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提督はBarにいる。

作者:ごません
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艦娘とスイーツと提督と・54

        ~対馬:フルーツ飴~

「………………」

「……うまいか?」

 目の前の少女はコクリと小さく頷き、またペロペロと手にした飴を舐め始める。今回のチケット当選者は海防艦の対馬。リクエストは『リンゴ飴』と言われたのでリンゴ以外にも様々なフルーツを飴にしてみた。

「司令」

「ん?どうした対馬」

「対馬も……これ、作ってみたい、です」

 たどたどしいながらも、はっきりとその意思を伝えてきた対馬。

「ん?このフルーツ飴か?」

 コクコクと頷く。

「みんなへの、お土産に、したいので」

「なんだ、それくらいなら俺がーー」

 作ってやるぞ?と言いかけたら、皆まで言うなとでも言うように首をプルプルと振るう対馬。

「対馬が作って渡したい、です……」

「……そっか、なら一緒に作るか!」

 そう言って頭をクシャクシャと撫でてやると、変化の乏しい顔に朱が差した。

《家でも屋台の味!フルーツ飴》※分量:作りやすい量

・グラニュー糖:125g

・水:50g

・水飴:10g

・お好みのフルーツ:適量




 実はフルーツ飴は、材料さえ揃えられれば家でも簡単に作れてしまう。厚手の鍋にグラニュー糖、水、水飴を入れて火にかけ、グラニュー糖を融かしながら混ぜつつ加熱する。この水飴を加えるのがポイントで、グラニュー糖と水だけでは加熱してもカラメルソースになっちまう。水飴を加える事で粘り気が増し、フルーツにしっかりと絡むようになる。料理用の温度計がある場合は温度を測りつつ145℃位まで加熱。温度計が無い場合は鍋の中身が沸騰して、鼈甲(べっこう)色になった位が目安だな。飴が出来たら氷水を張ったボウルに鍋を浸けて、鍋を冷やす。これをしないと鍋の余熱で飴に更なる熱が加わってしまい、最悪焦げてしまう事もあるので注意しよう。後はお好みのフルーツを飴に潜らせて、クッキングシートの上に載せて飴が固まるまで涼しい所で冷ませば完成。当然ながら、飴は火傷する位熱いので、触らないように注意する。ここからは、俺のおすすめフルーツ飴の食べた感想と簡単な作り方をご紹介。




リンゴ飴:ド定番だが、外せないよなこれは。小ぶりのリンゴのヘタを引き抜き、割り箸等を芯の部分に突き刺して飴を絡める。飴を赤くしたい場合は、飴に食紅を加えて混ぜておく。今回は小ぶりの『姫りんご』という特殊な品種を注文して作ってみた。

「懐かしいなぁ、俺の地元じゃまんこりんごで作るんだよコレ」

「……司令」

「ん?何だよ対馬」

「ストレートにえっちぃのはダメだと、思います」

「……あぁ、そのマ●コじゃねぇよ。ウチの地元じゃ『紅玉』って品種を年寄り共がまんこりんごって呼んでたんだ」

 由来はちゃんと知らんが、1本の樹に1万個なるから万個りんごってのは聞いた事がある。まぁ、そんなにはならんと思うが。紅玉は実が小さくて皮が真っ赤になりやすく、酸味が強くて果汁少な目。その上実も締まって固いので生で食べるよりも焼いたり煮たりと火を通すのに向いた品種だ。リンゴ飴も熱い飴をかけるので半生位に火が通るので、紅玉がオススメだな。



あんず飴:これも割かし定番か。昔は本物のあんずを使って、水飴を絡ませた物を売ってたらしいが、最近はスモモの酢漬けを飴に絡ませた物をあんず飴として売ってるらしい。

「それじゃあこれは、すもも飴?」

「まぁ、あんず飴として登録されてるしあんず飴でいいんじゃないか?」

「……むぅ」

 対馬は納得のいかない様子だが、俺に言われても困る。




イチゴ飴:最近流行り出したフルーツ飴らしい。イチゴは洗わずに乾拭きして汚れを落とし、ヘタの部分を持って飴を絡ませる。火傷しそうで怖ければ、ヘタを落として爪楊枝を刺してやるのもアリだろう。

