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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第四話 運命

 
前書き
イレハンのVAVA編のオープニングステージの要素も含んどります 

 
エリアDのハイウェイでエールは息を切らしながら自分に襲い掛かるイレギュラーを返り討ちにしていた。

戦い慣れていない自分と、被害に遭っている人々のためにジルウェには先行してもらっていた。

ジルウェはガーディアンのメンバーだからか、エールよりも戦い慣れており、多くのイレギュラーを倒していたのでエールに襲い掛かるイレギュラーの数はそれほどでもない。

しかし逆に言えば殆どの負担はジルウェが負っていることになる。

「エール、飛ばし過ぎだよ。君はまだ僕の力に慣れていないんだ」

「大丈夫…少しでもジルウェに追いつかなきゃ…!」

遅れれば遅れる程にジルウェの負担は増していく。

エリアDのセルパン・カンパニー付近に行くためのシャッターの前に負傷したガーディアンの地上部隊の一人がいた。

「大丈夫!?」

駆け寄ると負傷した彼はエールを見ると目を見開いた。

「君は運び屋の…!?君も来ていたのか…!私を逃がすために…ジルウェが…一人でこの先へ行ってしまった…助けに行ってやってくれ…!」

「ジルウェが…分かった。ありがとう!」

どうやらジルウェは随分奥へと行ってしまったようだ。

早く追い付かなくてはと、エールは自分を鼓舞しながらシャッターを潜って奥へと向かった。

足場は所々崩れており、不安定な場所が多い。

「エール、崩れそうな場所はダッシュかダッシュジャンプで移動するんだ。いくら変身した状態でもこの高度から落ちたら一貫の終わりだからね」

「あまり怖そうなこと言わないでよ…」

モデルXの指示通りに進んでいくと、途中で大型の蝿型のメカニロイドが立ち塞がる。

「どけぇーっ!」

チャージを終えたXバスターを構えると、ダブルチャージバスターからのショットの連射でメカニロイドを破壊する。

機能停止したメカニロイドは地面に落下し、そのまま道路ごと落下する。

「きゃあああぁぁっ!」

「大丈夫だよエール」

モデルXの言う通り、崩壊した道は多少の罅は入ったものの、道路を支える柱に挟まる形で止まる。

「び、びっくりした…」

「これなら壁蹴りで上に登れるね。エール、急ごう」

「う、うん…」

一度落ち着くために深呼吸をした後、壁蹴りで上に登って再び奥へと向かう。

するともう一体の大型メカニロイドが出現する。

再びダブルチャージバスターとショットの連射で迎撃してメカニロイドを破壊すると、急いで奥へと向かった。

前のように柱に挟まってくれる保証などないからだ。

「モデルZの気配がする…でも他にも反応がある…かなり離れた場所に一つ…他はモデルZの近くだ…」

「それってどういうこと?」

「分からない……でも嫌な予感がする。急ごうエール」

モデルXの言葉に不安を感じて走るペースを上げ、セルパン・カンパニーの本社前に傷だらけになって倒れているジルウェと、見覚えのある男と二人の男女。

「……ジルウェッ!?」

「来たか…モデルX、青のロックマン…その力、試させてもらおうか」

男が何かを持った手を倒れているジルウェに翳す。

「ぐ…ううっ……来る…な、これ…は…罠…ぐっ…!うああああああああっ!」

男が持っている何かから妖しい光が放たれ、ジルウェの体を呑み込み、光に呑み込まれたジルウェは苦しそうに絶叫した。

そして光が消えた直後にジルウェはゆっくりとした動作で立ち上がる。

「ジルウェ!一体どうしたの!?」

「……エール…!オレヲ…オレヲ、ウテ…!」

ジルウェは落ちていたZセイバーの柄を掴むと、光刃を発現させる。

そして目が赤く光った瞬間、セイバーを構えてジャンプ斬りを仕掛けてきた。

「エール!」

モデルXがエールの体を動かし、ジルウェの攻撃をギリギリで回避させる。

「ジ、ジルウェ…?」

いきなり攻撃してきたジルウェにエールは動揺する。

「ダアッ!!」

しかしそんなエールに構うことなくダッシュからの突きを繰り出してくるジルウェ。

ダッシュジャンプで何とか回避するエール。

「エール、ジルウェは操られているんだ!モデルZ!聞こえるかい!?モデルZ!ジルウェの変身を解くんだ!」

モデルXがモデルZに語りかける。

変身が解ければ今のエールなら暴れようとジルウェを押さえることが出来るのだが、肝心のモデルZからの反応がない。

「モデルZ!?まさか、意識を封じられている…これではジルウェを倒すしかない…」

「そんな!?ジルウェを…ジルウェを倒すの!?」

「変身が解除されるくらいのダメージを与えれば、彼を死なせずに済む…」

「…ジルウェ……」

「ヌウッ!!」

チャージを終えたセイバーによる一撃、チャージセイバーが繰り出される。

衝撃波とそれによる地面の破片がエールに襲い掛かる。

「っ!やっぱり駄目!ジルウェを攻撃なんて出来ない!」

「エール!?」

「ジルウェ、お願い止めて!!」

エールが必死にジルウェに呼び掛けるが、操られているジルウェにエールの叫びは届かず、縦横無尽に飛び回りながらセイバーによる突きを繰り出し、エールはそれを何とか回避する。

