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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第三話 ガーディアンベース

 
前書き
かくれんぼミッションは飛ばします 

 
無事にジルウェを見つけ出し、ジルウェが隠していた様々な事情を知ったことで少々困惑しながらもガーディアンベースに向かうためのテストを難なくクリアした。

そしてトランスサーバーのある場所に向かい、装置を起動させてガーディアンベースへと転送した。

「…ここが…ガーディアンベース…?ビックリしたぁ…まさかガーディアンベースが空飛ぶ船だったなんて」

窓から見えた光景と僅かな揺れに、自分が飛行艇にいることが分かったのだ。

「ガーディアンは世界各地の調査をしているから、移動出来る方が便利なのよ。とにかく、お二人共ご無事で何よりでした」

プレリーがガーディアンの拠点が飛行艇であることの理由を説明するとエールは納得したように頷き、そして思い出したようにある物を渡す。

「そうだ、プレリー。拾ったコンピュータチップを渡しておくね。それと…テスト合格の証明って……これで良いの?」

イレギュラーの残骸から発見した複数のコンピューターチップと、テストの終わりに合格証明として渡された可愛らしいぬいぐるみをプレリーに渡す。

「うん…これもお姉ちゃんから貰った大切な物なの。持ってきてくれてありがとう」

エールからぬいぐるみを受け取ると、プレリーはぬいぐるみを何時もの位置にくっつける。

「おい、エール!いくら何でも呼び捨ては不味いだろ!いいか?この方はなぁ…」

一応依頼主への礼儀は知っているはずのエールがプレリーに対してタメ口を利いていることにイレギュラーのメモリを回収して先にガーディアンベースに来ていたジルウェが慌ててプレリーのことを教えようとするが…。

「良いんです、ジルウェさん。とにかく、お二人を危険な目に遭わせてしまいすみませんでした。今から全てをご説明いたします。この部屋を出て、左にあるブリッジまで来て下さい」

「はあ…」

「………?」

何が何だか分からないエールは不思議そうにジルウェとプレリーを見るしかなかった。

取り敢えず出るように促されたので、言われた通りにブリッジに向かい、その中に入る。

「改めてようこそ、私達の本拠地…ガーディアンベースへ。そして…私がガーディアンの司令官…プレリーです」

プレリーの正体を聞いたエールは一瞬言葉の意味を理解出来なかったが、次の瞬間には瞠目した。

「…え?ええっ!?プレリーが司令官!?そ、それじゃあ…」

「今回の仕事の依頼主様、だ…だから呼び捨ては止めろって…お前、ヴァンのことを言えないぞ…」

「でも…プレリーだってアタシと同じくらいの女の子だよ?何で司令官なんかに…?」

「人々を襲う謎の機械生命体…イレギュラー、それらは本来なら存在しないはずのものです。数百年前の戦争が終わった時、人と機械は争いあうことを止めたのですから……そこでガーディアンはイレギュラー発生の原因を調べ続けてきました。そして…調査の途中、私達はある科学者の研究所を見つけたのです」

「ある科学者…?」

エールが不思議そうに首を傾げるが、続きを話そうとしたプレリーの表情が曇る。

「…調査中に行方不明になった…初代の司令官………私の…お姉ちゃんです…」

「…そ…そうだったんだ…」

初代司令官が行方不明になったからプレリーが後を継いだということなのだろう。

「で、その研究所で見つかったライブメタルを俺達が運んだってわけだ。」

そしてあの時にイレギュラーの襲撃を受けて現在に至るということだ。

「遥か昔…人間と機械のために戦い、世界を救った伝説の英雄達…その魂を宿す、意思を持った金属…それがライブメタルなのです。そこに記録されているデータから、イレギュラー発生の原因が分かるかもしれません。トランスサーバーの部屋の隣にフルーブのラボがありますので…彼にライブメタルのデータを渡してあげて下さい、私はここで、エールさんとジルウェさんが拾ってきたチップとメモリの解析をしています」

