ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第二話 謎の存在とモデルZ
前書き
ジルウェ唯一の見せ場が…でも仕方ないね
モデルXのダッシュ移動を駆使して、通常ならばかなり時間がかかって到着するであろう、エリアBに短時間で着いた。
エリアBへの扉を潜ると、そこには無数の残骸が転がっていた。
バスターのショットで撃ち抜かれた物や真っ二つにされた物だけでなく、殴打や握り潰された痕跡のある物まである。
「これは…戦いの…跡?…イレギュラーとは言え、ここまで酷いやられ方だと少し気分が…」
『エール?聞こえる?私達を襲ったイレギュラーのことだけど…ちょっと気になることがあるの、散らばっている残骸にイレギュラーの手掛かりが残っているかもしれないわ。残骸の傍に何か落ちてないか、調べてみて……それから…未知のエネルギー反応があるの…もしかしたらイレギュラーの可能性もあるから気を付けて』
「分かった…と言われても、こんなに滅茶苦茶だと手掛かりを探すのも一苦労だよ…」
溜め息を吐きながら、残骸を調べて先へ進む。
しばらく進むと、転がっている残骸からコンピューターチップを発見する。
「何これ…コンピューターチップ?」
『多分、イレギュラーに使われていた部品ね。ガーディアンベースで解析すれば何か分かるかも…他にもあるようなら集めてもらえるかしら?』
「分かった…本当なら追加料金にしてやりたいけど、ライブメタルを貸してもらってるからチャラね」
無数の残骸からコンピューターチップを見つけ出す作業に、エールはガーディアンから更に追加料金を毟り取りたい気持ちがあるものの、ジルウェのためにライブメタルを貸してもらっている立場のためにそれは出来なかった。
生き残ったイレギュラーがエールに襲い掛かるものの、森の時よりも数が少ないために対応は容易であった。
残骸のコンピューターチップを回収しながら奥に進むと、影がエールを覆う。
上を見上げると、エイ型の巨大輸送機。
操縦席にはイレギュラーが乗り込んでいた。
「あいつがジルウェを攻撃しているの!?なら、あいつを倒せば…行っけーっ!!」
フルチャージしていたXバスターを上空に構えて輸送機を墜とそうとするが、距離があるためにダブルチャージバスターが二発とも外れてしまう。
そして反撃と言わんばかりに下部ハッチが開き、トーテムポール型の砲台が落としてきた。
「エール、あれを破壊するんだ!」
「わ、分かった!」
モデルXの指示を受けてダブルチャージバスターを砲台に当てて破壊すると、無数の砲台の残骸が輸送機に直撃する。
「当たった!?」
「あれなら確実にダメージを与えられる!エール!あれを砲台のある場所まで誘導してダメージを与えるんだ!」
「うん!」
他に置かれている砲台の場所まで誘導し、バスターで破壊した残骸をぶつけるものの、放置された砲台はなく、後一撃で倒せるのだが、モデルXの力に慣れていない上に実戦慣れもしていないエールでは動き回る的を狙うのは厳しかったが…。
突如、紅がエールの真上を通り過ぎた。
「え?」
紅い何かは太股のホルスターから柄を抜くと紫色の刃が発現し、そのまま輸送機を叩き斬った。
両断された輸送機は半分がそれぞれ別方向に落下していき、爆散した。
「…………」
「この気配…エール、気を付けて…ただ者じゃない…エール?」
モデルXが目の前にいる存在の異質さに気付き、エールに警戒を促すが、エールは目の前の存在が放つ雰囲気に懐かしさを感じていた。
体つきからして男で、年齢はエールと同じくらいか…紅いアーマーの少年はセイバーをホルスターに戻し、ある方向を見遣るとモデルXと同じダッシュ移動でこの場を去った。
「あ、待って!」
手を伸ばしながら叫ぶが、少年は振り返ることなくいなくなってしまった。
「…行っちゃった……」
「知り合い、なのかい?」
「分からない…でも……」
モデルXの問いにエールは答えられなかったが、少年の放つ気配は異質さはあれど、イレギュラーのような恐ろしいものではなく、どこか優しさを感じさせた。
