ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第十話 イレギュラーの撃退
前書き
多分ここまで調子良く書けるのは今日くらいだと思います
プレリーの部屋の整理をしていたヴァンだが、街の非常警報が鳴り響いたことに気付いてブリッジに出ると、モニターにイレギュラーに襲われている街が映っていた。
「街が…!?」
「イレギュラーか…!街には先輩とエールが!!」
モデルXさえ持っていない今のエールは常人よりも体力があるくらいの女の子でしかない。
ジルウェはもう戦えるような体ではないので、早くライブメタルを届けなければまずい。
「プレリー!出るぞ、エールにライブメタルを届けに行く!!」
「お願いヴァン!それから街にライブメタルの反応があるの…恐らくフォルスロイドよ…イレギュラーはフォルスロイドの命令で動いている可能性が高いわ。それから謎のエネルギー反応もあるから気をつけて…発電所に現れた反応と同じ…」
「ペガソルタみたいな奴も混じっているってことか…分かった、気を付ける」
「あ…」
プレリーに背中を向けて街に飛び出そうとするヴァンに思わず手を伸ばした。
「…何だ?」
伸ばされた手に気付いたヴァンが不思議そうにプレリーが伸ばしている手を見つめる。
「…ごめんなさい、何でもないの…気を付けて…みんなで一緒に帰ってきてね…」
「?ああ、分かってる」
プレリーの態度に首を傾げるが、今はそれどころではないことを思い出して、今度こそ急いで街に飛び出した。
「………お兄ちゃん…」
オペレーター達が作業に集中していたため、誰もプレリーの呟きを聞いた者はいなかった。
街に飛び出したヴァンは逃げ遅れた親子に襲い掛かろうとしているイレギュラーをアルティメットセイバーで両断した。
「あ…」
「早く逃げろ!」
「は、はい!」
目の前のイレギュラーを瞬殺したヴァンを見る目には恐怖が混じっていたが、最初からこうなると分かっていたヴァンは早くエール達を助けに向かおうと駆け出した時だった。
「お兄ちゃんありがとう!」
母親に抱かれた女の子がヴァンに礼を言う。
それを聞いたヴァンは軽く手を振ると、急いで人々が集められているビルへと向かうのであった。
ビルのシャッターの前まで来ると、外出していたガーディアンのメンバーが怪我をして座り込んでいた。
「君は、ヴァンか…沢山の人達がこの中にいるんだ。ジルウェやエールもこの中にいる。助けに行ってやってくれ…!」
「ああ、分かってる…待ってろよエール!先輩!」
シャッターを潜り、ビル内部へと侵入するヴァン。
入った瞬間に凄い熱を感じたが、ロックマンの状態なので大した影響はない。
「エールと先輩はどこだ…?」
「ヴァン、エールは一番下のフロアにいるようだよ」
「どうやらジルウェも一緒のようだな」
それぞれの適合者の位置を察知したモデルXとモデルZの言葉を信じて一番下のフロアに向かう。
「エール!シュウ!下がってろ!」
イレギュラーに囲まれたが、二人を庇うようにジルウェは前に出た。
「ジルウェ!」
自分達を守ろうとするジルウェにエールは思わず叫ぶ。
ジルウェは以前の戦いのダメージで普通に過ごす分には問題ないが、戦えるような体ではないのだ。
しかしそんなことなどお構い無しに一体のイレギュラーがジルウェに襲い掛かる。
ジルウェはそれをかわして近くの鉄パイプでイレギュラーの頭部を殴打して機能停止させる。
ライブメタルを失っても体に染み付いた戦いの癖は残っているので、ジルウェがまともな状態なら切り抜けられたかもしれないが…。
「ぐ…う…っ!」
胸を押さえて苦しげに膝をつくジルウェ。
「ジルウェさん!?」
「ジルウェ!しっかりして!」
突然苦しむジルウェに驚くシュウと、急いでジルウェに駆け寄るエール。
「くそ…なんてザマだ…元ロックマンとは思えないな」
動けないジルウェを攻撃しようとするイレギュラーだが、それに気付いたエールがジルウェの前に立った。
「ジルウェはアタシが守る!!」
