじゃない。それに私たち野中に誰も料理スキル入れてないし、こうやって店を閉めるのだって仕事終わらせるなきゃならなくて買出しも出来ないんだし、それくらい良いじゃない」
「そうだよ、リズだって仕事終わらせてこうやって店を休んでくれてるんだかそのくらいやってあげても良いんじゃないかな?」
「じゃあユキ、お前も俺と同じ勝手に来た一人なんだから俺の手伝いしたって良いんじゃないのか?って言うよりお前も料理スキル入れてなかったけ?」
そう言うとユキは若干くぐもった声を出すと、シリカとリズとまた話を再開する。ため息を吐いて、再び調理を開始する。その時にメッセージが来た。同じタイミングでリズとユキにも来たようだ。とりあえず、差出人を確認する。送ってきたのはキリトのようだ。
内容は話したいことがあるからリズベット武具店に行っといてくれ、それを見終えた直後、ユキたちと話していたリズが机をバンッ、と叩いて勢いよく立ち上がる。
「キリトなやつ、いい度胸じゃない。勝手にうちの店を休みにしといてなんて……」
「まあ、リズ。落ち着いて」
「そうですよ、キリトさんにも何か理由があるかもしれないじゃないですか」
怒るリズにユキとシリカが落ち着かせようとする。
「俺のトコにも来たが、内容はこの店に来い、だそうだ。ユキのほうは?」
「私のところも同じメール。一体なんだろね。キリト君からメールを送ってくるなんて余りないのに……?」
「もしかしたら、俺らみたいに結婚報告じゃねえか?」
「ナッ!!」
「エッ!!」
シリカとリズは声を上げた。
「どうしたんだ、二人とも?変な声上げて?」
何のことがわからず、聞き返すとリズがよって襟首を掴む。
「さっき、なんて言った!?キリトとアスナが結婚!?」
そう言ってリズは前後に振ろうとするが、筋力値は俺のほうが高いためまったく振られずに普通に話す。
「もしかして、お前らもキリトのことが好きだったのか?」
「「……」」
「その沈黙は肯定ってことでいいのか?だけど驚いたな。まさか、リズとシリカもキリトのことを好きだったな……」
「「言わんでいい(なくていいです)!!」」
リズはそう言って握っていた襟首を乱暴に離してから、座っていた椅子のところに戻る。シリカも赤くして顔を膝の上にいるピナを持ち上げてピナの背中に顔を押し当てる。
「ゲツガ君、少しは場の雰囲気を読もう」
「そうですよ。少しは乙女心を理解してください」
「うわっ、完全に俺が悪者扱い」
「事実でしょ。しかし、ユキもよくこんな鈍感男落とせたわね」
急に話が俺のことに代わる。しかし、自分のことなのに他人視点からの自分なので話がわからなくなってくる。仕方なくキッチンに戻って調理を再開した。料理がだいぶ完成してきたところで、店の方のドアが開く音が聞こえた。とりあえず、料理を完成させることに集中する。数分後、ようやく完成したので全てストレージの中に入れて、みんなのいる部屋に行く。
「よう、キリト、アスナ」
「久しぶりだな、ゲツガ。それと、ごめんな。俺のために……」
「気にすんな。あの事は忘れて、今日は楽しもう」
「そうだよ。ゲツガ君は、小さいことはそんなに気にしない人だから」
「そうだな」
キリトもそう言ってから少し暗かった顔が明るくなる。
「よし、じゃあキリトとアスナ。俺らをここに呼んだ理由は何だ?」
「実は私たち、結婚しました」
アスナがそう言う俺らは拍手を送る。キリトは若干顔を逸らして、頭をかいている。しかし表情はうれしそうだ。アスナも恥ずかしそうにしているが、うれしそうにしている。
「おめでとう、アスナ」
「キリトさんよかったですね」
「いやー、ようやくゴールインしたか。案外短かったな」
「そう?ゲツガ君は知らないと思うけど、結構前からだからそこまで短いわけじゃないよ」
「そうなのか、まあいいや。とりあえず、俺らの結婚報告もしたし、ここらでパッーと祝おうぜ」
そう言ってストレージからさっき作った料理をオブジェクト化させて机の上に置く。
「「「「おおっ!!」」」」
みんな料理を見て、声を上げる。料理はレアな食材などを使った物や現実でも食べたことのある味、いろいろと作った。
「ゲツガさんの料理、久しぶりに見ますけど相変わらずすごいですね。NPCレストランで出てきたものとぜんぜん違います」
「そうね。しかしあんたが料理できるなんて以外ね。料理が出来るって聞いたとき低いと思ってたけどこれほどとはね」
「本当に美味しそう。ゲツガ君、今度家に行っていい?私よりも料理のこと詳しそうだから」
「いいよ、今度私も料理教わるからそん時に一緒に教えてもらおう」
「まあ、俺がアスナには教えられるもんがあればだけどな」
そして、それぞれが椅子に座ったのを確認して、もう一度ストレージを出して、グラスと自家製のワインを出す。それを注いで一人一人に回す。全員に回ったので席を立つ。
「えー、じゃあキリトとアスナ、俺とユキの結婚を祝してカンパーイ!!」
「「「「「カンパーイ!!」」」」」
俺らは今日、ずっと祝い続けた。
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