「あの感じ…どこかで…」
「どうやら、ライブメタルに触れたようだなエール」
「え?」
聞き慣れた声に振り返ると、先程の少年よりも明るい赤のアーマーを纏っている青年の姿。
「…あいつがモデルXに選ばれた奴か…」
「…そうさ、モデルZ。俺の大切な後輩だ」
変身を解除し、赤のライブメタルと共にエールに歩み寄るジルウェ。
「エール…モデルZが異質な気配を感じると言うから急いで来てみたら…どうやら、お前もライブメタルに認められたようだな」
「…ジルウェ!それにそのライブメタルは…!一体何がどうなってるの?」
色々なことが起きすぎて混乱しているエールにジルウェは優しく説明を始めた。
「こいつは俺の相棒…ライブメタル・モデルZさ…黙っていて悪かったな、実は俺もガーディアンのメンバーなんだ。ライブメタルで変身出来るのは俺達のようなライブメタルに認められた者だけ……その力を狙っている奴らから、お前と……そして…ヴァンを守るのが、俺の使命だったのさ…結局ヴァンは守れなかったけどな」
自嘲するようにジルウェが言うと、エールはジルウェの言葉に引っ掛かりを覚えた。
「アタシとヴァンが選ばれた者…?」
「騙すつもりはなかった…一年前のヴァンの件もあったから、話すタイミングが見つからなかったんだ…あの人から依頼を受けた時、良い機会だと思ってな。この依頼が終わったら全部話すつもりだったんだ。エール…俺と一緒にガーディアンに来ないか?ガーディアンに来れば俺が守ってやれるし、ヴァンの時のようなことは絶対にさせない。それにライブメタルはイレギュラー発生の謎を解く鍵でもあるんだ。」
「…そんなこと…急に言われても分からないよ…」
ライブメタルに選ばれたとかジルウェがガーディアンのメンバーであっても、十年間過ごしてきた運び屋にも自分なりの愛着があるのだ。
いきなり言われても即決出来るわけがない。
「…無理強いをするつもりはない。エール、お前が自分で決めてくれ。俺はこの奥にあるトランスサーバーで、先にガーディアンベースまで戻ってる。お前もすぐに来いよ」
そう言うと、ジルウェはトランスサーバーのある場所まで向かおうとするが、その前に聞きたいことがあった。
「ねえ、ジルウェ」
「何だ?」
「その、ライブメタルに選ばれた人って…ガーディアンに何人かいたりする…のかな…?」
「いや?今のところ…お前と俺だけだな…それがどうかしたのか?」
強いて言えば一年前に行方不明になったヴァンもエールと同じく適合者の最有力候補の一人だったが。
「…その、さっきのジルウェに似たような姿の…アタシくらいの男の子がいたから、あの子もガーディアンなのかなって…」
「モデルZに似た姿……もしかして、途中で追ってきたイレギュラーの数が減ったのは…お前じゃないのか?」
「アタシもちょっと前に来たばかりなんだ…だから多分、あの子がしたんだ」
「そいつがモデルZの言っていた異質な気配の奴か…そいつが倒したイレギュラーからメモリを回収してみるか…正体が分かるかもしれない…エール、お前も気を付けろよ」
ジルウェはそう言うと少年が破壊したらしいイレギュラーの残骸がある場所に向かうのであった。
そしてプレリーからも通信が入った。
『エール、未知のエネルギー反応が消失したようだけど…』
「ジルウェが…あの子が倒したイレギュラーのメモリを回収してくるって…」
『そう…分かったわ。後はトランスサーバーでミッションレポートを選んでミッションの終了をベースに報告してね』
「…ジルウェがアタシ達の傍にいたのは…アタシ達が選ばれし者だったから…なの…?……何かそれって…寂しいな…」
ヴァンもどうやら自分と同じだったような理由だったらしいし、ここにヴァンがいればこの寂しさも和らいだのだろうか?
答えの出ない疑問を胸に抱きながらエールはベースにミッション完了の報告をし、次のガーディアンベースに向かうためのテストを受けることにした。
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