恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第八十話 陳宮、決意するのことその十
「そこでそう言うのがな」
「御主のいかんところだ」
「政争堂々とするべきではないだろうか」
「そこが僕の違うところなんだよ」
ジョーカーは楽しく笑って話す。
「ほら、こうしてね」
「それは」
右京もいるがだ。彼はジョーカーのその手の動きを見て思わず声をあげた。
「妖術か」
ジョーカーはその手から無数のカードを出してだ。宙に舞わせたのだ。
そしてそのうえでだ。こう言うのだった。
「それはそちらの時代の術なのか」
「ああ、違うよ」
ジョーカーはそれは否定した。相変わらずカードをまわせながら。
「これって手品なんだよ」
「手品というと」
「マジックだよ」
それだというのである。
「これは手品だよ」
「手品というのか」
「妖術はちょっと以上に超絶な術だけれどね」
「手品は違うのか」
「そうだよ。手品は違うよ」
こう右京に話すのだ。
「やるにはコツがあってね」
「コツがあるのか」
「それが手品なんだ」
「じゃああれか?」
今度は覇王丸が言ってきた。
「乱鳳とかが空を飛ぶのもあれもか」
「あれは手品じゃないね」
それはすぐに否定するジョーカーだった。
「とはいっても妖術でもないね」
「それでもないのかよ」
「あれは何なのかなあ」
ジョーカーも首を捻ることだった。
「僕もよくわからないよ」
「人は鳥ではない」
十兵衛もそれを話す。
「だからあれはな」
「面妖な話じゃ」
狂死郎もこう言う。
「普通に空を飛んでのう」
「僕もあれはわからないんだ」
手品を得意とするジョーカーもだった。
「一体何なのかなあ」
「やはり魔術なのか」
ズィーガーはこう考えた。
「あれは」
「もっと違うものじゃないかな」
ジョーカーはまた首を捻る。
「何かはわからないけれどね」
「眠兎もな」
覇王丸は彼女の名前も出した。
「あいつも空飛ぶしな」
「離天京では普通なのか?」
「いや、普通じゃないだろ」
十兵衛にすぐに述べた。
「どう考えてもな」
「だよね。絶対に」
また話すジョーカーだった。
「人間空飛ぶことはできないよ」
「人間ではないのか」
右京はこう述べた。
「それでは」
「いやいや、おいら達人間だよ」
「そうだよ」
ここで本人達が出て来て言う。
「ちゃんとしたね」
「それ以外の何だっていうのよ」
「そうなのかな」
「そんなの見ればわかるじゃないか」
「そうそう」
二人はジョーカーに対しても言う。
「人間以外の何だっていうんだよ」
「空なんて誰も飛べるよ」
「今もできるのかよ」
覇王丸がそれを問う。
「それは」
「ああ、できるさ」
「普通にね」
こう言ってだ。実際に空を飛んでみせる二人だった。それを見てだ。
兵達がだ。仰天して言うのだった。
「な、何だ!?」
「人が空を飛んでる!?」
「おい、嘘だろ!」
「仙人か!?」
「いや、妖怪か!」
彼等にとってみればまさにそう思える光景だった。それでだ。
中には上に向かって弓を放つ者まで出る。まさに大騒ぎだった。そしてその騒ぎを抑える為にだ。紀霊が出て来て収めるのだった。
「まあ待て、あれは乱鳳と眠兎だ」
「むっ、そういえば確かに」
「あの二人だ」
「そうですね」
「味方だ。おそらく妖術で空を飛んでいるのだ」
彼女はそう考えるのだった。
「気にするな。いいな」
「わかりました。それでは」
「今は」
「うむ。しかしな」
ここでだ。紀霊はだ。
項垂れる顔になってだ。言うのだった。
「あちらの世界の人間は。本当に色々だな」
その色々なことを見ることになった。その中でも進軍が続けられていく。
第八十話 完
2011・5・10
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