「エール!俺に構わず逃げ…」
自分の盾になろうとするエールにジルウェが自分に構わず逃げろと言おうとした時であった。
「アタシ“達”だろエール」
紅い残像が瞬く間にイレギュラーを瞬殺する。
「ま、また出た!?」
「「ヴァン!」」
事情を知らないシュウが驚いているが、ヴァンの姿を見た二人が安堵の表情を浮かべた。
「遅くなって悪かった…モデルX達も一緒だ……それと、お前…シュウだよな?」
一年ぶりに会う悪友にヴァンはどう説明したものかと頭を悩ませるが、シュウはわなわなと震えていた。
「(やっぱり今の俺は怖いか…)」
インナーの人々はアウターでイレギュラーハントや遺跡発掘などで生計を立てているハンターの人々と違って武装している相手への警戒心が非常に強いことはヴァンは痛いほどに分かっている。
「お前…生きてたのかよ!?今までどこにいたんだよ!?その格好良いアーマーは何だよ!?お前たった一年で何でそこまで髪伸びてんだよ!?ジルウェさんみたいに金髪になってんだよ!?そのアーマーは何処で手に入れたんだよ!?」
「最初のはともかく、残りの質問はどうでもいいな…あいつ怖くないのか?」
「ほら、ジルウェ。あいつ馬鹿だから」
シュウとそれなりの長い付き合いであるエールは彼がどのような人物なのかは良く知っている。
「あー…うん、そうだな。お前にはそんな心配いらなかったな…今からガーディアンベースに残っていたメンバーも来るから、俺達はみんなが救助しやすくなるように火を消しながらイレギュラーの親玉のフォルスロイドを倒すぞ。」
電気属性のエレメントチップを使って武器に属性を付加させながらエールに自分達のやるべきことを伝える。
「うん、分かった…モデルX、モデルZ。行くよ、ダブルロックオン!」
エールもまた変身し、モデルZXとなるとヴァンが持ってきた簡易転送装置でジルウェとシュウを転送しようとする。
「気を付けろよエール、ヴァン。」
「ちょっと待って下さいよジルウェさん!それ、どうやって手にいれたのかくらい…」
「分かった分かった、後で説明してやるから大人しくしてくれ!」
暴れるシュウを宥めながら、二人はガーディアンベースへと転送された。
「本当に変わらないなあいつ」
「そうでしょ?」
二人が消えた場所に呆れた視線をよこしていたが、自分達のやるべきことをするために飛び出した。
「熱っ!?火が広がってる…!」
「はあっ!!」
ヴァンが炎に向けてチャージセイバーを繰り出すと、電気属性の力によって消滅する。
「エール、この炎はただの炎ではない。これを消すには電気属性の攻撃でなければ消せん。俺の力を使え」
「分かった!ダブルロックオン!モデルHX!!」
モデルHの指示に従い、モデルZからモデルHに変更して電気属性を持つモデルHXに変身する。
「この姿で戦う場合、電気属性の攻撃を扱う方法はチャージ攻撃とオーバードライブだ。」
「オーバードライブ?」
「正式名称はオーバードライブ・インヴォーク・システムだが、モデルX様とのダブルロックオン時に一時的にリミッターを解除することで武器に属性が付加され、攻撃力が通常時の二倍となる。」
「本当に!?」
「だが、その代わりにオーバードライブ発動中はエネルギーを常に消費する。チャージ攻撃も使う度にエネルギーを消費してしまうことになるので、エネルギーがゼロになればどちらも使えなくなるので注意しろ」
やはり強い力には代償があるようで、モデルXとのシンクロ率が高いモデルZと比べてシンクロ率が低いモデルHをベースにしたモデルHXで戦う場合は常にエネルギーに気を配らなければならないということだ。
「エール、急ぐぞ!」
「分かってるーっ!」
先を進むヴァンをモデルHXの高い機動力で追い付くエール。
途中の炎を消しながら一番上のフロアに入って先に進むと、イレギュラーの攻撃によって出来た大穴があった。
「アタシだけなら何とか飛び越えられそうだけど…」
「俺は行けそうにないな…」