「パリパリの甘い飴と、甘酸っぱいイチゴ……合いますね。ふふふ」

「ま、酸っぱいイチゴにゃ練乳かけたりして喰うしな」

 水洗いしないのは飴に余計な水分を入れない為と、イチゴの表面に水が着いてると飴が絡みにくくなるからだ。



ミカン飴:皮を剥いたミカンを小房に分けて、爪楊枝で刺して飴を絡ませる。この時、薄皮が破れないように注意。味は……甘酸っぱい。

「イチゴとおんなじですね」

「酸味の強いフルーツが向いてるんだろうな」



ブドウ飴:ブドウ飴っていうか……巨峰飴だな。皮ごと食べられる巨峰を一粒ずつに分けて、爪楊枝を刺して、飴を絡めて冷やし固める。

「パリパリの飴がいいアクセントだな」

「ブドウの甘さを引き立ててるから……美味しいです」



さくらんぼ飴:これも他のフルーツ飴同様、表面を軽く拭いて飴を絡ませる。さくらんぼの場合はヘタを爪楊枝の代わりに出来るので、他のフルーツよりも簡単かもな。

「甘いさくらんぼよりも酸っぱい方が合いそうですね」

「だな。アメリカンチェリーとかいいかも知れん」



ベリーの飴がけ:これはラズベリーやブルーベリーなんかが混ぜてあるミックスベリーをボウルに入れて、そこに飴を投入。全体をざっくり混ぜて、クッキングシートの上にあけて冷ました物だ。そのまま板状にしてバリバリ食べても面白いが、砕いてヨーグルトやアイスのトッピングにすると甘味と酸味が同時にプラスされて最高に美味いぞ!今回はバニラアイスにトッピングしてみた。

「甘くて、酸っぱくて、冷たくて……最高です」

「固まった飴のジャリジャリって食感がアクセントになるな。」




ミニトマト飴:変化球も変化球、フルーツではなく野菜を飴がけにしてみた。まぁ、ドラマの『孤○のグルメ』でゴローちゃんが台湾で食べてた通り、あっちの方じゃあ割とポピュラーらしいが。注意点としては、フルーツと違い甘味の強いフルーツトマト系のトマトを使用する事。そうしないと、青臭いトマトと飴のコラボレーションを味わう事になるぞ(実体験)。

「……意外と美味しい」

「まぁ、先入観が捨てられるかがカギだな」




パイナップル飴:これはちょっと手間がかかるぞ。芯を取ってくし切りにしたパイナップルの皮を剥き、割り箸を刺して飴を絡ませる。缶詰めのパイナップルでも出来なくは無いが、シロップ漬けで甘いからオススメはしない。

「これ『パインアメ』の方が手軽で美味しいんじゃ……」

「それ以上いけない」





レモン飴:これもフルーツ飴……なのか?ドライフルーツの輪切りレモンに切れ込みを入れて、割り箸を添えてこれまた切れ込みを入れたアルミカップにおく。そこに飴を適量流し込み、冷やし固める。見た目はレモンを閉じ込めたペロペロキャンディだな。

「普通のレモン味の飴よりも、レモンの味がします」

「まぁ、レモンそのまま入ってるしな」




梅のべっこう飴:これもフルーツ飴としては変化球だな。干し梅(梅干しではなく、梅の実を干した物)を適当な大きさにちぎり、お菓子の型に入れる。飴を流し込んで冷やし固める。これで出来上がるお手軽スイーツ。干されて濃縮された梅の酸味と旨味に、べっこう飴の優しい甘さが合わさって何となくホッとする味わいの飴だ。

「梅の風味で、なんだか、落ち着きます」

「確かにフルーツ飴ってより和菓子っぽいよな」






「ふぅ、作りすぎたか?」

「いえ、皆で分けるので……むしろ足りない、かも」

「でもなぁ、もう材料が無いから打ち止めだ」

目の前には大量のフルーツ飴の山。我ながらこれだけ良く作ったもんだ。

「ありがとうございます、司令……お礼、しますね?」

「別にいいさ、お前ら労う為なんだからお礼なんて……んっ!?」

 そう言おうとしていたら、椅子に座っていた俺に跨がり、対馬が俺の唇に唇を重ねてきた。

「ふふ、これじゃあ、対馬への御褒美ですね……?ふふふ♪」

 目の前の幼女と思っていた存在は、蠱惑的な笑みを浮かべて舌嘗め摩りをしていた。やれやれ、不思議ちゃんはとんだ小悪魔だったらしい。

 
 

 
後書き
おかしい……ホッコリした雰囲気で終わるはずだったのに、何で軽いエロオチになってるんだ……(困惑)

※補足※

調べてみた所、紅玉は別名満紅(まんこう)とも言うらしく、昔はそちらの名前の方が一般的だったのだとか。それが略されてまんこりんごになった、というのがホントの所のようです。決してマ●コは関係ありません。悪しからず。 
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