ジルウェが先に出て、エールが慌てて追い掛ける。

二人がブリッジを出たのを確認すると、解析を始めた。

最初は謎の人物によって破壊されたイレギュラーのメモリからだ。

「(それにしてもジルウェさんがモデルZに選ばれたようにエールもモデルXに選ばれるなんて…運命的な物を感じるわね…)」

モデルZとモデルXのことを多少知っている者からすれば何らかの縁を感じずにはいられない。

メモリの解析は難しいものではなく、ただ破壊される直前の映像を映すだけなので大した手間ではなかったが…内容がプレリーを驚愕させるものであった。

司令官としてある程度の胆力は身につけているつもりだったが、この内容はそれを容易く上回る。

破壊される寸前で映っていたのは紅だった。

炎に照らされる紅いアーマー、たなびく黄金の髪、そして見覚えのある二つの装備。

「嘘…そんな…」

信じられないと言う表情を浮かべるプレリー。

彼女の遠い遠い記憶を刺激する姿に一瞬、歓喜の色が宿るものの、モニターに映った顔を見て悲しみへと変わる。

「あの人じゃなかった…」

あの人がいなくなってからもう、長い時が過ぎたのだ。

最早生存は絶望的でプレリー自身ですら諦めたはずなのに、一瞬だけ沸き上がった希望に、自分はまだ心の中で諦めていなかったことが分かって苦笑した。

しかし、ならばモニターに映る彼は何者なのか。

「未知のエネルギー反応の正体は彼で間違いなさそうね…エールとジルウェさんを助けて、イレギュラーのみを狙う…」

モニターに映る彼は自分達の敵か味方なのか…現状では判断がつかなかった。

そしてフルーブのラボにエールが入ると、既にジルウェがモデルZを渡しており、データのコピーを終えたところだった。

「やあ、お待ちしていましたよ。早速ですが、ライブメタルを貸してもらえますか?」

エールはモデルXをフルーブに渡すと、フルーブはモデルZ同様にデータをコピーする。

「…………………………これでよしと、ありがとうございました。データはコピーしたので、これはお返していたします」

コピーを終えて返してもらったモデルXを受け取ると次の瞬間、ベース内で警報が鳴った。

『エリアDにイレギュラー反応出現!戦闘要員は地上への転送後、ベースからの指示を待て!繰り返す!エリアDにイレギュラー反応出現!戦闘要員は地上への転送後、ベースからの指示を待て!』

「エリアDと言えば…セルパン・カンパニー本社の近くじゃないか…!」

「お二人共、今、街に戻るのは危険です。とにかく司令室へ行きましょう」

動揺する二人にまずブリッジに向かうように促すと、エールとジルウェはブリッジに向かった。

ブリッジに入ると、プレリーが迎え入れた。

「どうやら…“敵”が本格的に動き出したみたいですね」

「敵…?ただのイレギュラーじゃないってことか?」

プレリーの言葉にジルウェが反応すると、彼女も頷いた。

「エールさんが拾ったチップからイレギュラーを操るためのプログラムを発見しました。恐らく何者かがイレギュラーを操り、襲撃に見せかけて…あなた方が運んでいたライブメタルを 奪おうとしているのでしょう。」

「警備隊は…セルパン・カンパニーの警備隊は何をしてるのさ!?」

イレギュラーから市民を守るべき警備隊は何をしているのかとエールが尋ねるが、プレリーから返ってきた言葉はあまり良いものではなかった。

「街でパトロールしている警備隊が戻るには時間がかかります。今、ガーディアンの地上部隊がエリアDへ向かっていますが…」

エリアDに向かった地上部隊のメンバーから通信が来た。

『こちら地上部隊!イレギュラーが居住区に向かってきています!現在、エリアDハイウェイ上で交戦中!』

「…このままじゃ…街の人達が…!」

通信を聞いたエールはブリッジを飛び出そうとし、それを見たフルーブが慌てる。

「エールさん!?一体どこへ!?」

「ライブメタルがあれば…アタシだってあいつらと戦えるんだ…!」

「落ち着け、エール!ライブメタルを持っていったら真っ先に狙われるぞ!お前はまだ戦いの経験が浅いんだ!危険すぎる!」

「それじゃジルウェはこのまま何もせず見てろっていうの!?このままじゃ街の人達がまたイレギュラーに襲われちゃうんだよ!?アタシやヴァンが母さん達を失ったみたいに…沢山の人が傷付くんだよ!?そんなの見てられない!イレギュラーなんか…全部倒してやるんだから!アタシはもう…何も出来ないで後悔したくないの!」

そう言ってブリッジを飛び出し、トランスサーバーのある部屋に向かうエール。

「エール!」

「…後悔したくない…か…」

「ジルウェさん、彼女は…」

「…あいつには同い年で同じ境遇の幼なじみがいたんです。以前司令官に報告した一年前のイレギュラー襲撃でそいつが行方不明になってから、以前よりも喪うことを恐れてるんですよ……俺も行きます。あの時、俺はヴァンを守れなかった。今度こそ守り通すつもりです」

そう言うとジルウェもまたブリッジを飛び出した。

ジルウェはトランスサーバーを使い、エールがいるエリアDへ向かい、モデルZで変身して追い掛けた。

「おい!エール!」

走っているエールの背中を見つけ、声をかけるとエールは足を止めた。

「ジルウェ…アタシは………!」

「………何もしないで後悔するくらいならしてから後悔した方がマシ…」

「え?」

「覚えてるかエール?ヴァンがお前と一緒に俺に引き取られてからあいつが何か無茶する度に言っていた言葉だ」

「うん、覚えてる…」

その度にヴァンは怪我をしたり、危ない目に遭っていたりして、ジルウェを含めた運び屋の年長組に叱られていた。

「…止めても無駄だってのは分かってるよ。お前一人にだけ格好つけさせたりなんかしないさ…ライブメタルが使えようと使えまいと、お前は俺の大切な仲間だ…お前は俺が守る…行くぞ!エール!」

「……うん!」

エールとジルウェがハイウェイを駆け出した。

これが運命の戦いの始まりとなることを知らずに。

そしてガーディアンベースのブリッジでも動きがあった。

「エリアDにエネルギー反応!あの反応です!」

「モニターに映して!」

プレリーの指示により、エネルギー反応のある場所がモニターに映し出される。

そこにはエリアDのハイウェイを高速で駆け抜ける紅の少年がいた。

敵か味方なのか…ブリッジにいる全員が不安そうにモニターに映る少年を見つめるのであった。 
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