ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第八話 エレメントチップ
前書き
ゼロ1~3で大活躍したアイテムです…何で4でリストラされたんだろうか…あっても良くない?
オメガの技の数々が無属性なのはオメガにエレメントチップがないからなんだろうけど…
ヴァンがガーディアンに加わって、ジルウェが抜けた穴を埋めることが出来たことにより、ガーディアンベースは以前よりも活気付いていた。
エールとジルウェが運び屋の仕事のために外出する際はモデルXをヴァンの傍にいてもらっているために久しぶりにヴァンは比較的穏やかに休むことが出来た。
「ああ、ありがとう。倉庫の整理を手伝ってもらって…やっぱりロックマンのパワーは凄いんだな」
暇潰しに倉庫の整理を手伝っていたのだが、モデルOのパワーがかなり役に立っていた。
重たい荷物も片手で軽々と持ち上げているヴァンの姿にガーディアンの兵士も感嘆している。
「ああ、こいつの力は正直…怖いくらいに凄い…でも俺はモデルOの力を全て出し切っているとは思えないんだ…」
フルーブに体を検査をしてもらった時、モデルOの持っている力はまだまだこんなものではないらしい。
戦っているうちに眠っている力が目覚めていくのではないかと言われたが、最初はアルティメットセイバーはまともに振れないわ、バスターショットを扱うのも苦労してチャージバスターすら撃てなかったことを考えると妙に納得した。
「もっと強くならないといけない…俺は…」
「……協力してもらっているのに何だけど、君は少し気負い過ぎてる。ここにはエールやみんながいるんだ…君一人で背負い込む必要はない」
「ああ、分かってるよ。」
倉庫を出て、自分に与えられた部屋に向かう途中でプレリーに出会った。
「あ、ヴァン…丁度良いところに…」
「どうした?近くでイレギュラーでも出たか?」
自分に用があると言うことはイレギュラーが近くに現れたのだろうかと思ったが、プレリーの様子からしてそうではないらしい。
「そうじゃないの…あなたに渡す物があるの」
プレリーがヴァンに差し出したのは雷のマークが刻まれたチップである。
「これは?」
「これはエレメントチップと言って、昔の戦闘用レプリロイドが武器やボディに属性を付加させるために使っていた物なの…この先、セルパンのフォルスロイドと戦うには、このままでは大変だと思って…フルーブに頼んでモデルO…ライブメタル用に壊れていたチップを修理して調整してもらったのよ。他にもあるんだけど、今はこれ…サンダーチップしか出来てないの」
「良いのか?これ、凄く貴重なんじゃないのか?」
「…そのチップは私の恩人だった人が使っていた物なんだけど、私達では使えないし、このまま壊れたまま保管されているよりもあなたが使ってくれた方が良いと思うの」
今のガーディアンでも完全には解明出来ていないライブメタルのためにこういう強化アイテムを用意するのは調整だけでも中々大変だったはずだ。
そしてプレリーが“恩人”と言った時に寂しそうな表情をしていたので、きっとその人物はもういないのだろう。
「分かった、大事に使う。こいつで必ずセルパンを倒してみせるからな」
自分にプレリーの恩人の形見とも言える品を渡してくれたのだから、プレリーの期待に応えようとヴァンは意気込む。
「プレリーお姉ちゃ……あ…」
向こうから聞こえた子供特有の高い声に二人が振り返る。
「あら?サルディーヌ、どうしたの?」
「子供?まさか、あの子もガーディアンなのか?」
「ええ、非戦闘員だけど…」
プレリーとヴァンの視線がサルディーヌと呼ばれた男の子に向けられた時、ヴァンの視線から逃げるように物陰に隠れた。
「サルディーヌ…どうして隠れるの?」
隠れているサルディーヌに歩み寄り、プレリーがどうして隠れるのか尋ねる。
「だって、怖いお兄ちゃんがいるんだもん…」
モデルOの異質さはこの場にいる誰もが感じているが、まだ幼い上に実戦経験もないサルディーヌはそれを強く感じ取ってしまっているのだ。
「ああ…大丈夫よサルディーヌ。彼はヴァン、エールの幼なじみでとても優しい人なのよ。特殊なライブメタルを使っているから少し怖いと思うのかもしれないけど、私達に協力してくれてるの…彼は必ず私達を助けてくれるわ」