ここに来るまでの戦闘で経験も積んだものの、それでもライブメタルに触れるまでは一般人であったエールとガーディアンのメンバーであるジルウェでは簡単には埋められない程の経験の差があるのは言うまでもないが、今のジルウェは操られており、動きが大振りになっているので隙が多くなっているので経験が浅いエールでも回避出来た。

その隙を突けばエールがジルウェを倒せる可能性は充分にあるが、もしダメージを与えすぎればジルウェを殺してしまう。

ただでさえ敵にボロボロにされていたのだから、これ以上のダメージは変身状態でも耐えられるのか分からないからこそエールはバスターを撃てなかった。

「ジルウェ…!」

「グ…ウオオオオオオッ!!」

ジルウェがセイバーを地面に突き刺すと、複数の光の柱が飛び出した。

「きゃあああ!?」

回避出来ずに直撃を受けたエールは地面に叩き付けられるが、何とか耐えることが出来たが、このまま反撃もしなければやられてしまう。

痛みと恐怖に震えるバスターを構えて必死にジルウェに呼び掛ける。

「止めてよ…!ジルウェ!目を覚まして!」

「グ…オオオオッ…!」

次の瞬間、上空から雷撃が降り注ぎ、雷撃の直撃を受けて倒れるジルウェ。

「……ジ…ジルウェ…ッ!」

「…モデルX、青のロックマン……モデルZ、赤のロックマン…この程度とは残念だ。どうやらガーディアンが見つけたライブメタルはただのゴミ屑だったようだな。

「だ…誰!」

声に反応したエールは咄嗟にバスターを向けると、先程の男達が姿を現した。

「…私の名はセルパン、全てを支配するライブメタル・モデルVのロックマンだ…!」

それを聞いたエールは驚愕で目を見開いた。

「セルパン…!?お前がセルパン・カンパニーの社長…!?」

「そうだ…覚えておきたまえ…モデルX…青のロックマン!」

「まさか…イレギュラーやジルウェを操ったのも、全部お前の仕業なの!?」

震えるバスターを構えながらチャージする。

それを見た少女は小さく呟いた。

「腕…震えてる…怒り…?それとも…恐れ…?」

「…フンッ、これならさっきの赤のロックマンの方がまだマシだったな」

「…よくも…ジルウェをっ!」

チャージバスターが撃てるくらいにまでエネルギーがチャージされたバスターを発射しようとするエールに対して、セルパンは少年の方を見遣る。

「…プロメテ」

「青のロックマン…お前のそれは勇気じゃない……ただの無謀だ」

「うるさいっ!」

「ふんっ!」

プロメテと呼ばれた少年の言葉にエールは叫びながらチャージバスターを放った。

しかし放った一撃は、容易く跳ね返されてエールに直撃する。

「くっ…!」

「ライブメタルの変身機能…R.O.C.K.システムで変身出来る選ばれし者、君のような者達を私はロックマンと呼んでいる。ライブメタルに選ばれた、我らロックマンこそ新たな世界の王となる者。だが…その程度の力ならば王となる資格はない」

セルパンはモデルVを掲げると、雷撃をエールに落とす。

「う…あ…!」

ジルウェから受けたダメージと先程の跳ね返されたチャージバスターのダメージもあって変身が解除され、力なく倒れる。

「パンドラ、パスコードのデータだけは吸い出しておけ」

「…分かった…」

パンドラの頭部パーツが射出され、モデルXとモデルZのデータを吸い出していく。

「拍子抜けだな、後始末はどうする?」

「イレギュラー共に彼らを始末させたら、後はいつもと同じだ。街を襲うイレギュラーと、街を守って戦う我が社の警備隊…人々にはいつもの風景にしか見えんさ。この国にはもう少し平和な日常を演じていてもらおう。いずれは我がライブメタル…モデルVの生け贄となってもらうがね…」