エールだけならばエアダッシュとホバーで飛び越えられそうだが、エアダッシュもホバーも使えないヴァンが残ることになるが、だからと言ってヴァンを置いていくわけにもいかない。
「…あの窓から向こうに行けそうだな」
「じゃあ、アタシが先に行って安全を確保しとくよ」
ヴァンは窓の奥から向こう側に渡ることにして、エールは無事に飛び越えてメカニロイドを倒していく。
「待たせたな」
窓の奥から爆発音がしたかと思えば、ヴァンがセイバーを片手に飛び出してきた。
「そんなに待ってないから平気。行こう!」
ヴァンとエールは奥のシャッターを潜り抜けて屋上に出た。
「…酷いな」
屋上から見たエリアGの街は火の海となっていた。
ガーディアンが消化しようとしても、フォルスロイドを倒さない限り終わらない。
「エール、奥のビルからライブメタルの気配がする。ヴァンも気を付けて」
自分の適合者と、適合者になるはずだった二人に注意を促すモデルX。
「「分かってる」」
攻撃をかわして返り討ちにしながらライブメタルの気配がするという向こう側のビルへ行き、シャッターを抉じ開けて部屋に入ると、獅子を思わせるフォルスロイドがいたのだが…。
「むっ?邪魔者が現れたか」
「ああ?」
既にフォルスロイドと戦っている存在がいたのだ。
エリマキトカゲを思わせるレプリロイドでブーメランを構えながらこちらを睨んできたが、ヴァンの姿を認識するとニヤリと笑った。
「見つけたぜぇ…破壊神の器ぁ…っ!」
「こいつ、あいつの仲間!?」
「多分な、お前は何者だ?」
「俺はブレイジン・フリザード!俺と一緒に来てもらうぜ!お前には世界をぶっ壊して、絶望と恐怖を撒き散らしてもらわなきゃならねえんだからなぁ!!」
その発言に驚きと共に怒りを感じたエールがダブルセイバーを握り締めて叫んだ。
「ふざけないで!ヴァンにそんなことはさせないんだから!」
「死にたいのか小娘?なら、望み通り消し炭にしてやるぞ…!」
「このような坊主が破壊神か…確かに強者の気配を感じる…満更戯言というわけでもないらしいな…そして隣の小娘が噂に聞いたロックマンか…イレギュラー共に選ばれた者達よ」
エールとフリザードが一触即発の雰囲気となるが、フォルスロイドの方は興味深そうにヴァンとエールを交互に見つめた。
「俺達がイレギュラーに選ばれただと?どういうことだ!?」
フォルスロイドの言葉に反応したヴァンがセイバーを構えながら問い詰める。
「元々イレギュラー共はただ好き勝手に暴れていたわけではない。奴らはモデルVの主に相応しい器を選んでいたのだ。ライブメタルの力を引き出せる選ばれし者…ロックマンの資格をもつ者をな。恐らくお主らも、イレギュラーの襲撃から生き長らえた者であろう?」
「俺達がイレギュラーに生かされた…!?ふざけるなよ…!」
怒りの表情を浮かべるヴァンにフォルスロイドは満足そうに笑う。
「ほう…いい目をするな…儂のライブメタルが疼きよるわ…!儂の名はモデルFのフォルスロイド、フィストレオ!そやつが言っていた破壊神の器とやらの力を見せてもらうとしよう!」
フィストレオは全身に炎を纏ってヴァンに突っ込んでいき、凄まじい拳のラッシュを繰り出してきた。
「ーーーっ!!?」
ヴァンはセイバーでラッシュを全て防ぎ切るものの、フィストレオの猛攻の凄まじさに目を見開く。
「ほう!?儂の拳を全て見切るとはなっ!」
「(こいつ、速い!!)」
全て防ぎ切ったヴァンにフィストレオは満足そうな笑みを浮かべて瓦礫を吹き飛ばす。
吹き飛ばされた瓦礫は炎を纏っているため、受けたらダメージは免れない。
背中からバスターショットを引き抜き、チャージを終えるのと同時にチャージバスターで瓦礫を粉砕して、フィストレオにセイバーで斬り掛かる。
「ふっ!はっ!たあっ!!」
セイバーでの連続攻撃を繰り出すが、フィストレオは全て見切って受け止めてみせた。
「中々やるではないか小僧。躊躇うことなく急所を狙うとは、かなりの修羅場を潜ったと見える」
「お前らイレギュラーのおかげでな!!」
突進してくるフィストレオにチャージセイバーで迎え撃つヴァン。
「ヴァン!」