「うう…」
それでも恐怖は消せないのかヴァンにどうすれば良いのか悩んでいるようだ。
「おい、プレリーに何か用があったんじゃないのか?」
サルディーヌはプレリーを呼んでいたので、プレリーに用事があったんじゃないかと尋ねると、思い出したようにプレリーの方を向いた。
「プレリーお姉ちゃん、実は僕のオモチャがなくなっちゃって…」
「そうなの…でも…」
この後、自分も用事があってサルディーヌの探し物に付き合うことが出来ない。
「プレリー、俺がサルディーヌの探し物に付き合うから…プレリーは自分の仕事をしてこいよ」
「ヴァン…良いの?」
「良いさ、エール達が帰るか、イレギュラーが現れるまでやることもないしな」
「それじゃあ、お願い出来る?サルディーヌ、ヴァンが手伝ってくれるそうだから迷惑をかけちゃ駄目よ?」
「う、うん…」
「ほら、行くぞ」
オモチャを探しに行くヴァンとサルディーヌの姿を見て、プレリーの脳裏に昔の自分とあの人との思い出が甦る。
「(懐かしいな…私も今のサルディーヌの時みたいな頃…お姉ちゃんから貰ったぬいぐるみをなくしちゃって、あの人に一緒に探してもらったっけ………お願い、ヴァンを助けてね)」
懐かしい思い出を振り返りながらも、プレリーはもういない彼に願った。
「サルディーヌ、お前が最後にオモチャを持って遊んだ場所はどの倉庫なんだ?」
「え?」
「通路で落としたならメンバーの誰かが拾って持ってきてくれるだろうし、だからお前が遊んだ場所に落ちてるはずだ。そしてこのガーディアンベースで広くて遊べそうなのは倉庫くらいだしな…」
流石にガーディアンベースの動力部に幼いサルディーヌを入れはしないだろうし。
「あ、そっか…えっと…この倉庫」
サルディーヌに案内された倉庫は放置されているからなのか、かなり汚れている。
「これは随分と散らかってるな…片付けながら探すしかないな」
溜め息を吐きながら、サルディーヌのオモチャを探す。
しばらくして埃を被りながらもサルディーヌのオモチャを発見し、サルディーヌに渡した。
「あったぞ…埃まみれだけどな」
「あ、ありがとう!これ、シリュールおじさんに作ってもらったんだ」
「そっか…ここも片付けた方がいいな…暇潰しにやるか。サルディーヌ、プレリーにここの倉庫の片付けをするって一応伝えてくれないか?」
「分かった!ありがとう、ヴァン!」
満面の笑顔を浮かべながら倉庫を出ていくサルディーヌにヴァンも思わず微笑った。
「プレリーお姉ちゃん!」
「あら、サルディーヌ…って、どうしたの埃まみれになって?」
司令室のブリッジに駆け込んできたサルディーヌの姿にプレリーが驚く。
「えへへ、ヴァンがオモチャをなくした廃材置き場の倉庫の片付けをしながら探してくれたんだ。僕も手伝ったんだ」
「ああ、あの倉庫ね…」
使えなくなった機材を置いておいた場所だが、ガーディアンベースの中でも最も重要度が低い場所なのもあって整理の手が入っていなかった場所だ。
「そこにあったと言うことはサルディーヌ、あなたはそこで遊んでいたのね?駄目じゃない、危ないから遊んでは駄目だって言ったでしょ?」
「う…ごめんなさい」
プレリーに叱られてシュンとなるものの、用件を思い出したサルディーヌがヴァンからの伝言を伝える。
「あの倉庫、ヴァンが片付けてくれるんだって」
「え?そうなの?」
「うん、お姉ちゃんに伝えてくれって」
「そうなの…ありがとうサルディーヌ。ヴァンにも後でお礼を言いに行くからね」
「分かった。僕もヴァンを手伝ってくる!」
勢い良くブリッジを出ていくサルディーヌに、プレリーとオペレーター達のクスクスと言う笑い声が漏れた。
「そう言えばあの子、さっきヴァンのことを名前で…もう仲良くなったのかしら?」
そう言えばあの人も何故かあの時の自分も含めて子供に懐かれることがあった。
「良いお兄さんになりそうですねプレリー様」
オペレーターの一人が微笑みながら言うと同意するようにプレリーも頷いて微笑んだ。
後書き
サルディーヌの名前はプレリーが付けたらしいんで、本来ならロクゼロのアルエットポジションになるはずだったんじゃないかな?
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