「な…何ですって…!?」

セルパンの言葉に目を見開くエールだが、パンドラのパーツが離れていく。

「…パスコードのデータ……吸い出し…終わったわ……」

「フッフッフッ…これで全てのパスコードは揃った…行くぞ。プロジェクト・ヘヴンを次の段階に移す…む?」

倒れているエールとジルウェの上を通るように巨大な光弾がセルパンに迫る。

「せやあっ!!」

プロメテが間に入り、先程よりも勢い良く振るった鎌で両断した。

「……くそ、防がれたか…」

エールとジルウェを守るように立ち塞がったのは、以前エールをイレギュラーから助けた真紅のアーマーと腰まで伸びている金髪が特徴の少年であった。

「何者だ?」

今まで余裕の表情を浮かべていたセルパンに初めて警戒の色が浮かんだ。

「…プロメテ…ライブメタルの反応…でも、あの女の作ったライブメタルとも…モデルVとも…違う…」

「俺達も知らない…未知のロックマン…見た目は赤のロックマンに近いが…お前、何者だ?」

「……ライブメタルで変身出来る奴をロックマンって言うんだったな?俺は…ライブメタル・モデルOのロックマンだ…」

少年の言葉にセルパンは自身のライブメタルに関する記憶を思い起こした。

「モデルO…私が知る限りではライブメタルにそのような物はない……恐らくそれは偶発的に出来た代物と言ったところか…つまり君はこのゲームの想定外のロックマンと言うことだな」

「そんなことはどうでもいい、さっきの話は本当なんだな?お前が…イレギュラーを操って、この街の人達を襲わせていたんだな…?」

「その通りだ、私の計画に必要な犠牲になってもらった」

「貴様…!」

少年の表情が怒りと憎しみに染まり、殺気が溢れ出す。

「ほう…」

「…………」

今までつまらなそうな表情を浮かべていた二人が初めて関心を向けた。

少年の殺気は戦い始めの者やそこらの者が簡単に出せるような物ではなかったからだ。

「なるほど、青のロックマンと赤のロックマンよりは楽しませてくれそうだな…そいつらのようにあっさりとやられないでくれよ?」

「プロメテ…ずるい…私もやる」

鎌を構えてプロメテも臨戦体勢を取り、パンドラも杖を構えて頭部パーツを再び射出した。

「やってみろよイレギュラー…」

少年もホルスターからセイバーを抜くといつでも斬り掛かれるように構えた。

「……き、君…」

「っ…………」

エールの声に反応した少年は振り返らなかったが、殺気がいくらか和らいだ。

「………本当ならここで倒してやりたいけど…今は退かせてもらう」

苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるが、少年はエールとジルウェの救出を優先する。

「逃げられると思っているのか?」

「逃げられないとでも?」

セイバーを構えて突撃し、プロメテに斬り掛かる。

プロメテはそれを鎌で受け止めるとセイバーを弾き、少年に斬り掛かるが、少年はチャージしていた拳を地面に叩き付け、その衝撃と閃光でプロメテを弾き飛ばしつつ、セルパン達の目眩ましをする。

少年はエールとジルウェを肩に担ぎ、転がっているモデルXを掴むとこの場を離脱した。

「……いない…」

「チッ、逃げられたか…」

「ふむ、私のモデルVともあの女のライブメタルとも違う謎のライブメタルのロックマンか…だが所詮、私のモデルVの力には及ばん…我々も戻るぞ」

セルパンが消えて、ここに残ったのはプロメテとパンドラ。

「モデルO…そんなライブメタルは存在しない…あの二人以外にライブメタルを作るのは不可能だ。あの男が“アレ”以外のライブメタルを作るとは考えられん…」

「あの男にとっても…想定外のライブメタル…そしてロックマン…」

「ふふふ、面白くなってきたじゃないか……あいつの名前を聞いておくんだったな。まあいい、あいつもこのゲームに参加する以上…俺達は必ず戦う運命にある。」

「ええ…」

意味深な言葉を残しながらプロメテとパンドラもこの場から消えた。

そして少年は気絶している二人を担ぎながらハイウェイを駆け抜ける。

「君は…どうしてエール達を助けてくれたんだい?…知り合いなのかな?」

モデルXは少年に尋ねる。

少年は意識を失う前のエールの声に明らかに反応していたため、モデルXは彼がエール達を知っていることに気付いたのだ。

「……………」

少年はモデルXの問いに答えることなく、ハイウェイを駆けるとガーディアンの地上部隊を発見した。

「エールさんに…ジルウェさん!?」

ボロボロの二人を見て部隊長らしい人物が目を見開く。

二人の知り合いらしい彼を見て少年は安堵の息を吐いて傷に障らないようにゆっくりと地面に横たわらせる。

「知り合いなのか?知り合いなら…二人を頼む」

そのまま少年はダッシュによる高速移動でこの場を離れた。

「君!…いや、それよりも二人を…酷い怪我だ。早く簡易転送装置の用意を!急げ!!」

少年を呼び止めようとしたが、二人の怪我を見て、優先するべきなのは二人だと判断した部隊長は部下に簡易転送装置を用意させてガーディアンベースへと転送させた。 
 

 
後書き
今作では出ませんが、最初はチャージバスターすら撃てなかった初期モデルO 
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