「チッ…仕方がない。器は後回しだ…まずは目障りな小娘から始末してやるぜ!少しは俺を熱くさせてくれよぉっ!!」
腕のバーナーから火炎放射を放ってくるフリザードに対してエールは上へエアダッシュすることで回避してホバーで背後に回るとセイバーで攻撃する。
「ほう、やるじゃないか…人間の小娘にしてはな」
「何、その言い方?前の奴もそうだったけど人間を馬鹿にするつもり!?」
「ハッ!人間なんてのは俺達レプリロイドの力を借りねえと何も出来ないゴミ共なんだよ!お前の力もまたレプリロイドの力だろうが!なあ、石コロに成り果てた賢将様ぁ!?」
「………」
「知り合いなのモデルH?」
「データでは知っている。正確に奴との接点があるのは俺のオリジナルだ…数百年前の偽りの理想郷で審官をしていたレプリロイドなのだが、モデルZのオリジナルと戦って死んだはず…」
モデルHはエールの疑問に答えながらも、目の前の過去に死んだはずのレプリロイドがいることに疑問を抱いていた。
「俺は死なねえよ!あの方の力がある限り何度でも蘇ってやるぜ!」
「なるほど、貴様…モデルVの欠片でボディが再構築されたのだな?ということは、あの男が関わった者が他にも復活していると見て良いな……死してなお、あの男の呪縛から逃れられないとは哀れだな」
「哀れなのはどっちだ!そんな姿になってまで人間やゴミ共を守ることに固執するとはあんたの方が頭がイカれてるぜ!」
モデルHを侮辱する言葉に、エールがフリザードが投擲したブーメランをかわして、セイバーで尻尾を斬り落としながら叫んだ。
「モデルHを馬鹿にしないで!モデルHはアタシ達の大事な仲間なんだから!!」
「エール…フッ……フリザード、お前の言う通りだ。今でも人間は弱く、そしてレプリロイドの力は俺達のオリジナル達とは比べ物にならないくらいに劣っている。だが、今の人間とレプリロイドには昔の人間とレプリロイドにはない強さがある。それに気付けんようではお前に未来はない!俺の力は弱き者のため!俺の信じる正義のために!!」
「行くよモデルH!オーバードライブ!!」
オーラを纏ってセイバーに電気属性を付加させると、エアダッシュで距離を詰めてセイバーによる連続攻撃を浴びせる。
「ぐおおおおっ!?この、小娘ぇ!!」
再生した尻尾から広範囲に渡って炎が吹き出すが、モデルHXの機動力の前には掠りもしない。
「これで終わりだ、エール…過去の亡霊を断ち斬れ!!」
「これで終わりよ!」
オーバードライブ状態でのセイバーによる三連撃とソニックブームをまともに受けたフリザードは信じられないという表情を浮かべていた。
「そ、んな…馬鹿な…!俺が…俺が人間如きに…!?」
「人間だからって馬鹿にしないでよね」
「くそおおおおっ!!」
敗北を認められないまま、フリザードは爆散すると、セルパンが持っている物よりも一回り小さいモデルVが飛び出たが、次の瞬間には罅割れを起こして粉々となった。
「モデルV?」
「ふむ、やはりモデルVの力で復活していたようだな。イレギュラーに寄生し、モデルVに刻まれたデータを受け継いでいるようだ…エール、気を付けろ…モデルVのオリジナルは他にもレプリロイドを改造し、洗脳していた…これだけとは到底思えん」
粉々になったモデルVを見つめるエールに、モデルHが推測を口にしながら注意を促す。
「セルパンの他にも大昔のレプリロイドとも戦わないといけないんだね」
やることが山積みであることを実感したエールは思わず溜め息を吐いたが、ヴァンのことを思い出して向こうを見ると、まだ戦いは続いていた。
モデルOは攻撃力は高いが、機動力はモデルHXほどではないため、フィストレオの猛攻を凌ぐので手一杯のようだ。
「助けないと…!」
「待つんだエール」
加勢しようとするが、モデルXに止められてしまう。
「何で止めるの!?」
「今、ヴァンは戦いの中で成長しようとしている。」
本来の適合ライブメタルであるモデルXは気付いているのだ。
ヴァンが新たな力に目覚める寸前であることに。
「これから先、あのフォルスロイドよりも強い敵と戦うことがあるかもしれん。奴を一人で倒せるくらいにはならないと生き残れないだろう」
モデルZの言葉にエールは思わず黙ってしまう。
これから先の戦いはより激しくなっていくのは間違いない。
ならば少しでも強くなるための機会は逃すわけにはいかない。
ヴァンやエールのためにもだ。
「(速く…もっと速く!!)」
フィストレオの猛攻を凌ぎながら、少しずつ少しずつ反応速度が上がっていくヴァン。
そしてその変化を感じ取ったフィストレオは笑みを浮かべる。
「(儂の攻撃を凌ぎながら坊主は確実に成長している。セルパンに従ったのは間違ってはいなかった!)」
強さを求めて己を鍛え続けてきたフィストレオ。
ライブメタルの力を得てからはますますその強さは洗練され、自分とまともに戦える者など限られていた。
だから今この瞬間にも成長し、自分を追い越そうとしている強敵に歓喜を覚えた。
「光芒一閃!!」
「っ!!」
腕から何度も衝撃波を放つフィストレオ。
ヴァンはそれを何とかかわして、最後の一撃はジャンプでかわしたが、フィストレオはそれを狙っていた。
「甘いな坊主!空中では避けられまい!これで終わらせてもらう!!霊央拳奥義!阿鼻叫喚!!」
フィストレオが全身に炎を纏って突進してくる。
しかも複数の火炎弾を伴ってだ。
空中での移動の術を持たないヴァンでは直撃を受けるが、フィストレオはヴァンの成長速度を見誤っていた。
フットパーツのダッシュバーニアの推進力を使って空中でジャンプして、フィストレオの突進をかわしたのだ。
「空中で跳躍しただと!?」
「動かなきゃ負けるってんなら…空中で動くまでだ!これで終わりだフィストレオ!」
チャージセイバーでは間に合わないために、Ωの文字が刻まれた掌を突き出してフィストレオの胸を貫いた。
「ぐあ…!?この儂がこんな坊主に…これが破壊神の器とやらの力か…!フ、フフフフ…だが、悪くは、ない…な…フハハハハッ!!」
満足そうに大笑しながらフィストレオは爆散し、フィストレオの残骸から炎属性のライブメタル・モデルFが姿を現した。
「あれがモデルFか?」
「そうだよ、頼りになるライブメタルだよ」
ヴァンの問いにモデルXが答えると、モデルFは他のライブメタルとは違って気さくな態度で話しかけてきた。
「へへっ!ありがとよ!助かったぜ!俺様は炎のライブメタル・モデルF!さあ、次行こうぜ!今度は誰をぶっ飛ばしに行くんだ?」
「モデルF…」
「変わらんな…」
モデルFの態度にモデルHが不機嫌な声を出し、モデルZはどこか呆れたような雰囲気を出していた。
「ま、待ってよ。アタシ達はまだ何も言ってないでしょ?」
モデルXやモデルZ、そしてモデルHとは全く違う態度のモデルFに困惑するエール。
「セルパンって奴がモデルVで何かやらかそうとしてるってんだろ?だが、そんな難しい話は俺の知ったことじゃねえ。俺様の力を勝手に使って、変なことやらかそうとしてるのが気に食わねえのさ。連中とやり合うんなら力は貸してやるぜ、文句はねえだろ?」
「う、うん…」
「今までのライブメタルとは全然違うな…」
戸惑う二人だが、モデルFはあることを思い出したので二人に伝える。
「それと…俺のパスコードが必要ってんなら、わりぃが今すぐには渡せねえ。セルパンは俺本体と大半のデータを二つに分けて、別のフォルスロイドに入れやがった。そいつをぶっ倒してくれりゃあ、パスコードをお前らに教えてやるよ」
そう言ってエールの手に収まるモデルF。
「ねえヴァン…アタシさ、ライブメタルって威厳がありそうな感じなのばかりだって思ってた」
「俺もだよ」
「モデルFはまだマシな方だ。氷のライブメタルはある意味ではモデルF以上に問題な奴だからな…」
「「?」」
疲れたように言うモデルHに氷のライブメタルはどのような人格の持ち主なのだろうかと、疑問符を浮かべる二人であった。
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